リーリアの外出許可は、脅しにも似た彼女の説得により渋々許可された。
使用人を付ける付けないで散々揉めた挙げ句、5時には戻ってくるという約束で何とか纏まった。
「案外、簡単に取れたわね」
屋敷の外でレンと落ち合ったリーリアは、笑いながらそう言った。
「それはリーリアが、『外に出してくれなきゃ2階から飛び降りて死んでやる!』なんて言ったからですよ」
レンは苦笑を零す。
「あれ位言わなきゃ、頭がガッチガチなうちの両親には効かないわよ。昔は外に出して貰えたんだけど、兄様が街で馬車に撥ねられて亡くなって以来、外に出してもらえなくて」
リーリアは繋いだ手をぶんぶんと振り回しながら歩いた。レンの冷たい手がじんわりと温かくなるのが、リーリアには何だか嬉しい。
「あ」
「どうしました?」
リーリアがふらふらと見て回っていた店の一つで足を止める。連られて立ち止まったレンにリーリアが見せたのは、白銀の石を花の形にあしらった銀の首飾りだった。
「欲しいのですか?」
「うん。でも、お金が微妙に足りなくて・・・」
確かに値札にはかなりの額が書かれていた。リーリアは口ごもり、曖昧に微笑む。
「いいよ! 他にもいいのあるだろうし・・・」
レンは自分の財布の中身を考えた。
「では、私とリーリアで半分ずつ出すというのは如何でしょう?」
「いいの?」
こくりと頷くレンに、リーリアがぱっと笑う。
「では、二人で行きましょう。私もちゃんと人に見えるようにしますから」
レンがマントを一振りすると、今まで何処か透明だったレンの存在感が濃くなった。恐らく、リーリア以外の人の目にも見えるようになったのだろう。
「というか、レン。私、今まで何もない所に話し掛けていた事になるじゃない!」
リーリアの姿が傍目にはどう映っていたのか考えると、恥ずかしさのあまり消えたくなるほどだ。
だが、レンは笑ってリーリアの頭を小突く。
「この人込みです、大丈夫ですよ。別の誰かと話しているように見えたはずですから」
そういってレンは店へと入っていく。
「リーリア、早く」
「い、今行くわよ!」
結局抗議を含む色々な事をため息一つに濃縮して諦めたリーリアは、自分より少し背の高い彼を見失わないよう人込みを掻き分けた。
【白黒P】鎌を持てない死神の話・7
よそ様のリンは一応ごまかすのに、うちのリンは真っ直ぐに我侭なようですw
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