青い空がどこまでも続いている、というありきたりな表現しか出来ない程、今日の空は晴れていた。
こういう日は、家に引きこもるのが一番。
・・・なんて、普段の私からは想像もつかない後ろめたい理論論理なんだけどね。
さて、今日は何しよう。また妄想でもしようかなぁ、それとも・・・。
「まーすたー♪」
・・・カイトと話しようかな。少し退屈だし。
「なぁーにー、かーいとー♪」
ノリがいいのは私の数少ない長所である。なんて、志願書には書けないけどぉ。
「僕の誕生日、覚えてますか」
あ、だからそんなにうれしそうなんだ。それに、期待しているのか。
できれば、そういう期待とか希望とか全部打ち壊したい衝動に駆られるけど、今の私には無理な事。今の私は、そこまで意地悪じゃないよ。
だから、
「分かるよ。・・・ええっと、なんだっけ。・・2月の14日と17日、でしょ?」
と期待と希望に思う存分応えてやった。ううん、応えた、という方が無難か。
「そうですよ・・・☆」
私が覚えていたという事で、一気に機嫌が良くなった。ような気がする。
「でも、14日はともかくとして、よく17日も誕生日だって覚えてましたね」
妙なところで感心するカイト。
「だって、調べたもん」
私の簡略かつ簡潔な理由を述べた。・・・記述問題でもこう簡潔だといいのになぁ。
「え、調べたんですか。マスター、それってぷらいばしーほごほうに違反しますよ」
「カイト、ニュースで言ってる事を鵜呑みにしないの。でも、まぁ、あながち間違ってはいないけどさ」
「他にどんなこと調べたんですか」
「え・・・体重とか身長とかあとは、ひみつだべ」
「うわ、マスターって実は隠れストーカーですか嫌じゃないですね」
「・・・嫌じゃないならいいじゃんか」
それに隠れストーカーって何だ。ストーカーもこそこそしてるのだから、隠れでもあんまり変わらないような気がする。
なんて、詳しくはあんま言えないけど。
「でさ、カイトにさ、チョコやろうと思って・・・」
「え、本命ですk」
「いいえ、ぎ・り・チョコなんだべ」
似非方言ならぬ似非放言炸裂の私に、カイトは少し残念そうな笑いを浮かべた。察するに、悲しいけど似非放言の私に可笑しくて仕方がないと。うん、私の推理は今日も絶好調。
「・・・ちなみに本命チョコに誰に渡s「えー、後輩にぃ貰うけど?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
カイトはずいぶんと逡巡してから、言った。
「どういう意味ですか」
ずいぶん黙り込んだ割にはずいぶんと短いな、そう思いながら言うことにした。
「そりゃぁ、だーいすきな後輩やら男の子とかあとは友達とか。でも貰ったのはあのこと友達一名。まぁ、あのこには今度何か奢ろうかと。あとはぁ、食い逃げというプレゼントさ!」
「ええ」
「でも、貰ったのは現時点で2人だし。片方は友チョコだし、もう片方はいわゆる社交辞令という名の義理チョコだしね」
「・・・へー」
「あー、後輩から欲しい。義理じゃなくて、本命を」
「えええ」
「だって、先輩として欲しくない?後輩の本命チョコ」
「・・・んー?」
「言ったのよ、後輩の特に好きな『ツンデレなあのこ』には本命チョコちょうだいって。そうしたらツンデレなあのこはどう返事したと思う?」
「・・・『うん・・・私ので良ければ・・・』、ですか?顔とか名前とか分からないですけど」
「うわぁ、そう言われたらやばかっただろうなぁ、色んな意味で。でも、はずれ。ツンデレなあのこという表現にも注目してよ。普通に、『いやです』って笑顔で拒否られたよ」
「で、マスターはどうしたんですか?」
「んじゃ、義理でもいいからちょーだいとねだりました」
「うわ、悪質な。・・・それで?」
「まぁ、笑顔は絶やさぬままどっか行っちゃったから、多分もらえるかと。あーー、でもなぁ。・・・部活ないし。あ、でも」
「どうしました?」
「2つ下の可愛憎たらしい後輩が、今度部室来てくださいねって言われた、けどぉ!」
「それで?」
「行けなかった・・・時間もずれてたしぃ・・・。」
「ありゃ、そりゃ残念です」
「うわーん、どうして私らだけ早く帰れるのよぉー!」
「・・・そうでしたか。どうりで帰りが早いわけです」
「本命チョコ・・・欲しい。あ、そういや、クラスの男子共もはしゃいでたなー、まぁ、私は今となっては渡さないけど」
「えー」
「だって、私一度も男子にやったこと・・・ん?あれら?んーー???」
「お?その反応は心当たりあり、という感じですねぇ」
「・・・んん?あれ・・・やったこと、あるっけ?あ、でもそれは小学校の時か」
「へぇ、それは本命ですk「んなわけないよ☆」
思わずぶっ叩く私。
「いったぁ・・・ひどいですね、暴力反対、ですよ」
「だってぇ・・・」
「じゃあ、中学校は?どうですか?」
「あ・・・一回危うくやりそうになった男子ならいるよ。あの時はちょうど余ってたし、欲しいならあげてもいいかなって。でも、友達が割って入ったからその友達に余りのチョコあげたから、結局渡さなかったかな」
「へぇ、面白くない」
「・・・」
「じょ、じょーだんです!他愛もない!」
「・・・で、あとは、部活の先輩に一昨年あげたよ。で、言われた言葉が『ありがとう、私はお返しできないけど』だっけ」
「それって、ただの食い逃g「う る さ い」
「・・・自重します。それで?」
「で、あとは・・・あ、そういや小学校の時から、ずぅぅっとチョコあげてた友達がいたっけ。今年はどうだろ・・・まだ分からないけどね」
「へぇ、それで?」
「あ、それで、その友達があの割って入った友達一号だったかな。ちょうど渡しそうになった時、『余ってるんなら私にちょーだい』って。それで私からチョコを受け取って『ありがとー』って、その男子に勝ち誇った目で見つめていたとさ」
「へぇ、マスターって人気ありますねぇ。それで?」
「で、そのあとは・・・あ、そういえばそれで、その男子はね『なんだよ、俺にもちょーだいよ』とか言ってたんだけど、その友達は『だめ。まだ渡す友達いるんだから。先輩とか、いるんだよ。だから、お前に渡すチョコはないんだからさ(一部誇張あり)』って言ったの。そしたら、その男子は一言『じゃあ、来年俺にくれよ!』っていわゆる捨てゼリフを言って帰ったの。その友達はなんかほっとしてたような感じがしてたっけ。で、そのあとその友達とも別れて帰ったっけ」
「へぇ、おもしろいですね」
「でしょ?で、あとは・・・なんかあったっけ?ええっと・・・」
「何かありますか?」
「あ、あった。それでね、一昨年の話なんだけど、あ、ちょうど部活の先輩にもあげたのもこの年なんだけど、小さい頃からの友達・・・あのことあとはいっちばん最初の席替えの時に知り合った友達と3人でチョコを作ったの。といっても実際作ったのは私とあのこだけどぉ。でも、楽しかったなぁー。修学旅行でのあのこと一緒にのんびり買い物のあのひとときも楽しかったけど、この時も楽しかった。・・・もし、こんなに忙しくなかったらまた、あのことチョコ作ってたかもね・・・。あはは」
「その感情は分かりますよ、すっごく」
「あはは。それで、普通に作るだけじゃあきたらずカップチョコに上表面になんか色々砕いて乗せてたっけな。面白かったよー。あたりとかはずれとか色々やって。・・・もうあの頃に戻れないの。分かってるんだけど、だからこそ、あの時は思う存分はしゃいでたのかもしれないねぇ。時間は進む。どうしようもできないし、止めることもできない。だから、だから、思いっきり楽しんだのかもね。昔の私は無邪気で無垢だったから、ある意味そういうことが分かってたのかもね。今は・・・そうでもないけど」
「・・・とっても深遠ですね」
「にゃはは。で、あとは・・・これでおしまいかな。今年は作るかどうか分からないけど、多分作らないかも。渡す男子もいないし、友チョコくれたあのこは今度卒業したあと遊んだ時にでもゆっくり話でもしておごるから、いいでしょ?」
「いいですよ」
「だから、今年はチョコは多分やるとしても来年か。だって、本命チョコあげたい人も・・・いるしさ」
「え・・・」
「あはは、約八九割冗談の本気だよ。あはは、カイトってば気にしすぎー」
「あ、そうでしたか。それで、僕にチョコは・・・?」
「あー、今からでもいいかな?・・・一緒に、行こ」
にゃはは、我ながら良い演技力じゃ。年取った猫みたく内心声高らかに呟く。
「・・・い、いいですよ」
少しどぎまぎカイト。にゃはは、引っかかってやんの♪
・・・まぁ、たまにはこういうのも悪くはない。


そう、りあるだけじゃなく、たまにはにじげんでもいいでしょ?

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

拝啓 想い出と思いでと想いでと思い出とバレンタインと君に本命チョコを

こんにちは、もう最近いそがしっくってチョコを全く準備できなかったもごもご犬です!
後輩から本命チョコ・・・憧れです理想ですもはや願望かも←
あ、でもチョコだったら意味合いは違くても受け取る派です。
でも、お返しのチョコがないからどうしようもないという・・・。
一緒に遊んでいる仲の友達ならいいんですけど・・・ね?
という実に思い出深すぎるバレンタインですが、マスカイも負けず劣らず何かに対抗してみました←
何に対抗したのかはあえて何も言わないでくれ。
とりあえず、楽しんでくれたら嬉しいですよ!
それでは、良いバレンタインを。

閲覧数:130

投稿日:2010/02/13 11:46:10

文字数:3,609文字

カテゴリ:小説

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