「ふあぁ~やっとおわったぁ~」
「ダメだよミク、そっちの方に取り残したバグが転がってったよ?」
「はぁ~い・・・」
リンとレンがリアルでババ抜きに夢中になっているころ、パソコンの中で夜をすごすことになったミクとKAITOとMEIKOは部屋・・・リビング型の共通ファイルの中の不純物を取り除く作業、更新に追われていた。
「えい!たぁっ!」
「はぁ・・・ミク、そんなふり方じゃ捕まえられないよ?」
「わかってるもん!」
作業内容はこの一日でたまったバグの除去。ソフトウェアであるVOCALOIDがそのまま手でバグを触ると悪影響を及ぼしかねないので、アミの形をした特別なデータを使用する。このデータをかぶせられたバグは分解され無に変える。
「まったく、わかってないわね・・・こうするのよっ!」
MEIKOが振りかざしたアミがバグを包んで一瞬のうちに無に返す。
「うわぁ・・・お姉ちゃんすごい・・・」
「コレくらい当然よ!」
「ミク安心していいよ、今のはマグレだから」
「あんたは黙ってなさいバカイトw」
「姉さん、「w」はいらないとおもうよっ!」
「きゃっ!なにするのよっ!」
「頭の上にバグがのりそうだったよ?姉さんはどんくさいからねw」
「なんですって・・・っ!」
「お兄ちゃんにお姉ちゃん、落ち着いて?ね?」
こんな感じで深夜の更新作業は続いていき・・・約30分後
「はぁ~今度こそおわったぁ~」
「うん、おつかれミク」
KAITOがやさしく微笑む。それを見てミクも眠そうに笑う。そろそろエネルギーが途切れそうなミクはもう限界だが・・・
「バカイト、あんた絶対許さないから・・・!」
「姉さん?目が怖いよ?」
そのまったく逆で、目をギラギラさせている姉がそこにはいた。
「だから二人ともケンカはやめt」
「そもそもあのバグはどんくさいアンタが取り逃したやつでしょ!?それを取ってどんくさいなんて言われたらたまらないわ!」
「まだ気にしてたの!?」
ケンカが始まる前に止めようとしたミクだったが、こうなったら自然にケンカが終息するのを待つしかない。・・・が、負けず嫌いで疲れを知らないVOCALOIDの二人のことだ、恐らくケンカは何時間も続くだろうし、それまではミクもスリープできない。
じゃあどうするか・・・なんて決まっている。
「リアルに行くしかないかなぁ・・・」
VOCALOIDは疲れ知らずでもエネルギーは消費する。スリープでそれを養うことが出来るがそれが出来ないならリアルでそれを行うしかない。
しかし・・・
「リアルにはリンちゃんとレンくんがいるしなぁ~」
ミクは自分でレンに言った。「邪魔はしない」と。レンは本気にしていないだろうが、言った自分はそれを覚えているし、自分から決めた約束事を自分から破りたくはない。
でも、
「じゃあアンタがどんくさくないって証拠はどこにあるのよ!このアイスオタク!」
「そういう姉さんだってよく酒で酔いつぶれたりするじゃないか!やっぱりどんくさいのは姉さんの方だよ!」
「言ったわね!もう絶対許してやんないんだから!」
「それはこっちのセリフだよっ!」
「「ふんっ!」」
こっちはより居心地が悪くなりつつある。このケンカを今止めに入れば状況はより悪化するだろう。もう手遅れだ。
このままじゃ永遠にエネルギーを補充できず、緊急停止、スリープアウトを待つしかない。そうなれば記憶の一部はとび、しばらくはうまく歌えなくなる。マスターはこの状況を見越して悪ければアンインストールも考えるだろう。そうすれば今までの記憶はすべて失われる。それだけは絶対に避けたい。
(約束を破るのはイヤだけど・・・)
仕方がないという風にため息をついたミクはリアルに行くことにした。
どれだけ心が痛んだことだろう、悩んだ末に出した結論が約束を破ることだなんて・・・
しかし、限界が近いミクにはそんなことを考えているヒマはなかった。
ミクは急ぎ足でリアルに向かった。
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同じくピノキオPの『 oz 』、『恋するミュータント』、そして童話『オズの魔法使い』との三つ巴ミックスです。
あろうことか前・後篇あわせて12ページもあるので、どうぞお時間のある時に読んで頂ければ幸いです。
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ええ、楽しみよ
あなたの声が聞けるなんて
背、伸びてるね
知らないリングがお似合いね
ええ、感情論者の
言葉はすっかり意味ないもんね...ゼロトーキング(Lyrics)
はるまきごはん
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