※※百合注意※※
ルカ×リン。一応レンとミクも出てくるけど。
はあ、何でこんなに違うんだろ。
見れば見るほどため息しか出てこない。
++++ あこがれのあなた ++++
あたしは今、ルカちゃんのPVを見ていた。それも水着着用のやつを。
金色なんて派手な生地にもかかわらず、ルカちゃんの体はそれにぜんぜん負けてない。むしろよりルカちゃんの魅力を引き出すのに一役買っている。すらりと伸びた足、メリハリのあるボディライン。
中でもあたしとは正反対の場所に視線が釘付けに――
「リンのエ~ロ」
「なっ、レン!?」
背後からの声に振り返る。いつの間に来たのか、レンがあたしの肩越しにルカちゃんPVを見ていた。
「ちょっとノックくらいしなさいよ!」
「リンの部屋ってわけじゃないんだから別にいいだろ」
確かに、今あたし達がいるのはリビングみたいなあたし達の共有スペースだけど……。
って問題にすべきはソコじゃない!
「エロって何よ、エロって! あたしのどこが!」
「だってお前、さっきからルカ姉の胸ばっか見てんじゃん」
「うぐっ」
図星なだけに返答に詰まる。
「え、エロとかじゃないもん!」
「じゃあ、何だよ」
レンは疑問を口にしながら、あたしの隣に腰を下ろした。どうやらあたしがちゃんと答えない限り開放してくれないつもりのようだ。
仕方がないから正直に答えよう。恥ずかしいけど。すっっっごく恥ずかしいけど! 答える前からもう自分の顔が紅いのがわかる。
「う、うらやましかったんだもん……。あ、あたしに無いから」
「あー、あー、あーー」
言葉に詰まったレンは変な声をあげていた。
「あんな大きいのに形もキレイなんてずるいと思わない? あーあ、せめてミク姉くらいあったらなあ……」
「確かに。せめてミク姉くらい無いと、格好つかないよな」
「だよねー」
はあ、とまたまたため息が出る。と、そこに聞こえた低い声。
「……た達」
「レン、何か言った?」
「いや、オレは何も」
二人して声がした方を振り返ると、そこにはミク姉の姿。アレ? なんか怒ってる?
「あんた達、せめて、せめてって、わたしにケンカ売ってるの? どーせ、ルカちゃんやお姉ちゃんみたくおっきくないですよーだ」
やばい。完全にキレてる。ここはひとつ――
「レン、ミク姉は任せた」
逃げるが勝ち、ということでダッシュ。背後からレンの「ずりぃ!」って声が聞こえたけどスルー。自分の部屋に入ってしまえば、こっちのものだ。
この先の角を曲がればすぐにあたしの部屋。だが、部屋にたどり着く前にやわらかいものに行く手をさえぎられた。そして頭上から降るクスリという笑い声。その声につられるように顔を上げると、そこにはルカちゃんの笑顔があった。
勢いあまって角の向こうからやってきたルカちゃんにぶつかったようだ。改めて目の前を見れば、そこにはルカちゃんの豊かな胸。慌てて離れようとするが、なぜかルカちゃんがあたしの肩をつかんで離してくれない。
「リンは本当に私の胸が好きなのね。こんなに勢いよく飛び込んでくるなんて」
「ちっ、違っ! てゆーか、なんであたしがルカちゃんの胸が好きってことになってるのー!」
「違うの?」
「違うよっ!」
「あんなに私の胸について話していたのに?」
「なっなんで知ってるのー!?」
「あなた達、声が大きいんですもの」
ああ、だからあんなナイスタイミングでミク姉が現れたのか。
てゆーか、どっから聞かれてたんだろう。うー、なんか恥ずかしい。
恨めしげにルカちゃんを見上げると、優しげな笑顔を浮かべたルカちゃんにそっと抱きしめられた。
「ルカちゃん?」
「リン、リンは自分の体が嫌い?」
「別に嫌いってわけじゃ……」
「良かった。私はリンの体、好きよ。だってその体はリンがリンだけの歌を唄うために必要なものだもの」
「あたしだけの歌……」
そっか。
今のあたし、今の体じゃなきゃ表現できないことってあるんだよね。ルカちゃんの言葉は不思議。なんだか気持ちが軽くなった気がした。
だから、お礼を言おうと思ったのに。それより早くルカちゃんが口を開く。
「もちろん体だけじゃなくて、リンの歌も、リン自身も好きよ」
「なっ!」
なななな何を言い出すの! ルカちゃんてば!
ドサクサにまぎれた告白に顔が紅くなる。何か言わなきゃと思うのに、思うように言葉が出てこない。
「リンが好きなのは私の胸だけみたいだけど」
「ちっ違ーう!」
「じゃあ好き?」
ルカちゃんはあたしから体を離すと、顔を覗き込むようにして様子をうかがってくる。
ずるいずるい!
そんな風にされたらホントのこと言わないわけにいかないじゃない。ホントはそれこそルカちゃんみたいになれたら言おうと思ってたのに。
「……好き。ルカちゃんの全部」
口にしたとたん、あたしはまたルカちゃんの腕の中にいた。
嬉しい。嬉しいんだけど、なんかくやしいー!
ルカちゃんが好きだから。
ルカちゃんにつりあうようになりたくて。
だからルカちゃんの胸にあこがれたなんて。
くやしいからルカちゃんには絶対絶ー対教えてあげない!
END
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