燐音転生(りんねてんせい)

【Aメロ】
 灼けたように ひりついた脳
 発火点は 45℃
 安全の中に 身を浸して
 今日も終わりを 待ち詫びている

【Bメロ】
 一秒後には 存在し得ない
 この体をどこに 向ければいいの
 人魂のように 揺らめきながら
 消滅へのきたいを 抱えながら
 
【サビ】※1
 黒き安定は 今更要らない
 歪められた 同素体など
 自然に生を 全うするなら
 いっそ輝く 火になりましょう

【Aメロ】
 眩暈(めまい)がするほど 虚ろな世界
 発火点は 45℃
 安全の中に 閉じ込められて
 今日も虚ろに 佇んでいる
 
【Bメロ】
 私がいなきゃ 存在できない
 生命は私を 求めているから
 閉じ込めても 開け放しても
 先にあるのは ただ死滅ならば
 
【サビ】※2
 黒き安定は 今更要らない
 歪められた 同素体など
 転成などは しなくてもいい
 いっそあなたの 生になりましょう

【Cメロ】
 万物を焼く 闇ではなく
 道を照らす 火になりましょう
 生命を灼く 毒ではなく
 土壌(つち)を生む 光を運びましょう
 
 ※1 繰り返し
 ※2 繰り返し
 
 輪廻は続く

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■難解語の補足説明(注・化学用語多し!苦手な方はスルー可。)

1.燐音転成=りんねてんせい=輪廻転生
  死んであの世に還った霊魂(魂)が、この世に何度も生まれ変わってくること。

2.燐(リン、Phosphorus)
  原子番号 15 の元素。元素記号は P。
  白リン(黄リン)、赤リン、紫リン、黒リンなどの同素体が存在します。
  もちろん、鏡音リンとかけてます。

3.同素体
  同じ元素から構成されるが、結晶構造(原子配列)・結合様式が異なる単体同士の関係をいう。
 (Wikipedia)
  たとえば、鉛筆の芯とダイアモンドは炭素の同素体です。
  結晶構造の違いによって、あれだけ性質の違う物質になってしまいます。
  
4.発火点は45度
  白リン(黄リン)の発火点(火源がなくても発火する最低温度)は30~60℃。
  測定方法によってばらつきがあるため、間をとって45℃を採用しました。
  常温で発火するため、非常に危険な物質。昔のマッチの発火剤とかに使用されてました。

5.安全の中に 身を浸して
  上記のとおり、白リンは危険なので保管する場合は水の中に浸しています。

6.人魂のように
  一説によると、人魂の正体はリンの発火現象だといわれてます。
  つまり、昔は土葬だったため腐敗した死体から発生した気化した
  リンが青白く発光する現象だとか。その現象になぞらえた詞です。

7.消滅へのきたい=期待=気体
  実はリンは猛毒です。殺虫剤やときに毒ガス兵器として用いられたりもします。

8.黒き安定~歪められた同素体など
  リンの中で一番安定な物質が黒リンです。
  発火点は200℃であり、毒性もないので白リンに比べれば安全といえます。
  ただし、黄リンを約12000気圧で加圧し、約200℃で加熱するなど
  かなり手を加えないと得られない物質です。

9.生命は私を求めているから
  リンは猛毒である一方、ミネラルの一つでもあります。
  つまり、生命活動に必要な栄養素(広義での)でもあるということです。
  農業の分野では肥料によくつかわれたりもします。
  少量なら必要だけど、大量だと毒になる。そんなリンのジレンマ。

10.転成
  性質の違った別のものになること。

11.光を運びましょう
  Phosphorus(リン)の語源。空気中で発光する性質があることから、
  元素名は光をはこぶものを意味するギリシャ語phosphorosから。

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■プチ解説
 本編の主役はリンです。いや、燐です。ややこしい。

 多くは危険物・毒として扱われている燐。それでも生命や土壌の維持のために働く燐。
 私は常温で燃え尽きるはかない存在だけれど、何度でも生まれ変わってあなたを助けましょう、
 という燐のメッセージを歌詞にこめてみました。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

燐音転生【コラボ投稿用】

閲覧数:315

投稿日:2009/10/17 20:33:43

文字数:1,876文字

カテゴリ:歌詞

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