「マスター」
「お、あんがとな」
ホワイアンスPのミクが、彼女のマスターに飲み物を渡していた。先ほどまで彼は、バースデーライブの自分の曲に関する用件をこなしており、そちらが一段落したのでバースデーソング関連の調整をしていた。調整をしている時の表情は、普段の軽そうな雰囲気を微塵にも感じさせない真剣な表情である。
「マスター、大丈夫ですか?」
心配そうにいうホワイアンスPのミク。彼女も先ほどまでバースデーライブ関係の用件を手伝っており、自分の手が空いたのでホワイアンスPのサポートをしていた。ホワイアンスPのミクは、彼女のマスターであるホワイアンスPの真剣な表情を見たことのある数少ない存在だった。
「俺は大丈夫だ。それより、ミク、色々と言われてんじゃねえか?」
「…私より、マスターが色々と言われていることを聞くことが多いです」
「俺のことは気にすんな。俺はその辺は最初っから織り込み済みだからよ」
「はい…」
暗い表情でいうミク。バースデーソング自体も、一万人と大人数だが、あまりにも応募が殺到したので、参加を抽選制にしており、落ちたPの一部からの批判はそれなりに出ていたのはミクもホワイアンスPも把握している。
「…やれやれ、ミクを歌だけに集中させずに、つまらん心配や苦労をさせる俺はマスター失格だな」
「マスター…」
茶化した風に言うホワイアンスP。彼は普段の軽そうな言動とは裏腹に、話を通す所はきっちり通すなど、根回しは欠かさない。今回のバースデーソングのような大規模な企画が大きなトラブルなくできるのは、要点を把握し、押さえるべき所はしっかりと押さえているからだった。
「心配してくれてありがとよ。言いたい奴らにゃいわせときゃいいんだよ。抽選の話だって、誰にも肩入れしてねえけど、肩入れしてねえ証明なんて不可能に近いからな。…もうちっとしんどい時期が続くけどな、それもミクさんのバースデーライブが終わるまでだ。その後でゆっくりしようぜ」
「はい…」
そのねぎらい言葉を聞いて、彼のミクの瞳が潤む。そんなミクの頭を優しくなでるホワイアンスPだった。
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