※※百合注意※※
ルカリン。
以前、とあるSNSに投下したものです。
++++満足? 不満足?++++
「ルカちゃん、これおかしくない?」
「そう? おかしいことなんて何も無いと思うけど」
あたしの背後、それも耳元でルカちゃんがつぶやいた。
そう、背後だ。あたしと背後に立つルカちゃんの間に距離は無い。
事の起こりは、あたし達が一緒に歌の練習をしていたことにある。ルカちゃんに言わせると、あたしの腹式呼吸が甘いというのだ。
それでルカちゃんが呼吸方法を見てくれることになったのだけど。
ルカちゃんがあたしのお腹に手を当てるから、その状態で呼吸をしてみろというのだけど。
なぜかルカちゃんはあたしの背後に立ち、そこからあたしの腹部へと手を回した。
それはまるでルカちゃんに抱きしめられているみたいで正直落ち着かない。
「何で後ろから? こっ、これじゃ抱きついてるみたいなんだけど」
「だって抱きついてるんだもの」
「なななんで?」
「リンが可愛いから」
「理由になってないんだけどー!!」
慌ててるあたしを余所にルカちゃんはくすくすと笑っている。
あたしと言えば、なんだか恥ずかしくて顔が熱い。でもルカちゃんを振り払うなんてこともできなくて、ただただジッとしているしかできない。
そんなあたしの耳元にルカちゃんのハスキーボイスが降り落ちる。
「でもこれは失敗だったかしら。だってリンの可愛い顔が見えないもの」
ななななんで、ルカちゃんはこう恥ずかしい台詞を恥ずかしげも無く言えるんだろう。ルカちゃんが何か言うたびに、あたしの体温が上がっていく気がする。
「ねえ、リン。こっちを向いて。恥ずかしがらないで、ねえ」
「い・やっ」
北欧のUMAが出てくるアニメの主題歌みたいなことを言ってもダメなものはダメ。背後からあたしを覗き込むようにして顔を近づけてくるルカちゃんから逃げるように、あたしは反対側へと顔を向ける。
だって。
だってこんな赤い顔見せられない。
だけどいくらあたしが逃げようとしても、ルカちゃんはあきらめてくれない。ついには「リンは私が嫌いなのかしら」なんて寂しげな声を出す始末。
ちょっとその台詞は卑怯だと思う。
そんな……そんな台詞を言われたら、ルカちゃんの方を見ないわけにいかないじゃない。
でも。
でもいつもやられっぱなしはくやしいから。
あたしはささやかな攻撃をすることにした。
ルカちゃんの方へ振り向きざまに、その頬へ唇で触れる。
そして、あたしの攻撃に珍しく驚きを隠せないでいるルカちゃんに勝利宣言。
「これで満足した!?」
そう、この瞬間まではあたしは勝ったと思っていた。めずらしくあたしがイニシアチブを取れたのだと。
だけど次の瞬間、それは間違いだったと思い知らされた。
さっきまで驚いた表情を見せていたルカちゃんの表情が変わった。それは色っぽく、それは妖しげに。
「リン、大人はこれくらいじゃ満足できないのよ」
そう囁いた唇があたしに近づいてきた。
この後、あたしに何があったかそれは言えない。だってあたしの口はルカちゃんの口によってふさがれてしまったから――。
END
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