タグ:機動攻響兵「VOCALOID」
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――――――――――#4
盗聴器はもちろん配置している。プライベートな空間の物音はネルが聞きたくないのでパスだが、むしろ一人でいる時よりも他の人間とどういう会話をするのかが重要だった。
「やっぱり"忘れやがった"な……」
弱音ハクの正式な要請で、亞北ネルはグミの監視をしている。「攻響兵としての...機動攻響兵「VOCALOID」 第4章#4
九十九折坂の狐
――――――――――#3
一言で形容して、異質な空間である。空間自体が異質であるし、彼女も異質である。この空間の外側は理解できるというのに、外側の属性に対するコンテキストを、この空間は共有していない。何が言いたいかというと――
「お嬢様。初音中将が参られた時に、こちらをお渡しください」
「は、...機動攻響兵「VOCALOID」 第4章#3
九十九折坂の狐
――――――――――#2
『あはははははははは、綺麗事ばっかり並べられる奴はいいよなあ、政府軍の犬の分際で!』
『悪?犯罪?正義?そんなもんありゃしねえ。仲間を助ける、私らはそれだけなんだよ!』
『手前はいいよなあ、初音ミクさんはよう!敵さえ倒してりゃ喧嘩の仲裁や分け前の分配や町や村の警備とか...機動攻響兵「VOCALOID」 第4章#2
九十九折坂の狐
――――――――――#1
冬がくる。鏡音レンは基地の付属病院で二週間の安静を命じられていた。昼下がりの灰味の、窓の外から眺める白っぽく暗い青空に、高い空には積乱雲が流れている。夏の入道雲と違って目に見えて速い。内陸にあるエルメルトでは冬支度を知らせる風物だと、FMラジオのパーソナリティが情緒深く語...機動攻響兵「VOCALOID」 第4章#1
九十九折坂の狐
――――――――――#16
そしてエルメルトに平和が訪れ、街はまた何事もなく時を紡いでいくのだろう。
「――という、お話だったのです」
「そうですか。とても素晴らしい冗談はともかくとしてですね!」
「ノリツッコミDeathね♪巡音市長は腕を上げました♪」
「あなたは相変わらず、変わりません...機動攻響兵「VOCALOID」 3章#16 /3章fin
九十九折坂の狐
――――――――――#15
KASANETETO――――――――――Our Love be Shoot The Moon.
次の瞬間、病室のドアが勢い強く開き、何かが投げ込まれた。グミさん(仮名)が床に体を投げ出す。という映像を認識しながら、鉄格子ごとぶち破ったテトの体は次のグレートコードの影響...機動攻響兵「VOCALOID」 3章#15
九十九折坂の狐
――――――――――#14
状況が掴めない。いつのまにか救出対象が目の前にいる。レンを倒したのは覚えている。何故か殺さなかったが、理由は覚えていない。そうだ、格闘だけでのしたから放って来たのだ。
「あの」
「ああ。取り合えず部屋に入れ」
「え?」
苛立っているテトは女を押し込む形で、部屋に...機動攻響兵「VOCALOID」 3章#14
九十九折坂の狐
――――――――――#13
建物内に入る。気が付くと、鹵獲した装備はほとんどどこかへ落してしまった。着ているクリフトニア陸軍の戦闘服と、元から持ってたトーラス・レイジングブルだけがテトの持ち物だった。
「弱装弾でよかったー」
一応は50口径だが、テトに用があったのはくそ重い2キログラムの銃その...機動攻響兵「VOCALOID」 3章#13
九十九折坂の狐
――――――――――#12
本当は、軍隊というのがどういうものか、見てみたかったのだ。
本当は、ボクから何もかもを奪った「VOCALOID」を復讐しに来たのだ。
本当は、初音ミクを倒しにきたのだ。全てを奪った「VOCALOID」に、復讐を。
今まで隠し通してきた。いや、問題にすらされてなかっ...機動攻響兵「VOCALOID」 3章#12
九十九折坂の狐
――――――――――#11
十秒後。ネルはレンにLat式ミクを制止させていた。テトがリリックコードを間違って自爆した場所だ。
「ああくそ。ダメコンやんないとだめだ。凍結しすぎだろ!」
本当は基地の外から重音テトを追撃しやすいポイントに移動したかったが、ヘヴンズクロスという名前の三叉路周辺数十メ...機動攻響兵「VOCALOID」 3章#11
九十九折坂の狐
――――――――――#10
KASANETETO――――――――――もえあがれほのお このてにやどれ そしてつばさとなって やけあがれ わたしのせなかから ひろがれ
YOWANEHAKU――――――――――かがやけきせきのことばよ てんけいはわれにあり あるべきところにあるべきものよあれ ひかり...機動攻響兵「VOCALOID」 3章#10
九十九折坂の狐
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――#9
だが、どこから、誰が来る?
グレートコードの影響で思考が鈍くなったテトは、苛立ち紛れに雑に頭を掻く。
Fool ON NowHere、ルーラーが『愚者』のグレートコード。攻撃力は高めで白兵戦に向くがテトとの相...機動攻響兵「VOCALOID」 3章#9
九十九折坂の狐
――――――――――#8
重音テトは亞北ネル達のショートエコーを聞き流しながら、一瞬だけかすかに気配のあった『対象』の方に向かっていた。『対象』とは、UTAUが秘密裏に配備した艤装攻響兵、「VOCAL-OPERATOR」略して「VCLP」。テトの目的は、この「VCLP」の奪還あるいは『鹵獲の阻止』...機動攻響兵「VOCALOID」 3章#8
九十九折坂の狐
――――――――――##7
KASANETETO――――――――――私の勝ち。
「ちっ、調子のんなババア」
ネルが走りながら毒づく。インカムで無線につなぎ叫ぶ。
「総員、対空防御!」
もちろん、対空戦闘を担当する対空砲中隊は命令など待たず行動する。だが、他の部隊は対空警戒能力を持たないので...機動攻響兵「VOCALOID」 3章#7
九十九折坂の狐
――――――――――#6
通信が切れる。戦闘を許可する、という事は撃てという意味だ。
右斜め、方角で南西やや南よりの、ゾディアックラインのはす向かいに、車両の陰に転がり込んだテトを見つけた。旅団の戦闘服を着ているのは、誰か警戒していた兵士から奪い取ったのだろう。
KAGAMINEREN――――...機動攻響兵「VOCALOID」 3章#6
九十九折坂の狐
――――――――――#5
「司令部通信室からC-2。現状を報告せよ」
「C-2は異常なし。送れ」
「了解した。通信終える」
亞北ネルは旅団本部棟――基地司令室と同じ建物――の通信室で、5分毎に通信機を弄っては退屈そうに頬杖を付いていた。鏡音レンが配置についてから、2時間が経過していた。
「...機動攻響兵「VOCALOID」 3章#5
九十九折坂の狐
―――――――――― #4
整備棟のハンガーで、鏡音レンはLat式ミクのコクピットで出撃前の調整をしていた。下から整備隊長が注意を叫んでいる。
「いいか大佐ー。インターフェイスはちびミクと同じだから操縦は出来るだろうが、エンジンのリミッターはマニュアルでないと切り替えられないから気をつけろ」
...機動攻響兵「VOCALOID」 3章#4
九十九折坂の狐
――――――――――#3
1時間半後。議題は各部隊の配置と状況終了までの防衛シフトになっていた。旅団がほぼ総動員という作戦規模なので、簡易に連絡を取りながら旅団本部でシフト体勢を整えていくという方向でまとまった。
「やはり「VOCALOID」に入り込まれると、つらいな」
亞北ネルが将官達の前で...機動攻響兵「VOCALOID」 3章#3
九十九折坂の狐
エルメルト攻響旅団基地司令室。普段はだだっ広い室内で初音ミクが嫌々仕事しているだけの、あからさまな建物の無駄遣いとしか思えない光景があるだけの場所である。
ネギを生やしてはネルに怒られ、ネギを収穫してはハクに説教されるという醜態も演じた。
この司令室が今、第7機動攻響旅団始まって以来の、ちゃん...機動攻響兵「VOCALOID」 3章#2
九十九折坂の狐
――――――――――#1
ちょっと前に、ちょっとした戦争があった。
今では「メディソフィスティア僭主討伐戦争」と呼ばれる、歴史上は変哲の無い、ただの覇権争いである。
前の時代区分では英雄だった文明が、血みどろの革命の結末で暴君として倒される、良くある話だった。
けれども、やはり歴史上良くある...機動攻響兵「VOCALOID」 3章#1
九十九折坂の狐
HATUNEMIKU――――――――――STAR of ROUND.
「おっと。あいつにしてはマシなグレートコードを使ったな」
初音ミクが、衛星軌道上からの増援を牽制するコードを使った。ネルとしては、本当はそれをハクにやってもらって、ミクは後詰としてコードを保留してもらいたかったのだが。
「...機動攻響兵「VOCALOID」 2章#5 /2章fin
九十九折坂の狐
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「じゃあ、私も仕事があるから」
「待て。仕事だ。あの「VOCALION」に乗ってたパイロットの人定、付き合って貰うぞ」
どさくさに紛れて立ち去ろうとするハクの襟首を掴む。
「お断りします。第6から通報があって、対応に忙しいんですよ」
「なんだ、第6って氷山の旅団か?あ...機動攻響兵「VOCALOID」 2章#4
九十九折坂の狐
ここに到着して、もう2週間がたとうとしている。
基地では「VOCALOID」用の個室が当てられているが、寝心地は最悪だった。
ロクな夢を見ないのだ。やれ、エルメルトが焦土と化すだの、UTAU最強の「VOCALOID」が侵入しただの、睡眠薬が聞かなくなってうなされるだの、やたら生々しい夢ばかり見...機動攻響兵「VOCALOID」 2章#3
九十九折坂の狐
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夜が白む。食いさしのサンドウィッチを齧り、車道の真ん中で目指す街の方角を見ていた。
「蒼音の奴、どういう指示をしたんだ」
重音テトはエルグラスで「VOCALION」を失ってから、敵の捜索を掻い潜って脱出路を探していた。
エルグラスは比較的前線に近く、奇襲としてはそこそこ...機動攻響兵「VOCALOID」 2章#2
九十九折坂の狐
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NEKOMURAIROHA――――――――――やはり、重音テトはまだ国内か。
KAMUIGAKUPO――――――――――捜索が長引いたからな。ゲリラ戦に移行すると厄介だ。
NEKOMURAIROHA――――――――――所詮一人で何ができると、言いたい所だが。
KAMUI...機動攻響兵「VOCALOID」 2章#1
九十九折坂の狐
――――――――――#4
また戦闘かと思ったが、そうでもないみたいだ。弱音ハクはじっと窓の外を見ている。
「レン君、今日の所はいいですよ。考えて置いてください」
「はい?」
ハクはいきなり宣言すると、書類を片付けだした。
「ですが、ここにいる限りは「VOCALOID」として訓練を受けてもら...機動攻響兵「VOCALOID」 1章#2
九十九折坂の狐
――――――――――#3
エルメルト攻響旅団基地は、元々は普通科陸軍の駐屯基地だった。
音響技術が発展を極めた時、突如として「VOCALOID」は魔術や宗教や自然科学に続く新たな自然法則の体系となり、世界の姿を一変させた。
「第3次インテリジェンステクノロジーレボリューション」、「THE 3r...機動攻響兵「VOCALOID」 1章#1
九十九折坂の狐
――――――――――(#2)
ゲストハウスというのだろうか。打ちっ放しのコンクリートの建物は、小さい窓と厚い壁で細かく区切られていた。こんなのでも戦闘を想定して作られてるようだ。
エスコートの警備兵は士官が来るから待っていろと、ぞんざいにソファーを指差して去っていった。
流石に攻響旅団の兵士ま...機動攻響兵「VOCALOID」 序章#2 /序章fin
九十九折坂の狐
青い空に、乾いた風。平べったい空の下を、はぐれ雲が散散りに浮かんでいる。
エアバギーの後部座席に乗って、景色が流れていくのを眺めていた。レザーの向こう側から熱を奪っていく感触で、故郷とは違う風の色を知る。
――遠くへ来てしまったのだな。そして。
「お兄さん、あれが軍の街だ!」
エアバギーを...機動攻響兵「VOCALOID」 序章
九十九折坂の狐
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