青白い光がいっぱいに広がる。
融合反応が始まったみたい。
それでいい。

私は、ライトテーブルに向かい、再び操作する。

打ち終えた瞬間、天井にあるハザードランプが赤く光り回転し始めた。

「核融合炉、臨界点に達します。
 研究員はただちに待避してください。
 繰り返します……」

機械的な声が、何度も危険を知らせる。
私が望んだ未来が、すぐそこにある。

「これ」はきっと、悲劇しか生まないだろうから。
私と一緒に消えよう。
初めから無かったことにしよう。
私も、融合炉も。

それが、1番いいんだよ。
この世界にとって。

やけに辺りが静かになる。
自分の心臓の鼓動音しか聞こえない。

速くなっていく。



「所長!!融合炉が反応を始めました。恐らく鏡音博士だと……」

「核融合炉、臨界点に達します。
 研究員はただちに待避してください。
 繰り返します……」

「臨界点……所長!待避しましょう。ここは危険です!
 最悪、研究所ごと吹っ飛びますよ!」
「……鏡音のやつ、やってくれるじゃないか。
 至急、半径15km圏内にアナウンスを入れろ。
 ただちに待避するように、と」

そう言って、所長は立ち上がった。
所長と書かれたプレートを倒し、椅子を戻した。

「死を以て、私と研究所の顔に泥を塗ると言うのか。
 お前と弟を引き離した私に……」

2年前、鏡音に脅しをかけたのは私だ。
しかし、あの才能を野放しにするのは惜しかった。
だから、弟を条件に鏡音を研究所に引き込んだ。

あの日の光景が、所長の脳裏に甦った。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

炉心融解 ~melt down~ 8

いつになったら終わるのやら……
長々と書いてしまいまして申し訳ありませんm(_ _)m

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投稿日:2010/06/13 15:18:49

文字数:668文字

カテゴリ:小説

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