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UTAU国家連合防衛統括省ハヤブサハン総本営。UTAU国家連合軍の最高統帥機関で、テレベ・ルジャネーゾ宮殿に本部が置かれている。
「この時間がな」
「?」
「夕焼けする前の空の色、綺麗だと思わないか?太陽が出てる内で一番暗いんだ」
「ええ、いつも見上げてる空の色が、あの色ですね」
「気付いていたか」
「あの力強い空の色、重音閣下には良くお似合いかと」
「力強い、か。言われてみればそうだな」
何処までも暗い、純粋な青。藍ではない更に青い青。あの向こう側には青しかない、こちら側だけが私の世界だと、言い負かされるような迫力が、確かにある。
「あれをお似合いだというのはセクハラだな、桃音」
「はあ!?」
「君が私の事をどう考えているのか良く分かった。今後の参考にするよ」
「意味がわかりませんが!?セクハラって、最初に話振ってから何も間違ってませんよ私!?」
「はい2セクハラ。これは悪質だな」
「えっと、重音閣下が何も思いつかないだけじゃないですか!?」
「いや、思いついたがこうな、君のセクハラに心が折れたというか」
「今真面目な雰囲気だったのに、耐えられなかったの重音閣下の方でしょお!?」
「そういう事にしておこう。いくぞ」
颯爽と肩で風を切って、テトは花崗岩の階段を上がっていく。後からモモが慌てて付いていく。
「どこに!?蒼音閣下に最初に用があるんでしょ!?どこいけばいいか知ってるんですか!」
「だから『いくぞ』と呼びかけたんだ。桃音が先に立たなければ私はこのまま歴史探索としゃれ込むまでだ」
「うわーむかつくなんの落ち度もないのに脅迫されるとかすごい下克上したい」
「そっか。じゃあ3階だけ避けて探索するよ」
「3階ですよね目的地私もう帰っていいですか」
蒼音が仕事をこなしながらテトを待ち構えているであろう3階は、歩いている警備兵が全て憲兵という常時特別警戒のフロアである。テトは蒼音の執務室を知らないが、3階にさえ行けば蒼音がテトを待っているという連絡は受けているだろうから、おそらく強制的に案内されるだろう。
「じゃあ先に向かってくれ」
「あなたは3日前に蒼音閣下がお迎えに上がった場所から逃亡劇始めてるのにその口で何を言っているのかわかってますかあああ」
「怒るな可愛いからもう」
「それセクハラですよね!それがセクハラですよね!」
流行の言葉で言う所の激おこぷんぷん丸なモモが何か叫んでいる。確かに統帥に携わる激務はストレスが溜まるから、ふと大声を出したくなる気持ちもわからないではない。
「参謀長、場を弁えろ」
「みんな微妙な顔して察してますよ!守衛が笑い堪えてるのわかりませんか!!」
「うん。だから畳み掛けたんだ」
「うるさい!!!さっさと、用事済ませますよ、私はテトさんを蒼音閣下の所に連れて行ったらまだ仕事があるんです!!!」
「それはやれやれだな……、私は自由と孤独とを翼にして生きる鳥なのだから」
「そこの警備兵、銃の安全装置を解除して後ろから付いてきなさい」
「おい」
言いかけて桃音モモの顔を見ると、目が据わっている。
「そう、安全装置を解除して後ろから付いてくるだけでいいわ。さもなくば」
桃音がこっちを見た。やばい攻響兵が戦闘をする時の目だ。やばい。
「ははは。私から特に後令はしない。忠実に職務を果たすといい」
ロビーのセキュリティがオールグリーンになった。守衛がさっさと行けと言わんばかりに敬礼している。
「職務ご苦労」
テトが引きつった笑顔で敬礼を返して歩く後を、無言の桃音モモと警備兵が続く。最後の旅程は5分ほどの短い行進で終わりそうだ。
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