その日の夜。MEIKOあてに連絡がきた。
「もしもし、MEIKO姉さん」
「あら、ミクじゃない。どうしたの?」
ミクはワールドツアーが始まってからは、雅彦はおろか、ボーカロイドの誰にも連絡をしてこなかった。久しぶりに聞くミクの声は、普段と変わりなさそうだ。そのことにほっとするMEIKO。
「…ちょっとMEIKO姉さんに聞きたいことがあるのだけど」
「何かしら?」
「あの…、雅彦さんの様子はどうですか?」
やはり、雅彦の様子が気になるらしい。
「雅彦君は、ミクがワールドツアーにいった直後くらいは、本当に酷かったわ。ミク想いを踏みにじった自分にここにいる資格はないって言い出してこの家を出て行くって言ってたわね」
「そう…、ですか」
ミクの声が沈む。
「…その件なら大丈夫よ。雅彦君は私とKAITOが何とか説得したから。多分今は考えを変えているはずよ」
「本当?」
「ええ、それに、私たち全員で今回のことについて色々と動いているわよ。だから安心なさい」
「良かった…」
「それに、雅彦君も動いているみたいだわ。ミクが仲直りのために動いているのを知って、自分も何とかしないといけない、という風に考えを変えたみたいね。ミクのワールドツアーに同行している守山さんから雅彦君に連絡がきたことが関係していると思うわ」
ミクを安心させるために、最近の雅彦の動向を話すMEIKO。
「でも、雅彦さんは私の話を聞いてくれるかしら?」
それでもミクは不安なようだ。
「大丈夫よ。ミク、あなたは心配しすぎよ。それに、私たち家族の中で一番雅彦君のことを分かっているじゃない。もっと自信を持ちなさい」
不安を取り除くように言うMEIKO。
「でも…」
不安そうなミク。これではらちが明かない。
「…ちょっと待って、替わるから」
「め、MEIKO姉さん、ひょっとして今から雅彦さんに替わるの?私、まだ、心の準備が…」
「…大丈夫よ。雅彦君じゃないわ」
そう言いながら廊下を移動するMEIKO。そして部屋をノックする。
「どうぞ」
部屋の中に入るMEIKO。部屋の中にはKAITOがいた。
「めーちゃん、どうしたの?」
「今、ミクから連絡が来ているのよ。雅彦君のことで不安らしいの。私も説得しているけど、あなたもミクに何か言って欲しいの」
「分かった」
そう言って連絡をかわるKAITO。
「KAITO兄さん」
「…ミク、元気そうだね。安心したよ」
「KAITO兄さん。私、雅彦さんが話を聞いてくれるか不安なの」
ミクがKAITOに不安を話す。
「ミク、大丈夫だよ。雅彦君は今、自分で動こうとしている。今回の件もしっかり反省しているみたいだし」
「でも…」
「雅彦君から聞いたけど、ワールドツアーのスタッフのかたに今回の仲直りについて手伝ってもらってるって聞いたよ。ミク、もっと雅彦君や二人の仲直りのために動いてくれている人たち、そして、何より自分自身を信じないといけないよ」
KAITOはいつもどおり、優しくミクに話す。
「自分を…、信じる…」
「ああ、もっと自分を信じて、自分に自信を持ってごらん。…きっとミクなら大丈夫だよ」
「KAITO兄さん、ありがとう」
ミクは少し自信を取り戻したようだった。
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