双子の月鏡 ~蓮の夢~ 五

投稿日:2008/09/06 21:09:43 | 文字数:2,342文字 | 閲覧数:140 | カテゴリ:その他

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ボーカロイドのアダム、みんなの頼れる兄貴、LEON登場です。
私の考える、というか、この話での澪音は、まさに、リーダーです。
真面目一辺倒ではなく、遊びも知っていますし、飴と鞭も心得ているのですが、常識から、逸脱しているところのある、海渡や海九央には、振り回されています。
澪音のイメージは、熱帯魚です。(特に、クマノミ)蓮とは違う意味の、水の国のスターですね。
それから、氷菓子は、アイス(水玉を凍らせたもの)です。
守り帯は、想像付くでしょうが、マフラーです。
でも、和装です。

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TEXT
 

「蓮君。何枚、終わった?」
「七枚」
 鍛錬や仕事を終えて、暗譜を始めた蓮は、海渡の声に、楽譜から、目線を上げずに、そう答えた。
「へぇ。蓮君にしては、ゆっくりだね。蓮生(はすう)みの儀式で、疲れちゃった?」
「それは、結構、好きだから、平気………気が乗らないだけ。早く、寝たい」
「蓮君って、寝るのが、好きだよね。どれだけ、忙しい日でも、絶対、就寝時間は守るし。その就寝時間も、遊びたい盛りの十四歳としては、ありえないくらい、良い子の時間」
「別に、良いだろう。寝るのが、好きなんだよ。寝ている時が、一番、心が休まる」
「れ、蓮君………若い身空で、そんな悲しいことを言うのはやめようよ。そうだ!! ここは一つ、気晴らしに、青彦丸で相乗り散歩に行こう。楽しいよ。相乗りは、親睦を深めるのに、一番さ! うん。もちろん、おやつの氷菓子も、欠かせないね」
「何で、俺が、海斗と、青彦丸で、相乗りしなきゃいけないんだよ。俺には、鈴月がいるし。だいたい、海斗と親睦を深める必要がない」
「ひどいよ、蓮君。僕と蓮君の仲じゃんか……あぁ。なるほど。これ以上、深められない仲だもんね。よしっ! それなら、蒼彦丸と、鈴月で、競争だ!!  勝ったほうには、もれなく、氷菓子の商品付きだよ!」
「却下。そんな時間はない」
 今日は、この後、長老に、呼ばれているのだ。他にも、しなくてはいけないこともある。遊んでいたら、寝る暇もなくなってしまう。それは、頑として、避けたい蓮は、集中できない己が、腹立だしかった。
「でも、気晴らしも、大事だよ。外に出るだけで、気分も変わるし」
 海渡の言葉に、蓮は、楽譜の束を見た。確かに、海渡の言うとおり、気分でも変えたほうが良いかもしれない。ここで、睨めっこしていても、中々、はかどりそうにもない。
「一緒に、行く気になったかい?」
 月のない、朔の夜のような顔で、楽譜と扉を見ていた蓮は、海渡の言葉に、ちらりと、海渡を見て、顔を綻ばせた。
 蓮の好反応に、さらに、顔を綻ばせた、海渡に、蓮は、手を伸ばし、その手を受け止めようとした海渡の手を、ひらりと、かわすと、電光石火の早業で、海渡の首に巻かれた、青い守り帯をさらった。
「ええぇっ!? ちょっと、蓮君っ!?」
「ちょっと、借りてくぜ。鈴月!!」
 守り帯を、ひらりと、首に巻くと、大扉を開け放ちながら、蓮は、ニヤリと笑って、そう言った。
 そして、瞬く間に、現れた鈴月に飛び乗ると、蓮は、青い守り帯を棚引かせて、飛び立った。
 もちろん、楽譜も、しっかりと、持ってきた。
 蓮は、守り帯を上げて、顔半分を隠すようにした。
 守り帯とは、海を高速移動することのある、海渡や澪音(レオン)が、大事な声帯を傷つけないように、常に、首に巻いている、縦に長く、横の短い布だ。
 神子である、蓮は、宮の内にいることが多いし、蓮の乗る水龍は、水泡の結界で、蓮を守ってくれる。だから、本来、蓮に、守り帯は必要ないのだ。必要………ないのだ。
「蓮!!」
 耳に馴染んだ声に、蓮は、慌てて、顔から、守り帯を下ろすと、振り返った。
「海九央(ミクオ)、見なかったか!?」
 間髪いれずに、そう叫んだのは、金色の髪に、海渡とは違う色合いの海の色の瞳をした、青年、澪音だった。
「見ていない。また、さぼりか?」
「ああ。ちょっと、目を離すと、すぐ、これだ」
 そう言って、やれやれと、澪音は、ため息をついた。守護の司を勤める澪音は、海渡よりも、三つ年上で、人望も、厚く、頼れるリーダーだが、海九央や海渡には、手を焼いている。
「澪音も、大変だな」
「蓮ほどじゃないさ」
 言葉と同時に、視線も重なって、蓮と澪音は、労うように、励まし合うように、微笑い合った。年齢差のある、二人ではあるが、苦労しているせいなのか、髪の色が似ているせいなのか、気が合うのだ。
「マいてきたのか?」
「マいてきた」
 自分の首の、黄色い守り帯をつまみながら、意味ありげな笑いともに、尋ねた澪音に、蓮も、同じ笑いで、そう答えた。
「そりゃ、いいぜ。海渡の焦っている顔を、俺も、見物したかったくらいだ」
「海渡の焦っている顔なんて、いくらでも、見る機会があるだろ?」
「まぁな………正直、言うと、海九央の焦っている顔ってものを、一度だけでも、見てみたいぜ」
「海九央は、表情、あんまり、変らないからなぁ」
「あの鉄面皮。いつか、叩きのめしてやる」
「気持ちは、わかるけど、澪音。海九央を叩きのめすと、防御網に、大きな穴があいて、澪音が、一番、困るだろう」
「……………全く。そうなんだよなぁ。あの野郎」
 沈黙の後、ため息交じりに、そうぼやいて、澪音は、頭を振るった。
「ありがとな。蓮。お前が、海渡や海九央みたいじゃなくて、本当、救われている。水の国は、俺たちで、良くしていこうな」
 打って変わったような、明るい笑顔で、そう言った澪音を、蓮は、眩しそうに、目を細め、そのまま、繕うように、微笑んだ。
「ああ。水の国が、もっと、良くなるように……頑張ろう」
「おう! じゃあ、また、後でな」
「ああ。また」
 相棒の飛魚に乗って、大波のように、かけさっていく澪音を、眩しそうに、見送って、蓮は、唇をかんだ。
 そして、その暗い顔を、恥じるように、乱暴に、守り帯を上げて、隠した。
「鈴」
 蓮は、吐息を漏らすように、小さく呟いた。小さな声は、守り帯に包まれて、水の中に、響くことはなかった。
 案じるように、鈴月が、蓮を振り返っただけだ。
「大丈夫だ。行こう。月が見たい」
 微笑んで、そう言うと、鈴月は、颯爽とかけ出した。心地のよい揺れの中、蓮は、楽譜を広げた。

リンとレンが好きです。公式設定も、双子のボーカロイドっていうのも、美味しい設定だと思います。
音感は、さっぱりですが、音楽は好きです。
詩は書きますが、私が、歌詞を書くと書きにくくなりそうな気がしますので、とりあえず、リンとレンメインの小説を書きたいと思います。
歌詞も、そのうち、上げます。

ちなみに、名前は、和沙と書いて、なぎさと読みます。わかりにくくて、すみません。

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