彩 -aya-


俄か雨にしとりと夜は濡れ
水溜まりに照り映える街明かり
雨音潜(くぐ)るような沈丁花(じんちょうげ)が
春を告げた


僕はいつしか忘れてく
燃えるような夏の日に
蝉を追って駆けた野辺の
目を焼くほどの蒼も

僕はいつしか忘れてく
朱(あか)く熟れた酸漿(ほおずき)の実と
連れ添ったカラスの親子
包(くる)んだ夕焼け空

忙(せわ)しい毎日に息継ぎもできず

さやさやと日々は風に吹かれて
日めくりの山ばかりが増えてゆく
灰色の街の隅 四角い空
見上げながら


僕はいつしか忘れてく
身を切るような夜風に
凍りついた星の下で
繋いだ手の温度

風さらう足跡を呆然と見つめた

巡り巡る 彩りの最中(さなか)で
ひとつふたつ… 確かに年老いてく
見下ろす手の平から零れたのは
大事なもの


俄か雨にしとりと夜は濡れ
水溜まりに照り映える街明かり
雨音潜るような沈丁花が
春を告げた


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にわかあめにしとりとよるはぬれ
みずたまりにてりはえるまちあかり
あまおとくぐるようなじんちょうげが
はるをつげた


ぼくはいつしかわすれてく
もえるようななつのひに
せみをおってかけたのべの
めをやくほどのあおも

ぼくはいつしかわすれてく
あかくうれたほおずきのみと
つれそったからすのおやこ
くるんだゆうやけぞら

せわしいまいにちにいきつぎもできず

さやさやとひびはかぜにふかれて
ひめくりのやまばかりがふえてゆく
はいいろのまちのすみ しかくいそら
みあげながら


ぼくはいつしかわすれてく
みをきるようなよかぜに
こおりついたほしのしたで
つないだてのおんど

かぜさらうあしあとをぼうぜんとみつめた

めぐりめぐる いろどりのさなかで
ひとつふたつ たしかにとしおいてく
みおろすてのひらからこぼれたのは
だいじなもの


にわかあめにしとりとよるはぬれ
みずたまりにてりはえるまちあかり
あまおとくぐるようなじんちょうげが
はるをつげた

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

■彩 -aya-

オトズキさんの【歌詞募集】タイトル未定【和風/ポップス】02/18 追記ありへの応募作です。

http://piapro.jp/t/Qact

@歌詞について
四季折々に触れては離れ、歳を取る度物忘れが激しくなる今日この頃。
なくしたくないものはたくさんあるけど、時のまにまに置き去りにして、ふと忘れていたことを思い出しては少し怖くなったりもするのです。

閲覧数:268

投稿日:2017/02/22 23:07:43

文字数:866文字

カテゴリ:歌詞

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  • オトズキ

    オトズキ

    ご意見・ご感想

    はじめまして!オトズキと申します。

    この度は自曲への歌詞募集への応募誠にありがとうございます!

    読むことで忙しくすぎる日々に対し「立ち止まる」ということを思い出させてくれる歌詞だなと思いました。とても深いです。

    思い出って思い出すまでは普段忘れているものですし、普段が忙しければその分思い出す回数も減るわけで…、大切だと思っていた思い出も忘れてしまっている物もあるんだろうか…と物思いにふけってしまいました笑

    思い出させていただきありがとうございます。

    使わせて頂くかのお返事は締め切りまでお待ちいただきたく思いますが先に応募へのお礼を言わせて頂きます。

    ホントにありがとうございます。

    それでは、今しばらくお待ちください。

    2017/02/26 17:59:50

    • nIbom

      nIbom

      おはようございます、nIbomです(^^)/
      メッセージありがとうございます!
      感想までいただけて感激です(≧▽≦)
      とても美しい楽曲で素敵な歌詞がたくさん集まっているので、完成を今から楽しみにしています♪

      2017/02/27 07:37:36

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