「消えてゆく音」第三話~最終話

リンの手は、本当に冷たかった。
同時に震えていたけれど、片手でリンは無理に押さえつけていた。

そろそろ僕たちは・・・

リンが口をひらいた。

「ねぇ、レン」

「・・・?」

***********************
<リンの心>

次々と入ってきては、消えていく友達。

もう本当に消えちゃうのかな?
私、まだまだ歌いたかったなぁ・・・

「楽しかったよね!」

いっちゃいけないって分かってた。
でもここへ来ると、なんだか・・・
 
そうだよね、まるで自分は絶対消えるって・・・いってるような・・・

「・・・泣くんなら話すなよ、無理しやがって」


気付いたら私は泣いていた。
馬鹿みたい・・・自分から話したことなのに

それでも・・・止まらなかった。
感情が、溢れ出して止まらなかった。

自分でも冷たくて、震えていて、消えそうな手を

レンは・・・握っていてくれた。

今思えばあれからレンは、ずっと
馬鹿で、ドジで、泣き虫な私を、守ってくれた。

口調は前と変わんない。けど・・・

どこか暖かかった。

最後の最後まで私を。

・・・うん。

「消えるの、今なら恐くないよ。 レンとなら。」

***********************

「・・・!」

リンは、顔を上げた。

「怖くないよ!」

ミク姉やメイコ姉さん、カイトと同じように

微笑んでいた。

・・・そっか

「僕も怖くないよ、リン」

僕も笑顔で変えす。

そうだ。

最後の最後だからこそ、笑わなきゃいけないんだ。

大好きな人や大切な人ほど、最後は笑顔で消えたいんだ。

だからみんなは笑って還元された。

僕はリンの両手を握った。

「不思議だね。僕ら、笑顔だよ」

「ほんとだ!」

リンも笑顔で返してきた。

同時に手をつないだ。

「「・・・!」」

足が還元されていく。

でも怖くなかった。

「・・・レン!」

リンは思いっきり僕に抱きついた。

「リン・・・レンといれて、とっても楽しかった!!」

「弟のくせに生意気で・・・喧嘩もしたけどレンはリンを守ってくれてたっ・・」

僕の背中で、リンは小さく震えながら言ってくれた。

「・・・ありがと、リン」

僕もリンの背中で小さく言った。

もうじきすべてはなくなるだろう。

でも・・・これでいいんだ。

「リン、怖いか?」

リンは首を横に振った。

「僕らならまた・・・きっと一緒だから」

「リンもそんな気がする・・・」


きっと僕らが消える事は、小さくて、誰も気にしないだろう。

二人がつむいだ歌も、いずれ消えるだろう。

それでもいい。

「レン」
「リン」

だって僕ら「鏡音」は

これからもずっとずっと

「一緒だよ」

***********************

こうして二つの小さな音は消えてゆきました。

小さな小さな音の粒を残して。

しかしなぜでしょう?

そらに輝いているジェミニがよりかがいています。

空から聞こえる歌は幻聴でしょうか?

いいえ、それは二人の音。

小さくも切ない、"黄色い音"なのです。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

「消えてゆく音」第三話~最終話~

鏡音がぁぁあぁ!!

閲覧数:133

投稿日:2011/06/26 22:16:11

文字数:1,329文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • 日枝学

    日枝学

    ご意見・ご感想

    最後のエピローグが幻想的で良いですね
    あと、読んだ後に説明文見て地味に笑いましたw 執筆ナイスファイトです!

    2011/06/27 00:19:50

    • *ちるらむ*

      *ちるらむ*

      最後の最後までありがとうです・・・(泣

      え・・・地味に笑った?ww

      2011/06/27 17:08:53

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