「……くっそ、何なんだあいつらは……自分の子供がどうなってもいいってのかよ……!?」
そう言ってある男が机を勢い良く叩く。
その傍らにいる2人の子供達は酷く怯えている。そのうち1人は少年、もう1人は少女だった。
「兄貴、身代金の連絡どころか、何もかも音沙汰無しです……誤算だったんでしょうか?」
「うるせぇ! 俺に口出しすんじゃねぇよ。お前もあいつみてぇになりたいのか?」
先程の男はもう1人の痩せた男にそう言うと、右手の親指で後方を指した。
そこには紅く染まった床の上に、小太りな男が倒れ伏している光景が広がっている。
「――! ……す、すみませんでした…………以後気をつけます」
男はひとつため息をついて、それでいいんだよ、と呟いた。
「お兄ちゃんっ……私達、どうなっちゃうの? パパとママはどこ? 嫌だよ、パパ達のところに帰りたいよぉ……」
「メグ……大丈夫だ。僕が守ってあげるから。絶対にメグを傷つけさせたりしない」
少年の言葉も空しく、少女はすすり泣きを始めてしまった。
テーブルを小刻みに人差指で叩いていた男が舌打ちをし、席を立った。
「おいガキ共。てめーらもさっきからグズグズとうるせーんだよ……あぁ!?」
そう言った瞬間、彼はどこからか銃を取り出し、天井に向けて発砲する。
「きゃぁっ!!」
「死にたくねーだろ? だったら俺を怒らせるな……大人しくしてろ」
少年は男を睨んだまま、動こうとしない。
「何なんだよテメーは……そんなに死にてぇなら、こっちのガキと一緒に仲良く逝かせてやる。まずはそっちの女、お前からだ……」
「い……嫌…………助けて――――」
「! おい、喧嘩を売ったのは僕だ! なんでメグを……」
「お前はとことんムカつく奴だからだよ。妹君を目の前で失うショックは、お前をどんな風に変えるのか……興味は無いか?」
そう言った男の目は、えも言われぬ狂気に満ちていた。
(そんな……! 駄目だ、僕はどうなってもいいから、どうかメグを……メグだけは助けて……!)
「じゃあな、せいぜいあっちでは幸せに暮らせよ」
黒の銃口がメグと呼ばれた少女に向けられた――――その時だった。
パン、という乾いた音と共に、銃を持った男が倒れ伏したのを彼らは見た。
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