あの夏
向日葵の咲く
あの丘
僕と君が出会った
一人の少女
気高く
儚い
一人の少女
僕と君の一つの誓
少女を守る僕の誓
少女と生きる君の誓

まだちっぽけな
小さすぎる僕達の
小さな誓は
あの日出会った少女を
守り共に歩むこと
誰も敵の居ない
この小さな世界で
三人しか居ない
この小さな世界で
僕からあの子を
君からあの子を

世界を知らぬ
仔犬のようにまわっていた

少女がいつも広げていた
大きな絵本
文字も言葉もわからない
そんな僕達と少女
それでも少女は
毎日その絵本を広げ
笑っていた
小さな男の子二人と
小さな女の子が
三人手を繋いで笑っている
そんな
たったそれだけの絵本をどうして
そんなに楽しそうに見ているの?
僕にはわからなかった

君が居なければ僕が
少女を守ってあげられる
僕が居なければ君が
少女と共に生きられる
それだけだった
たったそれだけのことだった
でも 少女は泣いていた
大きな絵本を僕らに突き出して
泣いていた
少女の涙は僕達の胸を貫いた
わからなかった
少女がなにを望み
少女がなにを見て
笑っていたのか
少女のその雫を見るまで
気がつかなかったんだ
だから僕と君は手をとった
誓の元に約束を交わしたんだ

僕達の前を
嬉しそうに弾んで
自分の影を追いかける少女
僕達は並んで
自分達の影を見下ろして
少女の後ろを歩いてた
言葉も文字もわからない僕達
僕と君の瞳は同じ色をしていた
小さな二人の誓は
少し大きな三人の約束へ
言葉は交えられなくても
今の気持ちはきっと間違えない
少女は振り向いて手を振っている
泣きながら笑って
夕日に霞みながら消えてゆく
大きな
大きな
一つの絵本を残して
薄れ行く少女は微笑み続けた


あれからどれだけたったのか
向日葵の咲くこの丘で
向日葵と一緒に
空を見上げる少女が居た
少女は振り向き、呟いたんだ。




「ただいま。」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

向日葵と少女

小さな世界の小さな子供たちの小さな経験

大きな思いと大きな約束大きな友情のお話です。

閲覧数:39

投稿日:2008/06/27 15:52:20

文字数:883文字

カテゴリ:歌詞

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