「おはよっ」




　「おはよう」




何気ない朝の挨拶。



でも今日の私にとってうれしいことだ。




　「ねぇネル。私ってネルにとってどんな存在？」





私の隣を歩いている友達ネルに聞いてみた。





　「何今更そんなこと言ってんの。親友以外の何者でもないよ」




　「そうだよね。私もネルのこと大好きだよ！」






今の私にとってこんな何気ない会話はうれしかった。











だって今日の夜は










とても怖い体験をしたから。







それは







「ひとりかくれんぼ」という都市伝説。








あることから“私”と賭けをして…






私が“私”を見つけたから。















見つかりそうになったあの時、





私は前を向きながら後ろへ下がった。






だから









　「見ツケt」




　「見つけた」





見つかる前に見つけた。







　「私が見つけたから私の勝ちよ！」





　「ナゼダ！」





　「だってあなたは最後まで“見つけた”って言ってないじゃない」





　「卑怯ダゾ！」




　
　「卑怯なのはそっちよ！私にのり移って後ろを向かせようとしたでしょ！だから私の勝ち。分る？」





　「ムゥ…」





“私”はしばらく黙っていたが




　

　「ワカッタ。我ノ負ケダ。汝ハモウ…自由ダ」












そう“私”は言うと光とともに消えてしまった。









私が勝ったんだ。何も恐れることはない。















　「あれ？ミク。どうした？」




　「え？あぁ、うん。何でもない。あ、早く行かないと学校遅れちゃうよ」




　「そうだね」
















そして放課後。








　「ほら早く。行っちゃうよ？」





　「え？ちょ、待ってよ！やっぱり無理だよぅ」




　「弱ね吐かない！あ、ほら今だよ」




　「うわぁ！押さないでy、あ…」





　「何？何か用？」






今、私の顔は真っ赤だろう。





　「あ、あの、これ受け取ってください！」






私は手紙を押しつけた。







　「それじゃ、さよならぁ！」








そう言って私はネルを連れてダッシュで走り去った。








　「何だったんだ…」




























　「あああ、今のヤバかったってぇ。マジカッコよかったんだけどぉ」




　「どーでもいいけど私を巻き込まないでよ！」




　「だって１人で逃げるなんてできないし」




　「…ま、いいや。早く帰ろ？」




　「うん」









今日私は人生で初めて告白をした。手紙で。





あぁ…どうしよう…








いつのまにか私の顔は赤かったらしくネルに






　「ミク？どうしたの？顔真っ赤だよ」





　「えぇ！そう？！」






最初の「えぇ！」が裏返ってしまった…！







　「ちょ、何で声裏返ってんの？あははっ」






そう言ってネルは笑い始めた。









　「ちょっとぉ！何で笑ってんの！？」






　「だってさ…あはは」





　「もーう！」





　「あ、怒った(笑)」





　


　「(笑)じゃなぁーい！！」











逃げるネルを追いかけながら私は叫んだ。








でも、今の私にとってこういう何気ないことが一番うれしかった。