「あ~つかれた~」
仕事が終わり、今住んでいるマンションの前まで帰って来た。
「最近、独り言が多くなってきたような気がするけどこの際どうでもいいわ」
自分の部屋の前に来て、バッグから鍵を取り出し鍵を開ける。
「ん?鍵が開いてる」
大抵、部屋の鍵が開いてる時は弟が来てる時だけ。
念の為、音を立てないようにドアをゆっくり開ける。
自分の住んでいる所なのにこんな事をしないといけないなんて・・・
「合鍵返しに来たのに、姉ちゃんおせえな~」
誰かと思ったら、弟の修也だった。
「修、こっちに来るときはメール入れとけって言ってるでしょ!!」
修也が私の所に来るときは、ちゃんとメールを私の携帯電話に入れる事が最低条件なのだ。
「ごめん、忘れてた」
修也は私にかなわない事を知っているせいか、すぐに正座になった。
「修、そのすぐに正座する癖は直しなさいよ」
「サー、イエッサー」
「敬礼もなし」
修也は次の返事をどう返すか悩んでいる時だった。
チャイムが鳴った。
「こんな時間になんだろ?」
「集金とか?」
集金はすでに払い済みだし、明日、明後日にはこの部屋を越す事になっている。
とりあえず、宅配便と言う事もあるから判子を片手に玄関に向かう。
「どちらさま?」
私は、ドア越しに返事を待つ。
「クリプとやまの宅急便です」
どうやら何か荷物が届いたらしい。
ドアを開けて、判子を押して荷物を受け取る。
正確には、玄関に置いて貰った。
「姉ちゃん、何だった?って、でか」
大きなダンボールが二つ。
内容物は、精密機械と書いてある。
しかも、見た事のない会社名が差出先に書かれていた。
宛先、ちゃんと私の名前『葉山玲菜』の名前が書いてあった。
「修君、心当たりはありませんか?」
私のみに覚えがないと言う事は、修也しかいない。
「えっと、かなり前に姉ちゃんの名前で応募したヤツだと思いますです、ハイ」
「私の名前を勝手に使ったと言う事は、これは私へのプレゼントと受け取っていいと言う事ね。多分中身は、デスクトップパソコンでしょうね」
「そんな殺生な」
「とりあえず、運びなさい」
文句を言いながらも、修也は大きな荷物を運んでいく。
「ココでいい?」
「とりあえずは、OK」
すでに大量の荷物を引越し先に送ってしまってる為に部屋には、大きな荷物が二つとベッドそれと洋服を入れておいてあるバックがあるだけ。
「開封しよ~」
「何で、うれしそうなんだよ」
「開けるのって、楽しいじゃない」
「そうか?」
「何か文句でも?」
「いえ、ありません」
などと、会話をしつつ開封してみる。
私の予想通りで、デスクトップパソコンが入っていた。
説明書に、軽く目を通してみる。
とりあえず先に送った荷物の中にあるパソコンよりは、こっちのパソコンの方がスペックが高いようだ。
「姉ちゃん、とりあえず組み立てて起動させてみる?」
「起動させるのはいいけど、ちゃんと片付けるのが最低条件」
「サー、イエッサー」
私が帰ってきてから注意した事をもう忘れている修也に呆れながらも、私は帰りにコンビニで買ってきたおにぎりを取り出して食べる。
私的にはコンビニ弁当は絶対に買わないようにしているけれど、流石に大半の荷物を引越し先に送ってしまったのもあって、仕方なくおにぎりをコンビニで買ってきたのだ。
「起動、起動~」
修也はうれしそうにパソコンをいじっているうちに、買ってきた三つのおにぎりを食べ終えた。
「修、私シャワー浴びてくるから」
「あれ?風呂じゃないん?」
「今日は、いろんな意味で疲れたからシャワーなの」
そう言って、下着の着替えとパジャマをバックから取り出し更衣室に向かう。
「姉ちゃん、ユーザー名どうする?」
「言わないでも、分かるでしょ」
修也に任せるのだから、ユーザー名を修也のしても構わないけど、あとでどうなるかは大体修也にも予想は出来るはずだから私の名前でユーザー名は登録するだろう。
私がシャワーで疲れなどを洗い流して戻ってくると、すでに修也はパソコンを片付け終わっていた。
「シャワーなのにやけに長かったようですが・・・」
「お子ちゃまとは、違って色々と考えてたりすると長くなるの」
「それはいいとして、ユーザー名は姉ちゃんの名前にしておいたから」
「ありがと、それはいいとしてあんた私に話があるんじゃない?」
「え!?」
修也の顔は、何で分かったのっといった表情になっている。
「あんたが来る時は、家出か何か相談がある時だけだから。鍵を返しにきたって言うのは、言い分けでしょ」
「当り。姉ちゃん、オレを姉ちゃんの所に置いてくれないか?」
そういえば引越し先の事について触れてはいなかったけど、実は私が引っ越す場所は祖父が住んでいた家で、その祖父が海外で暮らす事になり祖父が家を取り壊し私に土地+家の建設費をくれたのだった。
祖父が私を可愛がってくれるのはありがたいけれど、流石にこんなビックなプレゼントは困りようである。
そのような事を父に話したら、父は父で自分の好きなように家を建てなさいときたもんで、お金持ちと言うのはこうも適当なのだろうかと思ってし合う。
まぁ、そんな私もその一族なのが現実なわけである。
とりあえず、音が一切漏れない部屋を一部屋と茶の間など私好みに設計してしまったわけで家が建つまで結構かかってしまった。
家が完成したのは、一週間前の出来事なわけでちょうど月末で区切りもちょうどいいといった感じで事が運んでいたと言うのが今までの経過となるわけなのです。
「断固、拒否します」
「なんで~」
「高校卒業までは、親の許で暮らすってのが我が家のルールでしょうが」
我が家のルール。
それは小さい頃に、決められたルール。
高校を卒業するまでは親の許で暮らす事を、今は亡き母と約束した。
「あんな親父と一緒にいたら、こっちまでおかしくなる」
修也が言いたい事は、大体分かる。
今の父は、私達が手の掛からないくらいに成長した為に、今更ながら母の死を実感しているのだと思う。
今までは私達を育てる事で、自分自身を偽ってきたのだと思う。
偽り続けた分の悲しみが、今になって父に圧し掛かってきたのだろう。
「修、あんな父親とか言うんじゃないの。父さんは、母さんが亡くなった時だって一度たりとも泣いた事が無いんだよ。一番つらかった筈なのに、それなのに。私達が居るから、自分自身を偽ってでもココまで私達を育ててくれた。そんな父さんに、あんたはまだ何を求めるっていうの」
「分かってるよ、でも」
「今の父さんが仕事をまだ続けているのは、修がまだ居るからなの。修が居なくなったら、父さんは廃人になっちゃうと思うから」
「・・・」
修也が無言で立ち上がり、玄関に向かって歩き出す。
「修、あんたが卒業するまでの時間あれば、父さんの仕事を全部こなせるようになるから、だから卒業まで父さんと一緒にして」
「分かった。姉ちゃんのお願いなら、仕方ないよな」
「その代わり、たまになら遊びに来てもいいから」
「うん」
なんとか納得して、修也は帰ってくれた。
新しい仕事を覚えるスピードを上げないといけないと思うと、少しいやな気にはなる。
とりあえず今日は、そんなことを忘れて眠ることにした。
「母さん、もう少しだけ父さんを支えてあげてください」
そう言い、私はベッドに潜り込み眠りについた。
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