眦に差し込んだ
ほこり混じりの扇風機
差し向けたその風が
不意に、ぬるくなった

「おやつの時間は終わったの」
傍らの少女は説く
午後4時十分前の
とある葉月の頃

―思患(おもわずら)えれば、そのまま水になってしまえば思い出となるか―
―白雨に流せれば、このまま此処に在れたのでしょうか―

歪な樹木の側
ささやく葉擦れの声を
白雨(しらさめ)に例えた
いつかの日の出来事



眦に冷や水を
注がれて寝転んだ
肌をまだら影が落ち
ひやり、沁みた薄荷

「おいとま時間は過ぎました」
傍らの少女に説く
午後6時を過ぎた頃
手を振ったまた明日

―思患えれば、そのまま水になれて流れて果てられるか―
―白雨を探せば、西日の風へと紛れたのでしょうか―

失くした麦わら帽子
遮るあぶら蝉の叫び
白雨で覆った
いつかの日の出来事


眦に冷や水と
鉄臭い缶切りの音
僕を充たした罪の
日差し白雨に似て

亡くしたあの子を
傍らの少女だと説いた
午後が過ぎた出来事
僕が死んだ出来事

白雨と例えた君はもういない

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

百日草―ジニア―

夏休みに友達をを亡くした少年の追憶。遠いあの日の出来事は歩む僕には過去の出来事だけれど、思い出にするにはあまりにも鮮明すぎたんだ。

百日草、ジニアの花言葉は「不在の友を想う」
忘れたくなくても紙の上の記録と化す「あの子」の死は、当時少年だった「僕」の死でもあるのです。

いつもの曖昧なテーマより、もっとドラマ性のあるものを目指しました。
結局いつもと変わんないっていうね…

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投稿日:2010/08/25 17:15:33

文字数:454文字

カテゴリ:歌詞

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