洞窟の奥を見ている
炎の影を追っている
振り返りたくもなかった
昼の月を観たくない
嘘の花がひとつ咲いた
程々に美しかった
枯れなければそれでいい
偽物でも別によかった

踊りのひとつも知らない
温もりも鼓動も要らない
瞬間だけを微分して
時間とやらを締め出したい
昼間の太陽が眩しい
斜陽の庭先が苦しい
夜を待つと言う私は
馬鹿みたいに夜が怖いのだ

何気ない私の喉から出た言葉で傷が付く
殺して、その思想のない脆さで
美しければ何でもいいと思っている
見えないものだけ
ここじゃないどこかへ
言葉の奥にある
あれも、これも、私も模像だ
あなただけゆく
先は月の夜を

鏡をぼうっと見ていた
不意に白髪が目に入った
心臓が冷える音がした
その温さに腹が立った
年の取り方を知らない
年を取った私を知らない
幽霊みたいに
夜が憎いのさ

醜い私の心から出た
詞を風に吹く
飛んでゆけ、その中身のない軽さで
綺麗だなんて言う人間ばかりを嗤っている

昔のことを描いていた
自分(わたし)のためだけでよかった
そう言っているが
多分、誰かに見てもらいたかった
子供の私が踊った
「そんなんじゃない」と笑った
本当はもう気づいていた私は、
あなたを殺したかった

洞窟の奥を見ている
炎の影を思っている
振り返りたくもなかった
明日なんて観たくもなかった
嘘の花がひとつ咲いた
程々に美しかった
誰に分かられて堪るだろうか
今夜は晴れるだろうか

醜い私の言葉から出た心で透けて見る
踊ろう、踊ろう、踊ろう
ほら、踊り方も分からないままで
「見えないものだけ」
「ここじゃないどこかへ」
言葉の先にある
あれも、これも、私も虚像だ
あなたさえ
反射(つき)のよう

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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ラ・ヴァルス

閲覧数:68

投稿日:2025/11/07 02:44:12

文字数:728文字

カテゴリ:歌詞

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