* * * *

初めてのキスは、涙の味がした――……。
頬から伝う涙が、私の初めてのキスを悲しく苦い思い出へと変えてしまう。
まるでドラマみたいな恋。儚く散った恋。
私達が別れるのを見計らったように、ホームに発車のベルが鳴り響いた。

* * * *

家の玄関でローファーを履いて外へ出ると、冷たい冬の風が私の頬を刺す様にかすめた。
今は冬。ここでは何年かぶりに低い気温らしい。私は体をブルリと震わせて、マフラーをぐるぐると首に巻きつけた。
制服の短いスカートが余計寒さを助長する。私は吐いた息で両手を擦り合わせた。吐く息は白い。それが気温がそれ程に寒いのだと語っている。
街はイルミネーションで包まれている。キラキラキラキラ。青や赤や緑やピンク、黄色の電光が眩く光り輝いている。それは街で一斉に何かを祝っている様な眩しさだった。今は木の葉に少し昨日の雪が積もり、それが反射してより一層輝いて見える。
つい最近まで裸だった街路樹は、まるで豪華なドレスを着たようにキラキラと輝く。それを小さな子供が嬉しそうな笑顔で見つめていた。

どうしてもいえなかった、この気持ちは押さえつける。
イルミネーションを見る度その気持ちがリフレインして辛くなるのを堪えた。……この気持ちは抑えなければいけない。抑えなければ、彼は困ってしまうから。
これは、前から決めていた事。だから痛む心をごまかして、なるべく楽しい事を考えながら歩いた。
もう……振り向かない、から。

ありがとう、サヨナラ。
小さく唇を動かして呟く。多分その言葉は私と顔をうずめたマフラー以外誰も知らない呟き。蚊の声より小さい。
切ない片思いは、今日で終止符が打たれる。
足を止めたら、貴方との思い出が溢れ出てきてしまうから。
だから。

私は強く唇を噛み締める。
ありがとう、……サヨナラ。
また呟いた私の声が少し震えた。それは寒さのせいだけではない。
絶対に、泣いたりしないから。

……フワリ。
そう思った途端に、白く冷たいモノが空から舞い降りてきた。
それはポツポツと私の体に小さく冷たい感触を残して消えていく。
私はそっと掌を差し出して雪に触れた。
その雪は、まるで私の片思いと同じ様に儚く溶けて消えた。

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初めての恋が終わる時 *1

閲覧数:1,145

投稿日:2010/02/01 23:00:32

文字数:936文字

カテゴリ:小説

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