『彼が別れの言葉を私に告げた時、私は一瞬、時が止まったのかと思いました。
実際私の中の時は止まっていたのでしょう。何秒、いや、何分止まっていたのかはわかりません。
けれど決して長くない時間だったのでしょう。すぐに私はまた人間らしい気分を取り戻しました。
その時が再び動き出した瞬間と同時に、悲しみの感情は溢れ出しました。
まるで心が狂ってしまったかのようでした。その感情は目から涙の結晶となって溢れ出しました。
そしてその目はまるで壊れた蛇口のように、次々に溢れるそれを止める方法を知らないのです。
その日、彼と作り上げてきた日常は、彼の突然の言葉によって壊れてしまいました。
それは雪崩のように音を立てて崩れ去っていきました。
それから私はその日にメイさんのお店に行きました。

メイさんこと、咲音メイコさんは、前から私にとても優しい人でした。
その日はサービスだといって、私がいつも頼むメニューを無料で出してくれました。
あまつさえメイさんは、「私でよければいつでも相談に乗るから」と言ってくれました。
メイさんのその言葉が、私にはどんな薬よりも効いたのです。
荒れ果てた土地を癒しの水で潤すように、それは深くしみわたりました。それくらい彼女の言葉が嬉しかったのです。メイさんの存在は私にとって心の支えとなりました。
どんなに辛い事があっても、メイさんの言葉で私は救われる気がしました。
けれどもやはり、現実が酷である事に変わりはありませんでした。』

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

セルフ・インタレスト 11 (♯2)

誤字脱字、ストーリーの矛盾点などありましたら教えていただけると助かります……。

閲覧数:52

投稿日:2012/08/05 15:38:47

文字数:628文字

カテゴリ:小説

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