「ルカ女王様がお見えになります」

僕達やこのホールに居る人々が一斉に臣下の礼をする。少しすると、静かなホールに足音と衣摺れの音が響く。僕達より一段、高い壇上で足音が止まり、女性にしては低めの声がホールに響く。

「皆さん。お待たせしました、顔を上げて下さい」

皆、女王の言葉に臣下の礼を解き顔を上げる。レンが顔を上げた先には、ピンクの髪を腰まで伸ばしたやや紫色が濃いめの群青色の瞳をした美しい女性が立っていた。女王の群青色の瞳は何もかも見通す様な輝きを放ちホールの人々を映し出す。

「忙しい中お集まり頂きありがとうございます。今日から二当家の子供達をお預かりさせて頂きます」

ルカ女王様が僕達家族の方を見て名前を呼ぶ。

「リン=ベルトーク・レン=ベルトーク」

「「はい」」

二人同時に返事を返す。

次にルカ女王様が、僕達家族から少し離れた所に視線を向け呼び掛ける。

「グミ=タンタール」

「はい」

深緑色の髪を肩ぐらい切り揃えサイドの髪を長めに伸ばした、瞳は髪の色より明るい色のこちらも綺麗な深緑色をしている。僕やリンと同じくらいの年齢の少女が良く響く声で返事を返す。そしてルカ女王様がグミさんの少し後ろを見て呼び掛ける。

「ネル=イージス」

「はい」

次に返事をした少女は僕達より少し年齢が上に見える。長めの金の髪を左側の高い位置で結んだ、鋭い眼光の金色の瞳をルカ女王に向けながらしっかりと返事返す。

・・・・・・実は女王候補はリンだけじゃ無い。タンタール伯爵家の娘の一人も女王候補だ。身分は伯爵だがこの国のヅーキ教で力のある家。その手腕には色々と黒い噂が有るとか無いとか・・・
僕がタンタール伯爵家について知っている事を思い出していると、ルカ女王様の声が響く。

「ベルトーク公爵、タンタール伯爵。今日から二当家の子供達を女王の名の下で預かります。暫くは離宮に慣れて頂く為、家の方に帰すのはむずかしいと思いますが宜しくお願します」

「了解しました」

「御心のままに」

最初に僕の父が答え、次にタンタール伯爵が少しキザな仕草でルカ女王様に返事を返す。二人の返事を聞き、ルカ女王様が今度は僕達の方を見て

「リン=ベルトーク。グミ=タンタール。二人にはこれから沢山の事を知り、覚えて、色々な事を学んでいってもらいます。その中で辛い事もあると思います・・ですが、どちらかが女王に選ばれるまでお互い精励し合い頑張って下さい。私は二人に私が、知ってる限りを教えていきます。二人とも宜しくお願しますね」

「「はい」」

二人が一緒に返事を返す。

「そして、レン=ベルトーク。ネル=イージス。二人は守護騎士。女王候補をしっかりと守って下さいね。そして二人も、何者にも(何にも)・・負けない様に鍛錬を怠る事無く精進して下さい」

「「はい」」

僕とネルさんが女王の言葉に真剣な表情で頷き、返事をする。ルカ女王様も僕達の顔をしっかり見て頷く。そしてふと言葉を続ける

「後、ここ離宮では四人は同じ学ぶ者達です、身分の差は無いのでそのつもりでお願いしますね。私からは以上です。家族とは暫く会えなくなるのでお別れを済ませて、後の事はマーリアに聞いて下さい。マーリア前に」

ルカ女王様はそれだけ告げるとクルリと後ろに向き直り戻って行った。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

月の物語[小説]運命の輪2

オリジナルキャラの方々も出ます。まだまだ続きます。投稿ペースは遅いです。

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投稿日:2018/01/31 10:16:19

文字数:1,381文字

カテゴリ:小説

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