兵舎の食堂に集いしフォレスタ・キングダムの騎士団。昼食とゆうものは武人にとって、ひと時の息休めである。
 今は“平和”なイルヴァルス大陸であるが、フォレスタ・キングダムの騎士たちは不測の事態に備え日々、戦いの訓練をしているのだ。

「午前中の剣技なんスッけど、団長の言葉にオレ、シビれちまったッス」

「あれか? 剣に振り回されるな! 剣は振り向かせるモノだって言うローランド流名言か?」

「そうッス、そうッス。前にスロイスの馬車を買ったときに言った『スロイスから降りても、恥ずかしくない一流の騎士に俺はなる』っつー、名言くらいかっこ良かったッス」

 食事中は、こんなふうにチャラい口調の騎士たちもカリスマ団長ローランドに率いられ、訓練場なる施設で己の剣術を磨き、大陸の秩序を護っているのだ。

 騎士ならびに兵が所属する組織とは、国が平和であると基本的に暇を持て余してしまう。

「っつうかオレ。来週、ダンサーやってる彼女の誕生日なんすよ。プレゼントにネーシャルの香水頼まれてて、騎士倶楽部で稼がないといけないッスわ……」

「それって、あのド派手な彼女か?。ネーシャルの香水なんかより、上品な香りがするサンマリのオーデがいいんじゃないか?」

「そうッスね〜っ。サンマリ、10000Gするから悩むッスよ」と食事中は先輩後輩に関係なく他愛ない身の上話をする騎士たち。

 この国の騎士たちもまた、1年を通して訓練、雑用、迷惑モンスター討伐、たまに夜のお茶会と言う具合に“戦争”がなければ平穏な毎日が過ごせる。
 平穏から派生する平和は、常備軍の軍縮に繋がり、軍縮は組織へ人手不足を招いてしまう。

 今回、ミクたちが受ける雇われ近衛兵のクエストも翌日に開催される催し物に必要な人員募集なので、皮肉にも平和がもたらした人手不足による成果だ。

「みんな。お昼ごはんを食べたら、なにをするのかな?」

 そう言ってミクは、マルゲリータピッツァを頬張っている。ひと口サイズ切り分けたピッツァを囓ると、焼けたチーズの芳ばしさがハーモニーを奏でている。

「それはまだ…わからないね……。ぼくとボーイは、魔術師の2人と別行動みたいだから……」

 フーガは、シルバーフォークを使ってレモンクリームパスタをクルクル巻きにしていた。皿の上に拡がるレモンの香りが彼の胸に付着し、甘酸っぱい匂いが離れないようだ。

「魔術師がする雑用ってなにかしらね?」

 これからする仕事に疑問点を抱くリンは、ペペロナータサラダを食していた。フォークを先に刺さる黄色いパプリカが故郷の田舎町を思い出さしてくれている……そんな感じだ。

「いつまで、ハチさんネタ引っ張ってんだよっ!」

 メンバーたちより一足先に食事を終えたレンは、グラスに注いだミネラルウォーターを飲んでいた。このミネラルウォーターは、飲むと目の新陳代謝を良くしてくれる五万年前の雪解け水らしい……。

「あっ……この水の味、グレートだよ……」


レンは【ミネラルウォーター】の力で頭がスッキリした


ミネラルウォーターの説明。
ただの水だと思うのならば、それは大間違いだ。
とあるセカイの料理人は、アフリカキリマンジャロからミネラルウォーターを入手しお客へ提供している。
この水を飲めば『ン まあーいっ!』という歓喜の声をあげて、君の眠気を覚ましてくれるだろう。

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次話
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ゲンジツ世界に存在する軍隊で兵士たちが暇な時は、こんな感じだ。
なぜ? そう言い切れるかだって?。
それは俺が元軍人だからだ……。

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投稿日:2020/01/27 20:01:58

文字数:1,407文字

カテゴリ:小説

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