ただ澄んでただ蒼くて
 
 指先すり抜けていく風

 
 「いぃぃやぁッ!!」
 「ふんッ!!!」
 
 
 手が届きそうででも届かなくて
 
 わたしは見上げるしかできなかった

 
 「首都到達まであと三十分です!」
 「はい、急ぎましょう!!」

 
 心・・・・・・
 
 何所へ・・・・・・
 
 向かう・・・・・・
 
 その先に光が見える
 

 「くそッ!くそッ!!こいつらぁ!!!」
 「数が減ってきてる!!あと少しだ!!!」
 「隊長大丈夫かなぁ?!」
  
 
 蒼天の空を
 
 風に乗せられて
 
 流れるように滑るように

 体の中をあの蒼さがかけ抜ける

 Fly the Sky 
 
 空の色がココロ包み込む
 
 
 「GP-1!!」
 「うん!!!」
 

 暗くて何も見えなくて

 心の中の濁る黒さ


 「ワラ?!キク?!応答して!お願いだから返事して!!」
 「注意、ミサイル接近!!」
 
 
 希望・・・・・・

 見える・・・・・・
  
 何所に・・・・・・
 
 在るかは、君が知ってる

 手を・・・・・・
 
 引いて・・・・・・

 行こう・・・・・・

 その先へ飛び立てる

 光見える
 
 視界が開く


 「こちらファランクス、エンジン被弾!!燃料インジェクションが使用不可!」
 「ファランクス、脱出したまえ!!」
 「綺羅、無理すんな!!早く出ろ!!!」

 
 蒼天の空を

 翼羽ばたかせて

 踊るように奏でるように
 
 心の中にあの光が輝く

 Fly the Sky

 あの蒼さが君に映えるよ
 
 
 「状況を知らせろ!」
 「敵アンドロイド、数が徐々に減少していきます。あと一息です!!」
 「A-49空域にて、ソード1、GP-1が最後の敵機を撃墜!!!」
 「よし!!!ソード5は!」
 「A-65空域にて戦闘中!敵は一機です。」
 「ミクオか・・・・・・!!」
 
 
 空・・・・・・
 
 空・・・・・・
 
 高く・・・・・・

 高く・・・・・・

 その先へ・・・・・・

 光の先へ・・・・・・

 舞う・・・・・・

 僕の翼と

 君の空色


 「そうだ。いいぞ雑音さん!!この感覚・・・・・・この感覚だ!!最高に気持ちいいよ!!!本当に光栄だ!!!!それッ!!!!!」
 「わたしも!!!君と飛べて、君と戦うことが!!!いやァッ!!!!」
 「ナノマシンのせいじゃない!!!」
 「わたしの意志で!!!」
 「君と!!!」
 「まるで・・・・・・まるで天使のような・・・・・・!!!」
 「そう・・・・・・空の黒い天使・・・・・・。」
 「え?!」
 「Sky of Black Angelだ!!!!!」
 「ミクオ・・・・・・!」
 「さぁ、そろそろ決着を付けよう。ストラトスフィアが首都に突入するまでもう時間がない。」
 「分かった・・・・・・次の一撃で!!!」
 
 
 壮大な世界

 広がる地平線

 雲海を見下ろして
 
 星達が煌く

 風は翼を舞い上がらせて

 高く高く蒼天へ・・・・・・


 「制御ロック解除に成功しました!!!」
 「やった!!!あとは進路を変更するだけです!!!」
 「ようし・・・・・・僕はこれでも科学者なんだ。やってやるぞ!」
 「ゴッドアイ、聞こえるか?これから博士が進路変更をやるぜ!!!」
 『よっしゃ!!!こっちはいつでもズラかる準備はできてるよ!!!』
 
 
 蒼天の空を

 風に乗せられて

 流れるように滑るように
 
 体の中をあの蒼さが駆け抜ける

 蒼天の空を

 翼羽ばたかせて
 
 踊るように奏でるように
 
 心の中にあの光が輝く

 Fly the sky

宇宙(そら)舞い上がるにつれて

 ココロの鼓動は響いて

 僕にあるもの君にあるもの

 僕の翼
 
 君の空色
 
 
 「うおぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!!」
 「いやぁぁぁぁぁああああああ!!!!!」

 
 二人で創ろう蒼穹(そら)の旋律

 
 
 「うぐッ!!!」
 「かッ!!」
 わたしのブレードがミクオの胸を貫いた。
 肩を掠めたミクオの武器が離れて、落ちていった。
 「は・・・はは・・・・・・どうやら、僕の負けみたいだ・・・・・・雑音さん強いなぁ・・・・・・。」
 「ミクオ・・・・・・もうやめよう。こんなこと。やっぱり、こんなこと殺し合いでしかないんだ。」
 「手が動かないや・・・・・・神経をやられたかなぁ・・・・・・?」
 「ミクオ!!」
 「まぁいいや・・・・・・さぁ雑音さん僕に止めを。その背中の武器で、頭を撃ち抜いてくれ・・・・・・。」
 「・・・・・・だめだ・・・・・・。」
 「どうして・・・・・・君は・・・・・・僕のことが憎いはずだ。」
 「もう、いやなんだ。目の前で人が死ぬのが・・・・・・!」
 「僕は人じゃない・・・・・・人じゃないから兵器なんだ・・・・・・兵器だから人を殺した。だけど感情はある。争いや人殺しを望まない感情が。だから僕はもう疲れてしまった。人も自殺をする。自ら死を懇願する。それは、生が我慢できなくなるほど辛くて、死に安息を見出そうとして・・・・・・僕も同じだ。あのまま殺戮兵器として生きてても僕の心が開放されることはないだろう・・・・・・だから死ねば少しは楽になるかもしれない。それに、これだけの大事を犯した僕に明日はない・・・・・・どの道、死ぬ。せめてここで君に殺してもらったほうがずっと幸せなんだ。ねぇ雑音さん・・・・・・君は、ボーカロイドの仲間入りをするそうだね・・・・・・残念だったなぁ・・・・・・キミが歌うところ、見たかったなぁ・・・・・・さぁ、早く。僕を楽にしてくれ。」
 ミクオは、静かに言った。
 「だめだ・・・・・・だめだだめだ!!!」
 突然、目から涙が溢れ出して、ミクオの顔がぼやけた。
 「どうしてぇ・・・・・・?」
 「君を殺したくない・・・・・・。ワラやキクにも謝ってほしい。それに、さっきまで君と飛んで、何か、大切なものを感じた・・・・・・。」 
 「雑音・・・・・・さん・・・・・・。」
 「君を・・・・・・基地につれて帰る。」 
 わたしはミクオの体からブレードを引き抜くと、力のないミクオの体を抱き上げた。
 そのとき、お腹に痛みが走った。
 ミクオが、最後の力を振り絞って私のお腹を蹴り上げていた。
 「あぐッ!!」
 どうして・・・・・・?
 ミクオが手から離れて、海に落ちていく。
 「ミクオ!!」
 「雑音さん・・・・・・ごめんなさい。」
 ミクオの声が聞こえた。
 その瞬間、ミクオの体が眩しい光を出した。
 そして、炎を上げて、爆発した。
 え・・・・・・・?
 「ミクオ・・・・・・?」
 すぐに炎は消えて、そこにはただ海があるだけだった。
 「あ・・・・・・あぁぁ・・・・・・!」
 なんで・・・・・・なんで・・・・・・!
 「ミクオーーーーーーー!!!!!!」
 
 
 「ソード1よりソード5、聞こえるか?」
 「隊長!みんなは?GP-1は?ひろきは?」
 「敵は全滅した。生き残ったのは俺達ソード隊と雪峰のランチャーとファランクス、ストラトスフィアの進路変更、自動操縦への変更を完了した博士を乗せたゴッドアイはたった今ストラトスフィアより離脱。寄り道せずに基地へ帰投する予定だ。」
 「よかった・・・・・・!」
 「お前のほうはどうだ。ミクオはどうなった?」
 「・・・・・・・自爆・・・・・・したんだ。」
 「何?」
 「殺したくなかったのに・・・・・・自分で死んでしまったんだ・・・・・・!」
 「そうか・・・・・・。」
 「隊長。」
 「なんだ。」
 「終わったんだな・・・・・・これで。」
 「ああ・・・・・・そうだな。」
 「あッ、隊長!そういえばヤミは?」
 「シック4か・・・・・・彼女なら、破壊された・・・・・・・・・。」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

Sky of Black Angel 第四十七話「Sky of Black Aengel」

閲覧数:150

投稿日:2009/12/24 21:41:49

文字数:3,319文字

カテゴリ:小説

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