《A1》
「争いなんてなければいいのに」
「みんな笑ってられたらいいのに」
なんて理想の平和を語らう僕らは
不可視の痛みに涙する

正直見えない世界の誰かが
どうなったって構わなくって
たまたま見えてしまった命は
無視する度胸も無いだけ

《B1》
誰かがどこかで
生まれて育って恋をして
突然の死にさよならと言って
そんな話が好きなんだ

誰かの何かの物語を見て
自分じゃなくて良かっただなんて
口では誰も言わないけど
何かを求めて彷徨ってる


《S1》
人は誰かの悲劇を望む
当たり障りない言葉を並べて
天秤に掛けられた幸せに
しがみつくことしかできないくせに

なみなみに汲み入れられた
でも満たされない器を眺めて
いくら注いでもこぼれ落ちるだからまた
誰かの悲劇を望む



《A arrange ver.》
逃げたい死にたい繰り返して
そのくせ他人には同情してなんて
矛盾だらけを抱えてる僕らは
悪びれなくただ息をする

そもそも自分のことはわかってる
わかりきっているから下を見てるんだ
たまたま見えてしまった希望に
縋り付くように泣き叫んで


《S2》
人は誰かの悲劇を望む
ありきたり過ぎる台詞を吐き捨て
貼り付けられただけの幸せを
眺めてることしかできないくせ

なみなみに汲み入れられた
でも底に穴が空いた器じゃ
いくら注いでも乾いたままだからまた
誰かの悲劇を望む


《C》
誰かをいつも慰めてた
少しでも安心したくて
優しいふりをし続けた
何かが変わると信じて

可哀想だなんて言うなよ
気の毒だなんて言うなよ
余計惨めな気持ちになるだろ
そんなのとっくに知ってんだよ

本当はこんなの望んじゃいない
ただ単純に生きたいだけだ
そうか これをずっと
言いたかったんだ


《S arrange ver.》
誰かの悲劇を望む
当たり障りない言葉が欲しくて
僕の世界は悲劇じゃないって
誰でもいいから否定してくれよ

満たされたいのに満たされないのは
潤したいのに乾いていくのは
幸せが欲しいわけじゃないから
ただ一言「生きたい」って叫べよ