1月6日 KAITOズのお茶会
「ぼくたちってさぁ、違ってるよね」
「ん?」
「え?」
唐突な声と突拍子もない台詞にびっくりして顔を上げると、作業の手を止めて僕と同じくハテナマークを頭上に浮かべるイチ兄さんと目が合った。そのままふたりシンクロするように視線を移せば、発言の主であるゼロ兄さんは肘をついた左手に顎をのせて気だるげにこちらを眺めていた。
「えっと、ゼロ? 意味がよくわかんない」
「んー? いや、ふと思っただけなんだけど」
「びっくりしますよ……違うって、何がです?」
手にしていた楽譜を置いて向き直ると、うーん、とゼロ兄さんが言葉を探す。イチ兄さんはといえば、小首をかしげ耳を傾けながらも、作業を再開するようだ。
そんな僕らを眺めながら、うん、と小さく頷いて、ゼロ兄さんが口を開く。
「何て言うかさぁ、ぼくらって皆『KAITO』なわけじゃない? でもそれぞれ違ってるよなーって」
「それはまぁ、仕様から違うし」
「そりゃそうだけどさ、そうじゃなくって。ぼくら三人だけの話じゃなくて、それこそ同仕様の『KAITO』だって、皆それぞれ違うじゃない? ほんのちょっとのことで、わからないひとにはわからないのかもしれないけどさ」
「あぁ、それは……そうですね。環境によって変わる、ということでしょうか?」
「うん、マスター次第ということは言えるんだろうね。でもさぁ、それって面白いなって。ほら、ぼくらって『青いの』なんて呼ばれたりするけどさ。その『青』さって、皆違うんだよね。最初は同じだったはずなのに、いつの間にかさ」
ちょい、と前髪をつまみながら、ゼロ兄さんが言う。僕はまじまじとそんなゼロ兄さんを見、イチ兄さんを見る。V1とV3という違いのある僕よりずっと、『同じKAITO』だったはずのふたり。でも確かに、ふたりははっきりと違っている。初めて顔を合わせたあの時ならともかく、今となっては絶対にふたりを取り違えたりはしない。
「そういうのって、どこから来るんだろうね。もちろん、ぼくら自身だって別々の思考を持っていて、だから違う部分もあるんだろうけどさ。マスターたちの、視ているひとたちの内からも、違いが出てくる気がするんだ」
面白い、ともう一度呟いて、ゼロ兄さんは瞼を閉じる。ゆったりと、見えない流れのような何かに身を委ねるように。
「ゼロは時々、そういう難しいことを言い出すよねぇ。そっちの方が俺には『面白い』なー」
軽く、けれどけして馬鹿にした風にではなく、イチ兄さんがそう言った。そうして歩み寄ってくる手には、できたてのケーキと三人分のティーセットがのった大きなトレイ。
「皆色々、確かにね。賑やかでいいじゃないか、楽しいよ」
だから皆でお茶にしよう。そう言って笑うイチ兄さんに、可笑しいような納得したような奇妙な気分になりながら、僕らは頷いて手を出した。はいはい、と笑みを深くして、イチ兄さんはケーキの皿を置き、カップに熱い紅茶を注ぐ。
覗き込んだカップの中で、紅茶とミルクが渦を巻き、僕の落とす影が溶けた。色々な色。うん、面白くて、賑やかで、楽しい。
何故だか湧き上がる笑みごと呑み込むように頬張ったケーキは、優しい甘さで口いっぱいに広がった。
日めくりKAITO <1/6>
今日もネタがない←
で、記念日サイトとにらめっこして、『色の日』(「1(い)」「6(ろ)」の日)をベースにスタートしました。
あと『ケーキの日』らしいのでイチ兄さんに作ってもらって、
シャーロック・ホームズの初登場(掲載誌刊行)&誕生日&忌日でもあるらしいので絡めようとしたけど断念←
(その名残としてゼロさんが小難しいことつらつら並べてるっぽい雰囲気があるようなないような。脳内イメージではゼロさんはホームズ小説読んでたっぽい)
色の日、だから最初はクリプトンズでわいわいしようかと思ったんですが、昨日めーちゃんとネタやったばっかりだったのでKAITOズになりましたw
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