「…リン」
 ふと、レンがたずねた。笑顔でリンが答える。
「なぁに、レン?」
「今度、誕生日に、何かプレゼントとか、欲しいもんないの?」
 今とは違う少しぶっきらぼうな言い方が、少し大人ぶった少年という風のレンの姿によく似合う。
「うーん、そうだなぁ…」
 しばらく考えるように頬杖をついてみせると、にっこりと笑ってリンが言った。
「キレイなもの!キラキラしたものがいいな」
「なんだよ、それ?宝石でも買えって?」
「そうじゃなくて――。ガラスでも、プラスチックでもいいの。綺麗で、変わらないもの」
「変わらない?」
「そう。散ってしまうお花は嫌い。美しいまま変わらない、そういうものが欲しいの!」
「…わかった。なんか、気に入りそうなもの、買っておく」
「ありがと。レン、ダイスキ!」
 そう言って、リンは笑った。
 結局、その年の誕生部プレゼントは可愛らしいガラス細工を買っておいて、当日に小さな袋に綺麗に入れて、渡してやった。貰ったリンはめっぽう喜んでいた。

「――何、してんだよ、リンっ」
 屋上は風が強かった。
「何、って?」
「だから、屋上のフェンス乗り越えて、何しようとしてんだよっ!?」
 何もしなくても強風にあおられて転落してしまいそうなほど、強い風に、レンは戸惑いながらもフェンスに手を当ててどうにかたっていた。
「…レン、ごめんね。…絶えられないの、もう」
「何があったんだよ、何で相談もしないんだよ!」
「レンのそういうところが!そういうところが、重いんだよ。いつも一生懸命私のこと考えてくれるのはいいけど、自分の理想を押し付けてくるのが、窮屈だったの。…本当に、ごめんなさい」
「リン…っ」
 自分もリンがいるほうへ走っていこうとすると、先ほどよりも一層強い風が吹き――。
「ぁ――」
 リンの後ろ姿が揺らぎ、そのまま…


「…っぁ、は…ぁ…は」
 焦りと恐怖で荒くなった息を整え、レンは目を閉じた。随分趣味の悪い夢を見てしまった。
 『あの時』、リンは怯えた表情などしていなかった。微笑んでいたのだ。やっと開放されるといった安堵の表情ともとることができたのかもしれない。
 夜桜。怪しげにざわめく桜は、まるで自分の心を移しているかのようだ。
 このところ、この夢は見なくなっていたというのに、どうして今更あんな夢を見たのだろうか。…リンがこの手からはなれて別の世界に行ってしまう、この上ない失望を呼び覚ます、そんな『黒い記憶』を。
 …怖い。
「リン…っ」
 誰か、この俺を、殺して欲しい。
 今すぐ、彼女の元へ――。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

またいつか、桜の木の下で 3

こんばんは、リオンです。
遅くなりましたが、五日の分です。
勿論、今日の分もしっかり投稿いたしますので。
それでは!

閲覧数:272

投稿日:2010/02/06 00:01:23

文字数:1,076文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • 癒那

    癒那

    ご意見・ご感想

    なんか雪像二つありましたよ!

    リンレンミクの三人の雪像が一つあったので写真とりまくりました♪


    明日は栄町に行ってきます♪時間があればプロジェクトディーバのアーケードゲームのテストをしてきます♪

    まぁ、今日も行ったんですけどね★

    2010/02/06 21:14:00

    • リオン

      リオン

      えぇ!
      マジですかぁっ!?
      分かりました、心していってまいります(笑

      DIVA!気になりますね…!
      私も行きたいですけど…流石にいけません(泣

      2010/02/06 21:26:30

  • 癒那

    癒那

    ご意見・ご感想

    札幌来に来た癒那です♪
    少し眠いですケド……。

    これから雪ミクのところらへんに行ってきます♪

    写真とりまくります♪

    コートとかで全身黒いですでもなぜか、マフラー水色です。

    それでは♪

    2010/02/06 11:52:19

    • リオン

      リオン

      お返しが遅れてしまって、スミマセン(汗

      雪ミク、私みるの明日なんですよ?。楽しみです!!
      写真…。本当にとりまくります!

      2010/02/06 20:33:58

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