タグ:機動攻響兵「VOCALOID」
59件
――――――――――#14
――――――――――
彼女は、機械越しの白黒の世界の中で雑草をむしっていた
名のない草はない、そうは言うけれども僕に命じた人は言った
『その草の名前は、かくかくしかじかでまるまるうまうまの悪さをする』
愛された事のない雑草は、それでも名前を知られている
敵だけが...機動攻響兵「VOCALOID」第6章#14
九十九折坂の狐
――――――――――#13
鏡音レンは病室のベッドの上で、たこルカと遊んでいた。
「うー……うー、……うー♪」
「ほえほえほえほえ」
「うー♪あー!wwwww」
たこルカの頭を撫でてやる。たこルカとは落書き見たいな顔を書いた丸い物体に毛の生えたようなもので、ギリギリ紅色に見える極薄い色の球...機動攻響兵「VOCALOID」第6章#13
九十九折坂の狐
――――――――――#12
神威は考える。緊張の行き先がバラバラに拡散して、結果、良く分からない事になっている。
「せやな」
猫村が相槌を打ってきた。誰も何も言っていない。
「私の心を読むな」
「顔に出すからやろが。やる気あんのかこいつらって顔にでとったで」
「やる気がないなどと思ってい...機動攻響兵「VOCALOID」第6章#12
九十九折坂の狐
――――――――――#11
というわけでや。
AKITANERU――――――――――逃げたぞ!ネギ畑の方に!追え!マジで追え!
YOWANEHAKU――――――――――貴方が遊んでるからでしょうが!!!
AKITANERU――――――――――ちゃいますよってやで!!!!ある意味さ!!!!!
...機動攻響兵「VOCALOID」第6章#11
九十九折坂の狐
――――――――――#10
AKITANERU――――――――――うわあやられたあぁ、なんつって、ぇえ!!!
「結月、前みいや!!!さっきから!!!!!」
言われて、ハッとした。急ブレーキに急加速とドリフト、アグレッシブな運転をしていた。
「聞こえ取るか!!返事せんでええから、クラクションや...機動攻響兵「VOCALOID」第6章#10
九十九折坂の狐
――――――――――#9
「ふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
SUKONETEI――――――――――六十四月流操剣術師の三、師屍
奇声とショートエコーに続いて、空からビッチとピンクの毛玉が落ちてきた。戦闘配備していた量産型たこルカが着地点にわらわらと押し寄せた。落下の衝...機動攻響兵「VOCALOID」第6章#9
九十九折坂の狐
――――――――――#8
いざよいまちりゅうそうけんじゅつおうぎてんのだん、こうりゅうついち。
彼女の右手の長いほうの刀、左手の短いほうの刀。流れるように踊る右手の刀の裏側で、左手の短い方は水銀灯の光を照り返して、そのまま刺す様に思えた。
だから、ずっと短い方の刀を見ていた。あれが、僕を殺すこ...機動攻響兵「VOCALOID」第6章#8
九十九折坂の狐
――――――――――#7
水銀灯の灯りの下、7階建てのビルの屋上で、彼はリリックを綴っていた。「VOCALOID」氷山キヨテルのグレートコード『Lust of Hermit』が効果を失った瞬間から、健音テイは彼の居場所が手に取るように分かっていた。姿形までは、今までわからなかったが――
「あの空...機動攻響兵「VOCALOID」第6章#7
九十九折坂の狐
――――――――――#6
『ハッ、同じ町に住む赤の他人、それだけの存在でしかないですよ、私にとっては』
俺達が守るべき普通の人達をお前はどう思っているのか、その問いに返ってきた答えだ。他人。見下す見下さない、対等も差別も何も無い、知らない人、それだけの存在。
『殴っていいですよ?さあ?』
こ...機動攻響兵「VOCALOID」第6章#6
九十九折坂の狐
――――――――――#5
廊下から玄関の扉、門は開け放たれていて、その先にサイドカー付きのバイクがあった。エアバギーでない、タイヤ付きのビンテージだ。左付きで、エンジンは既に掛かっている。
「任務ご苦労」
ネルはサイドカーの後方で偉そうに腕を組んでいる何者かに振り向き、手を振る。影の中の人物は...機動攻響兵「VOCALOID」第6章#5
九十九折坂の狐
――――――――――#4
話を整理しよう、私の為に。
まず、私は猫村中将とお酒を呑む約束をした。
つぎに、私は弱音准将を誘い、エルメルトの方々もご同席頂ければ盛り上がりますと、社交辞令気味に人数集めを頼んだ。
それから、私は参加メンバーを猫村中将と弱音ハク中将から聞き、いくつかの候補の内で料...機動攻響兵「VOCALOID」第6章#4
九十九折坂の狐
――――――――――#3
最初に見た時には、こいつだと思ったのだ。だから、挙動不審気味なそいつに、こう声を掛けた。
「所属は?」
「は?」
まさか私を知らない攻響兵が来るとは思わない。だから、すぐに考えを変えたんだ。こいつは『違う奴だ』と。
「ああ、なんでもない。基地にきた用件はなんだ?」...機動攻響兵「VOCALOID」第6章#3
九十九折坂の狐
――――――――――#2
「結局、鏡音は何が言いたいのだ?『初音ミクのように悪の全てを滅ぼす』のが望みか?」
神威の言葉に座が沈黙する。神威は顰め面で面々を見回す。
「氷山が『鏡音レンのリリックコードは危険だ』と言っていたが、実際はどうなんだ弱音准将」
亞北ネルが嘴を挟む。
「氷山に聞けば...機動攻響兵「VOCALOID」第6章#2
九十九折坂の狐
――――――――――#1
窮地の最中にある。一旦事が起きれば、すぐに死地だ。
神威がくぽだけなら、なんとでもなると、余りにも甘い考えをしていた。
奴が参加する宴会、全員が攻響兵だ。最悪だ。正攻奇攻あらゆる全てが不利。
神威がくぽ、猫村いろは、亞北ネル、弱音ハク、巡音ルカ。初音ミクと共に、メデ...機動攻響兵「VOCALOID」第6章#1
九十九折坂の狐
――――――――――#10 /第5話fin
懐石料亭『竹櫓』。地方都市エルメルト、暫定行政区分エルメルト州本庁市エルメルトの、ほぼ片端で営業している飲食店である。業態は伝統的な様式に則る飲食の接待を供する。
地方都市エルメルト。正式名称を暫定行政区分エルメルト州エルメルト本庁市と呼称する。今では...機動攻響兵「VOCALOID」第5章#10 /第5章fin
九十九折坂の狐
――――――――――#9
。
『なあ、自分が悪魔のような化け物になってしまうとしたら、その姿を選べるとしたら、どんな風になりたい?』
『そうだなあ、ああいう堂々と楽しそうに歌う化け物がいいな、なれるなら』
『言うと思ったよ』
『……どういう意味かな』
『あんなのを見上げて、歌に聞き入って...機動攻響兵「VOCALION」第5章#9
九十九折坂の狐
――――――――――#8
極東半島中央連合。略称SUFeP。海を挟んだメディエスト地域でメディソフィスティア僭主討伐戦争を行っていた頃、極東半島は長きに渡る紛争が終局を迎えた。半島は統一されてSUFePが発足したが、新たな問題が持ち上がった。極東半島が連なる大陸に中華玉海府新人民連邦が広大な版図を...機動攻響兵「VOCALOID」第5章#8
九十九折坂の狐
――――――――――#7
両袖のある茶褐色の執務机は、主の体格に比してかなり大きい。机上は海兵の寝床ぐらいのスペースがあり、B5のノートブックと羽根ペン以外には、余計な物品はない。
室内の調度は前政府から接収した当時とほぼ同じである。ただ、いくつかの肖像画を波音リツが持ち出して、代わりに旧政府が...機動攻響兵「VOCALOID」第5章#7
九十九折坂の狐
――――――――――#6
UTAU国家連合防衛統括省ハヤブサハン総本営。UTAU国家連合軍の最高統帥機関で、テレベ・ルジャネーゾ宮殿に本部が置かれている。
「この時間がな」
「?」
「夕焼けする前の空の色、綺麗だと思わないか?太陽が出てる内で一番暗いんだ」
「ええ、いつも見上げてる空の色が...機動攻響兵「VOCALOID」第5章#6
九十九折坂の狐
――――――――――#5
重音テトの私邸前。桃音モモ大佐が右後部ドアを開け、重音テト大将をエスコートする。階級の差を考えるとこの程度はおべんちゃらにもならない。
「君もそろそろ大将位になったらいいじゃないか。私の為にドアを支える肉体労働も煩わしいだろうから」
「ははは。勘違いで二階級特進させら...機動攻響兵「VOCALOID」第5章#5
九十九折坂の狐
――――――――――#3
正午を過ぎたあたりで承認の判子を桃音に渡して、テトは保留を弾くだけの作業に徹していた。
「ほら手が止まってるよモモちゃん。もっと早く」
「うるさいです」
「ほら我慢しないで。こんなに音を出しちゃって、いやらしい」
「この変態を撃ち殺したい」
「やだそんな激しいの...機動攻響兵「VOCALOID」第5章#3
九十九折坂の狐
――――――――――#4
テト達が遅い昼餉をのんびり食らっている頃、VIP統合軍の総本営で欲音ルコが携帯電話を耳に当てていた。部下達の前で、不機嫌な顔を隠す気は全くない。
「ああ、良く分かったよ。桃音参謀長にしてやられたね」
不機嫌な理由は、例の艤装を脱走兵としてスケープゴートにする目算が外れ...機動攻響兵「VOCALOID」第5章#4
九十九折坂の狐
――――――――――#2
さて。3階建て屋根裏付きの豪邸だが、今のUTAUでは所有権の概念は意味を為していない。ここが誰の持ち物か、そういう低レベルな論争ですら、クリフトニアとは解釈がかけ離れている。
「おかえりなさいませ、テト様」
「ただいま、ばあや。何か変わった事は?」
「ええ、いつも通...機動攻響兵「VOCALOID」 第5章#2
九十九折坂の狐
――――――――――#1
夏の半ばから冬の始まりまで、ほぼ3ヶ月程度は敵地にいた計算になる。なので、こうなる事は分かっていたが。
「君達、ここはUTAU連合ど真ん中の首都ハヤブサハンの、私の自宅前だぞ。私が失脚しようがしなかろうが、査定に響く事は分かっているかな」
「我々も職務、げふっ」
秘...機動攻響兵「VOCALOID」 第5章#1
九十九折坂の狐
――――――――――#10 /第4話fin
正面切って、「今日はアラとかも出す」と言われた様な物だ。確かに美味しいし、高いマグロを入れたのだろうとは思うが。
「旨いな……」
「せやな……」
「ふむ」
「この香味、味を生かしてとても濃い味わいにしていますね」
「うむ。旨いな」
猫村中将と...機動攻響兵「VOCALOID」 第4章#10/第4章fin
九十九折坂の狐
――――――――――#9
「失礼します。女将のメイコでございます」
座敷に入った一行に、挨拶に来たメイコは一目で雰囲気が最悪なのを見て取った。口上を切り上げて正座しながら深々と一礼する。
「本日は、西のローランドで良い魚が陸揚げしましたので、海鮮が大変美味しゅうございます」
「ああ、ローラン...機動攻響兵「VOCALOID」 第4章#9
九十九折坂の狐
――――――――――#8
はあ。困った事になった。亞北ネルと巡音市長が射る胡散臭そうな視線を正中線からちょっと右よりあたりに十字砲火されてる。
「「弱音准将?」」
「……私が、今日神威中将閣下と初対面だというのは知っていますか」
物いいたげなハモリに対し、中央から出向してきた天才参謀弱音ハク...機動攻響兵「VOCALOID」 第4章#8
九十九折坂の狐
――――――――――#7
猫村いろはは垣を見上げた。なんとも無粋な、信長の気持ちが分かるような戦いを舐めた造りだ。
「これは、面白い趣だな」
一人ごちたのを、巡音が耳聡くして返事をする。
「ここの主人は何分、変わり者ですから」
「左様か。見れば分かる」
猫村はぶっきらぼうに返事をする。呼...機動攻響兵「VOCALOID」 第4章#7
九十九折坂の狐
――――――――――#6
竹垣の間に、檜の柱で瓦葺の門が立っている。竹垣に堅牢な瓦葺とはとも思ったが、目を凝らすと竹垣の裏側に、腰の高さほどの竹垣がめぐらしてあって、斜めに立てかけた竹の支柱が表の竹垣を支えている。つと目をやると、横に広がった竹垣は微かに内側へ傾いている。門にかかる料亭の名は、『竹...機動攻響兵「VOCALOID」 第4章#6
九十九折坂の狐
――――――――――#5
昔、ルカは平凡よりもちょっと貧乏な家に育った。父はしがないWeb広告会社の経営をしていて、社員は5人という小さな会社だった。家に居る時間も多かったが、ちょっと遊んでくれたり勉強を見てくれたりする以外は、真剣な顔でパソコンに向かっていた。母はパートに出て安定しない家計を支え...機動攻響兵「VOCALOID」 第4章#5
九十九折坂の狐
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