うちのメイコ姉とカイト兄はすごく仲がいい。
仲がいいのは良いことだと思う。
だけど――朝食で、あのアイスの使い方はないと思う。


朝、マスターは【準備して出かけられるまでの時間】を逆算したギリギリの時間まで寝ている。
いつも慌ただしく出て行くので、カイト兄とメイコ姉で何度か説得という名の説教をしたらしいのだが……何度言ってもマスターに改める気がないので、朝食の担当は早起きで頼りになるメイコ姉がしてくれている、とカイト兄から聞いた。

「ねぇねぇ、レン」
「ん? 何、リン」
「今日もやっぱり、オムレツなのかなぁ?」
「今日もやっぱり、オムレツだと思うよ」

溜息二つ。
台所ではメイコ姉が朝食の準備をしている。カイト兄はマスターを起こしに行っている。(今日のマスターは寝起きが悪いらしく、カイト兄が担当してくれてる。頼りになる兄を持って俺は嬉しい)
毎朝、早くに起きて朝ご飯を準備してくれているメイコ姉にはとても感謝しているし、出されるご飯も美味しいから好きだ。
だけど、メイコ姉の作る朝食はご飯とみそ汁(具は日によって違うけど)と、何故かいつも「オムレツ」だ。

「なんでオムレツなんだろうね?」
「さぁ? 聞いてみたら?」
「誰に?」
「……メイコ姉?」
「えー。それはちょっと、勇気ない。『それしかできない』とか言われたら、私どう反応したらいい?」
「知らないよ」

むしろ俺が聞きたいよ。
「そだよね~」とリンは少しだけ口を尖らせた。
気持ちがわからんでもないが、生憎俺はその答えを持ち合わせていない。

「でも、こう毎日オムレツって言うのもなぁ……」
「別にオムレツはいいけど、俺はカイト兄の『アイスオムレツ』のが微妙」
「あぁ! アレね。突っ込みたいのに、マスターは何も言わないし、メイコ姉は普通だし、カイト兄はすっごい喜んでるし、結局、何も言えなかったもんね」

俺の「アイスオムレツ」という言葉を聞いた瞬間、リンは「待ってました!」と言わんばかりのテンションで話し出した。
名前からわかるとおり、カイト兄の朝食の「オムレツ」にはアイスがのっかっている。そしてケチャップ代わりにチョコレートソースやイチゴのシロップがかけられている。
「おやつ」ならまだ理解できるが、朝食の「おかず」として食べるものではないと思う。……おかずではないよな?
あまりにも普通に朝食として出てくるので最近、少し自信がない。

「カイト兄のアレって最初から『アイスオムレツ』仕様なのかな?」
「マジで? それはないんじゃない?」
「わっかんないよー? ほら、カイト兄ってアイス好きって情報出回ってるしさ、メイコ姉が歓迎の意味でそうしたのかもよ?」
「あー……そういう解釈も、アリ……か?」
「レンはどう思う?」

リンに振られて、少し考えた後。
俺は一つの答えを見つけた。

「正直、朝食くらい普通に『オムレツ』で食え、って言ってやりたい」
「だよね! 私たちの毎朝ケチャップだもんね。毎回同じ味だもん。カイト兄だけ種類あるのずるいよね」

リンの質問の答えにはなっていなかったが、この回答はおkだったらしい。
それにしても、ほんとうにうちの朝食事情はどうなっているんだろうか。今度マスターに聞いてみよう。



(リンも味変えれば?)
(何に?)
(……味噌とか?)
(わかった。明日はレンだけ味噌にしといてあげる)
(ちょ、待って! ごめん、言ってみただけだって!)



ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

うちのボカロ事情2

書きなおしました。
ポ○キッキーズの「ロックン・オムレツ」を聞いてから、どうしてもこの書きたかったネタ。つい勢いでやった。
すでにネタであったらごめんなさい。


一応カイトネタだと言い張ってみる。


■追記
最後ちょっと気に食わなかったので変えました。

閲覧数:197

投稿日:2010/06/25 17:01:45

文字数:1,437文字

カテゴリ:小説

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