──春。
僕は3月に中学を卒業した。
ずっと一緒だった友達と離れ、1人上京した。
初めての土地に戸惑いはしたものの、新しい生活が出来ることに嬉しさが込み上げる。
しかし知らない土地に1人、ということは紛れもない真実。
やはり寂しいし、怖い。
上京してから一週間、真新しい制服に身を包み電車に乗る。
今日は入学式だ。
都会の人はやっぱり派手なんだろうか、なんていかにも田舎出身なことを考えながらつり革に捕まって揺れに耐えていた。
見たところ同じ制服の人が3人いる。
そのなかの2人はネクタイやスカートの丈がだらしなかった。
もう1人はスカートの丈こそ膝上だが、ネクタイはキッチリと締めていかにも真面目そうだ。
そんなことを考えている内に電車が停車した。
時間に余裕はある。
僕はゆっくりと電車を降り、学校へ歩いた。
その間、さっき電車に乗っていた真面目そうな女の子は友達を見つけたらしい。
今更だがとても可愛い子だった。
学校に着くと僕はB組らしいので教室へと急いだ。
中に入ると生徒は数人しかおらず、みんなドアに注目した。
「うぉ、イケメン!」
「え、」
「なぁなぁ名前何?俺初音ミクオ!遠慮せずクオって呼んでな!」
さすが都会、テンションが高いな、なんてビックリしながらも僕は自己紹介?をした。
「あ、鏡音レンです。よろしく、クオ…くん?」
「呼び捨てで良いって!レンっつーのかー、名前までイケメンだな」
さっきからイケメンイケメン言われてるが、どう考えてもクオ、もイケメンの部類に入る。
さぞモテるであろう。
でも友達が出来るだろうか、という少々子供っぽい不安は解消された。
「あ、クオー」
「おーミクー」
知り合いだろうか、美人さんだ。
「あ、こいつ俺の従妹の初音ミク」
「あ、鏡音レンです」
「よろしくね、鏡音くん」
「うんよろしく、初音さん」
にこっとまさにアイドルのような笑みを浮かべてくれた。
「あれ、ミクもB?」
「いや、私はA組」
「となりか。あ、教科書忘れたらよろしくなー」
「まず忘れないでね」
「努力はしてるから」
そんな会話を聞いていたらいつの間にか結構の人が来ていた。
あ、さっきの真面目そうな子もいる。
同い年だったんだ。
「あ、リンー」
「ミク、確かA組じゃ」
「そうだよー離れちゃったしさー」
噂の(?)女の子がこっちへ来る。
リン、って言うらしい。
近くで見ると一層可愛い。
「あれ、初対面ですよね?」
「あ、はい多分」
「さっき電車の中で見かけたんでなんか初対面な気がしないな」
そう言って静かに笑う彼女は、なんというか、おしとやか?だ。
「私、鏡音リンって言います」
「え、鏡音?」
「?はい」
「実は僕も鏡音、って言うんです。下の名前もレンで一文字しか違わないし…」
「え、すご!!運命的!!」
「そうなんですか?偶然ですね」
「世の中って狭いですね」
そんな世間話のような雰囲気に初音さんが突っ込んだ。
「あんたらおばさんみたいな雰囲気だよ」
「「えっ」」
おばさん…嫌だな。
でも鏡音さんといると落ち着く。
でもひとつひとつの仕草にドキリと胸が跳ねる。
何か、昔から馴染みのあるような感覚に陥る。
「ふふっ、おばさんは嫌だな」
「だよね、15歳だし」
「こらリンちゃんに失礼だぞミク」
「初対面でちゃん付けしてるクオに言われたくな」
「何が言いたい」
「タラシー」
「違うこれは誰でも仲良くなれるスキルだ」
「あはは、なにそれ」
「鏡音くん、何か不思議だね」
何が、とは問わなかった。
否、問う必要がなかった。
「…そうだね」
きっと僕はこの時から鏡音リン、という存在に恋をしていたのだと思う。
最初に感じた不安は消え去っていた。
fin.
コメント1
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ご意見・ご感想
魔熊
ご意見・ご感想
春を感じる話だね~。
リンちゃんとレン君が老夫婦とかwwミクちゃんのツッコミナイスすぎ!!
都会はテンションが高いイメージって、私もそんなイメージあるww
2012/04/06 17:13:51