「さて……ミクの話じゃ、夜までルカさんは戻ってこないんだっけ」
「それまでどうやって時間を潰すの?」
「んー……あすこ行くか!」
「どこよ?」
「町はずれの……『あいつ』のバーだよ」
バー『whine&wine』。
即ち―――――ハクの店のドアを軽くたたいた。
「ハクー、いるか? 入るぞー……って……ん?」
カウンターには、見覚えのある二人が座っていた。緑髪ゴーグル。
あれって……。
「……グミ?」
「あれ? Turndog!」
「あら、珍しいですね、こんなところに来るなんて」
ハクも俺に気付いたようだ。しかしそれにしたって今日だけですでに3回も『珍しい』と言われている。お前らどんだけ俺が引きこもりだと思ってんの?
「何、年末の挨拶だよ」
「ああ、なるほどね! まぁちょっとこっち来なよ」
グミに促され、俺たちはカウンターに座った。
と……それとほぼ同時に、俺の前に湯呑が、どっぐちゃんの前には鰹出汁の入った茶碗が出された。
「!」
「前回はなかったですから、今日はちゃんと用意しておいたんですよ、緑茶」
「……ホント気が利くな」
嬉しそうな顔で鰹出汁を飲み干すどっぐちゃんを横目に、俺も茶をすすった。
「それにしてもグミがここにいるなんて珍しいな?」
「ちょっとね、ルカちゃんより先に退社してきたの。流石に大晦日まで一人で過ごしたくないから」
「ルカさんとここで待ち合わせなんだそうです。その後ボカロマンションに移動するとか」
「へー……」
頷きながら茶をもうひとすすり。……こいつ茶を淹れんのもうまいな。」
「それにしても今年は大騒ぎでしたね……」
「ホントね……まぁ主にTurndogのせいだけど」
「えっ!?」
「だってTurndogがあんな物語書かなきゃ、あたしたちあんな目に合わなかったもの」
「いやまぁ、確かに……」
確かに俺がヴォカロ町の物語を、ひいてはヴォカロ町の世界と、その中の人物の動向を動かしているというのは事実。
しかしだからと言ってそれはないですよー。
「まぁ許したげるけどね……御蔭であたしはルカちゃんと会えたし」
「それに私も……」
二人の顔に微笑みが浮かんだ。
……何だかんだで、この二人は物語の中では一番救われた存在だ。
沈んだ暗がりから、再び蘇ることができたんだから。
「さて……どうするかな。ルカさんは確かここでお前と待ち合わせなんだっけ?」
「そだね。そろそろ来るんじゃないかなぁ?」
「そっか……じゃあその前にちょっと、外の空気吸ってくるかな……」
そう言って立ち上がった俺は、どっぐちゃんと一緒に店の外に出た。
冬真っ最中の冷たい空気を吸い込んでから、店の中に戻ろうとした―――――
―――――その時。
「あれ? Turndogじゃない! 何やってんのこんなとこで?」
―――――ああ、やっと聞けたか。
貴女の声を。
俺の後ろには―――――ルカさんが立っていた。
dogとどっぐとヴォカロ町!Part11-3~年収め:ハク・グミ~
今度はバーにて不思議な組み合わせ。
こんにちはTurndogです。
グミは二十歳こえてないイメージなので、本来ならこんなとこ来ないはずなんですが、タイミングよかったのでw
(まぁそんなこと言ったらなんで刑事してんだって話になるんだけどね……)
あと、この時の時間軸は本編よりもちょっぴり進んでいます。
ですので……みなさん『ハクの卑怯なまでの力』を知っていることになるわけです。
だからできることなら年末までに終わらせたかったんですけどね、本編w
終わりませんでした\(^0^)/
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