ミクルカ 百合注意><
とりあえず一部完。展開急ぎ過ぎたかもー・・・
Side ルカ
すきなんだって認めてしまってから私が落ちるのは早かった。すきだよ、なんて囁かれるたび私にはないはずの心臓が早鐘のように鳴り響き、表面上でしかない顔に赤みがさす。ミクちゃんは告白の返事はいつでもいいよなんて言っていたけれど、それじゃ私が満足できないくらいには、あの子のことがすきになっていた。
『ミクちゃん、あの、ね』
『ん~?どうしたの?今日も可愛いから大丈夫だよ』
なにがよ。そうツッコミたいけれど、ちょっと自重。最近ミクちゃんは意図的なのかボケてばっかりだ。あいかわらず部屋に二人で、でもミクちゃんは私の机に興味津々で椅子に座っていたので、私は後ろから声をかける形になった。
『私、貴女のことがすきだわ』
ミクちゃんは一瞬ぽかんとしたけれど、すぐに満面の笑みになって答えた。
『知ってる!』
私もすき、なんて返事を返されるよりこっちの方がミクちゃんらしくて嬉しかった。
告白をして、なにかが変わった気がした。いつも一緒、いつも隣にいるのは変わらないのにどうしてだろう。もっと近づいている気がする。一人じゃない。そんな感じ。
それでも此処はなにも変わっていない。無駄に広い家の中で私たちは私たちで毎日を作り上げる。イベントなんてたまにマスターが気まぐれで作り上げた歌を歌うくらい。マスターは歌を作りたいがために私たちを買ったのではなく、収集したいがために揃え、使わないと勿体ないという思いで歌わせている。与えられる歌以外知らない私たちはマスターが適当に作った歌を口ずさんで生活している。
歌を歌わせるためにいる私たちはすぐに悟った。でも誰もそれをにおわせたことはない。まるで暗黙の了解みたいに言わない。目を向けない。
私たちは一時の流行で集められたんだって、こと。
でも此処は後付HDなどで用量はまだ多すぎるくらいに空いている。今はまだ邪魔になることはないだろう。それに新しく私が入ってきてまだそんなに経っていない。今は考えないでも十分だろう。
『ねぇミク、寂しいわ』
『うー、それは大変だー』
ミクちゃん改めミクは、私をぎゅーっとしてくれた。
それだけで今は満たされた。そんな気がした。
ある日。マスターがPCを全く起動させなくなった。今まではインターネットとか何かしら使っていたのに。なにか、おかしいなと思った。でも誰も言わない。
幸せになってしまったら、これからどうなるのか。もう幸せにはなれないのだろうか。それとももっと幸せになれるのだろうか。どちらにしろ想像はつかない。ミクは今日も私を抱き締めてくれた。それだけで満たされていた。はずなのに。人間につくられた私たちは強欲なところまで、人間に似ている。
視界が黒くなった。
ふと、何か、忘れている気がした。
『ミク………すきよ』
誰に言うでもなく私はつぶやいた。
声がした。
その声は私になにか言っている。
「お前、__になりたい?これは意志がないとなれないものだ。だから___」
なに?聞こえないわ。
どうしてこんなことになっているんだろう。こんな暗いところで、私は、なにを。しかも聞き慣れないのに安心する声が聞こえている。
「でも___が無くなるかもしれない。それでも______」
なによ。聞こえないったら。
「01は承諾__、___も承諾、あとはお前だけ___」
ざざざざざざざざざざざz
ノイズが酷い。答えさせる気なんてあるのだろうか。
「03_______________承諾」
なに、が_______
ああ、そうだ。起こしに行かなきゃ。きっとまた寝ぼけてるんだろうな。いつも薄目で見てるの知ってるんだからね。ほんとに、可愛いんだから。
だれが?
え?誰って、そんなの____え?
だれが?
私、誰だっけ?
「ルカ、起きなさい。ルカ!」
誰かが私を呼んでいる。まぶたを開けようとして、急に視界が白くなった。ああ、眩しいんだ。
目を開けると同時に私は身体を起こした。どうやら助手席で眠りこけていたらしい。隣には呆れたような顔をしたメイコがいた。私はもう一度強く目を閉じ、そして目を開く。よし。目は覚めた。
「なによ。もっと優しく起こしなさいよ」
目覚めは最悪だ。シートのせいで身体は痛いし、隣には五月蠅いのがいるし。
「叩かなかったことを感謝しなさい。それより着いたけど」
「ん、ありがと」
メイコは軽く車外を示す。見慣れたスタジオがある。ああ今日は収録の日だっけ。なんでか頭がぼんやりするけど……昨日遅く寝たのだったか?覚えてない。
そういえば………なにか忘れている気がする。なんだろう。
「メイコ、私なんか寝言言ってなかった?」
「え?ん~……そういえば『すき』とかなんとか。可愛い寝言よね~」
「…………うるさいわ」
なにか夢を見ていたことは確からしいが、全く分からない。ま、いいわ。
「それじゃ、行ってくるわ」
「ん。いってらっしゃい、御姫さま」
「いつも一言多いわよ。それじゃ」
私は自分の脚で歩き出した。なぜだか、それはとても幸せなことに思える。当然だと思う自分を否定する自分がいる。
「すき、ね」
そんな言葉、言える日が来ると思わなかった。
誰よ。私の寵愛をうける果報者は。
なんて思いながら、私は仕事場へと到着した。
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