※第一章 出会い※
とある街のとある路地。夕闇が迫る中、あたしは座り込んでいた。白い服と背中の白い翼。
いわゆる『天使』って言われてる存在。
ちょっと地上を見物にきただけだったのに帰れなくなった。
「失敗した。これじゃ翔んで帰ることも出来ないや」
と、いうのもどこかに引っ掛けてしまったのか風切り羽が傷ついてしまっていたし飛べなくて仕方なく歩いていたけど《人間》にぶつかって転んだ服は土埃まみれで膝と手の平には擦り傷。血が滲んでいて地味に痛い。
膝を抱えるとこれまで一度も味わったことがない孤独感と痛みに襲われた。
「カイト…ぉ…」
知らず知らずに涙が溢れぽつりと憧れの天使長の彼の名前を呟いていた。
呟いたって助けに来てくれるわけないのは分かっていた。
一度たりともあたしの思いにも問い掛けにも応えてくれなかったから…それでも彼の名を口にした。
近付く人の気配に慌てて翼をたたみ隠す。
もしかしたら悪意を持った人間が近付いてるかもしれない。そう考えたら怖くなってガタガタと身体が震え出した。
怖い
怖い
怖い
ぐるぐると巡るマイナスな考えとは裏腹に姿を現したのは黒いドレスを纏った綺麗な女の子であたしの身体から恐怖は消えていた。
警戒だけは解けずにいたけど…
「あら、こんな所でどうしたの?貴女、迷子?」
心配そうにあたしを見る女の子。彼女の纏っている黒いドレスとは対象的鮮やかな緑の髪。その鮮やかな色に思わず見惚れた。そんな場合じゃないの分かってたけど…
「どうしたの?やっぱり具合でも悪いの?」
「違う…ただちょっと帰れなくなっちゃっただけ」
「そう、具合は悪くないのね…良かった。帰れないなら私の家に来る?」
問いに対して頭を横に振ると彼女はそう言った。驚きを隠せず首を傾げ聞く。
「いいの?」
「えぇ、どうせ一人じゃ広過ぎる家だもの…来てくれると嬉しいわ。それに…」
「それに?」
「その傷の手当てもしないと…痛々しいもの」
「あ、忘れてた」
傷の痛みに気付いてごまかすように笑えば優しく心配げに細められる緑。やっぱり綺麗で胸が高鳴るように鼓動が跳ねた。それであたしは気づいてしまった。
これが『恋』なんだ、と。
「ついて来て」
「うん」
それでもこの時は気付かなかった。
この出会いが大切な人達を巻き込みその人達の人生をめちゃくちゃにしてしまう事件に繋がるなんて…
「あ、まだ自己紹介してなかったわ。私はミク…貴女は?」
「あたしはリン。お世話になります、ミク」
「はい、お世話させてもらいます」
だって暖かくて優しい気持ちに包まれてずっと続くと思ってたから…こんな日が続くんだって…そんな願いは脆く崩れる。
あたしが《禁断の果実》を手にするまであと、少し――…
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