許されないと知っていても 許されないってわかってる
一緒にいたい そばにいたい
ねぇ お願い
共に堕ちよう(ましょう)…――?
オリジナル変換小説№3
『magnet』作詞:作曲:みなと(流星p)様 唄:初音ミク・巡音ルカ
『おはよう』
一日の始まり
今日は日差しも暖かくて気持ちのいい朝なのに
ココロが燻るようになったのはいつからだろう?
あの子が私に眩い笑顔を向けるたびに心が飛び跳ね、頬が赤く染まってしまう
それを悟られないように笑顔で微笑みかけるのは多分あの子は知らないでしょう
「先輩、おはようございますっ」
私の心とは対照的に眩しい笑顔で挨拶をしてくれる‘女の子’
友達にも言えない。ずっと、隠してきたこの想い
小さな火がいつの間にか燃え広がり、心の鍵を開けようとする
『今日も可愛いわね』
「やだっ!先輩のほうがきれいじゃないですかっ!」
そんな風に微笑まないで
その笑顔でどうにかなってしまいそうなの
『ふふっ、ありがとう』
気づかれてはいけない
知られてしまったらこの子は離れていってしまうかもしれない
けれど
『…いいわねぇ、この肌、やっぱり若いって羨ましいわ』
「な…っ!先輩、私たち1つ差ですーっ!!」
頬に触れてさすれば、顔を赤らめるこの子はとても可愛くて…
このぐらいならば、この子に触れてもいいわよね…?
そうして、自分を苦しめると知っていてもあなたに触れたいの
『冗談よ、冗談、ふふっ…』
「もー先輩ったら」
何気ない日常、それを超えてしまったらもう、戻れない
あの子が私と同じ気持ちなら…―
なんて、妄想に耽っても目の前にいるこの子は私を‘先輩’としか見てくれない
どうしたら、どうしたらあなたは私を見てくれるの…?
「…先輩…?」
私のことを心配そうに見てる…
いけない、この子に心配をかけてしまった
『ごめんね?大丈夫。それじゃあ…また昼休みね?』
「はいっ」
そう、あなたは笑顔がとても似合うから、
曇らせてしまわぬように私はこの想いをココロに隠しましょう
そうすれば、あなたは笑顔のまま私を見ていてくれるかしら…?
教室に入って、他愛もない話を友達としていると、授業の合図の鐘が鳴る
私の席はグランドの窓側。肌寒い風が窓から吹く
少しすると授業担任が入ってきて、眠りを誘うような言葉の羅列を聞きながら
私は授業に集中する
…集中、してた…身体だけ…
頭の中ではずっとあの子のことばかり過ぎってしまう
あの子の髪、頬、声、手、唇…
すべてが愛おしい
何度、あの身体を抱き寄せたいと願っただろう
何度、あの唇に触れたいと願っただろう
何度…そんな風に考えては妄想に酔いしれ現実に引き寄せられる
もう、底まで溺れてしまえればいいのに…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私には大好きな先輩がいる
誰にでも優しくて尊敬できて、とても綺麗な先輩
だからこの時間が、先輩を独り占めできるこの時間がとても嬉しくて幸せで
毎朝、他の子が先輩に話しかける前に笑顔で挨拶する
『先輩、おはようございますっ』
いつ見ても綺麗な先輩
だからこそみんなが先輩に見とれている
先輩が私だけのものになってくれればいいのに…
他の子になんか渡したくない
先輩は…私だけ、私だけを見ててくれますか?
そんなこと言えるはずもなくて、他愛もない話をして先輩と学校へ向かう
「今日も可愛いわね」
ぼーっと歩きながら言われた些細な言葉
それがどれほど嬉しかったか…
『やだっ!先輩の方が綺麗じゃないですかっ!』
きっと先輩は冗談で言ってるんだ。私なんか可愛いはずがない
それでも嬉しくて、恥ずかしくて、照れてるのを隠すように笑顔で返した
「ふふっ、ありがとう」
先輩の綺麗な笑顔を見るたびに苦しくて、嬉しくて、切なくて
色々な感情が頭を廻ってしまう
おかしいなんてわかってる。だって先輩と私は女同士
それでもこの気持ちはどうにもできないの
先輩が私を特別な好きで見てくれている以外は
『…いいわねぇ、この肌、やっぱり若いって羨ましいわ』
またぼーっとしていたら先輩に頬をさすられた
一瞬反応が遅れてしまい、慌てて答える
「な…っ!先輩、私たち1つ差ですーっ!!」
そんな私を笑うかのように微笑む先輩が益々綺麗で、思わず見とれてしまった
顔が赤いのなんてもうこの際どうでもいいや
今は先輩しか目に映らない、とても大好きで大好きで仕方ない先輩
‘好き’
この気持ちは嘘じゃない。けれど…
そう考えてる間にも歩く速度は変わらず、校舎に辿り着いてしまった
このまま時が止まればよかったのに、そうすれば先輩と一緒にいられる
なんて考えてたら隣にいる先輩の様子がおかしい
いつもなら先輩がまた昼休みに、って言って別れるのに
『先輩…?』
声をかければ私が居たことに今気づいたかのように驚きつつもいつもの返事を返してくれた
どうしたんだろう?もしかして私のせい…?
そんな不安を気づかれないように笑顔で挨拶をして教室に向かう
友達に挨拶されたけど私の頭は対応しきれない
頭を廻るのは
‘嫌い’の三文字
もしそうだとしたら、先輩に嫌われてしまったら私はどうしたらいいの?
先輩のいない毎日
先輩が私以外の子と登校する
先輩が私以外に微笑む
そんなの絶対にいやだ
どんなに考えてもマイナス思考にしかならなくて
あっという間に昼休み
友達が心配してくれたけど今は早く先輩に会って聞きたい
おかしいと思われたって構わない。だってこんなにも先輩が好きなんだもの
嫌われてしまうのなら……
「あら、早かったのね」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
人の気配がして扉を見てみると愛しいあの子の姿
走ってきたのか少し息が乱れているようで…何故だかそれさえも愛おしく感じる
ここまで墜ちてしまった…なんて苦笑を浮かべながらあの子に声をかけた
「先輩…っ!あの…」
予想とは裏腹に悲しそうな顔をしながら私を見つめている
頭が理解しないうちに愛しいこの子を抱きしめた
後のことなんて関係ない。今は壊れてしまいそうなこの子を確かめたくて…
ゆっくり、それでも確かに手を伸ばして抱きしめてくれた
その途端、冷たい何かが服を湿らせた
『先輩…っ、先輩……っ…』
子供のように泣きじゃくるのはどうして?
お願いだから泣かないで、何があなたを不安にさせているの?
友達?先生?それとも…
「大丈夫?」
出来る限り優しく問いかけても返事がない
あなたが苦しむ姿は見たくないのに…何があったの…?
『先輩…っ、私…』
こんなときにも可愛いと思ってしまう私は重症なのかしら
ごめんなさい、でも、もう我慢できそうにない
聞こえたのは微かなリップ音で、当然響かせたのは私
ではなく、意外にもあの子だった
『えっ…?』
「先輩、ごめんなさい、私、先輩が好きなんです。気持ち悪いかもしれません、おかしいかもしれません。だけど大好きで、朝、先輩がぼっーとしてたから、私のこと嫌いになったんだって、でも頭の中先輩だらけで、大好きなんです…私のこと嫌いですか…っ?」
少しの静寂、きっと何秒もしていないのだろうけど私には何十分も経ったように思えた
泣きながら訴えてくる愛しいこの子をどうしたら離せるのだろう
まさか同じ気持ちだったなんて…こんなことになるなら伝えてしまえば良かった
心配をかけたくない、嫌われたくないと逃げていた罰ね
「ごめんなさい」
そんな私が呟く言葉を拒否として受け取ったのか、酷く苦しそうに離れていく
違う、そんな意味で伝えたわけじゃないの
私だってあなたのこと…
離れていく愛しい子をまた抱き寄せてキスをした
今度は私の想いを確かめ、伝えられるように
『先輩…っ、私…』
「私も大好きよ、ちゃんと伝えられなくてごめんなさいね」
そう伝えれば泣きながらもいつもの笑顔を取り戻してくれた
そう、あなたには笑顔が似合うから、ずっと私の隣で笑っていて?
その想いが伝わったのか微笑む大切で愛しい後輩
もう後悔しない、手放さない。ようやくあなたが手に入ったのだから
おかしいなんて私たちには関係ない。こんなにも想い合っているんですもの
もう一度確認するかのように今度はどちらともなくキスをした…―
抱き寄せて欲しい 確かめて欲しい
間違いなどないんだと思わせて
キスをして塗り替えて欲しい
魅惑の時に酔いしれ溺れたい
墜ちて墜ちて、光が届かなくなってしまっても
あなたと一緒なら私は…―――
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