はじめまして、ねすと と申します。<m(_ _)m> 主に詩を投稿しておりますが、好きなのは小説。 ミステリー、青春のジャンルでつらつらと文字を並べております。
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次の瞬間には、ミクの姿が消えていた。
「ーーやばっ」
咄嗟に回避行動を取る。といっても、見えないのでその場から横に跳ぶしかなかったのだが、それが正解だった。カイトが跳んだ一瞬あと、さっきまで座っていたテレビがスライスされていた。
「なるほど、その爪で、切り裂いていたんだね。それじゃあ鎌鼬とは呼べ...無頼 その5(終)
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10
レンはこの街が好きだ。
特に観光名所があるわけでもなく、特別物価が低いわけでもないが、なんとなく雰囲気があっていた。
この街と、もう一つしかレンは知らないが、もう一つが特段ひどかったがためにそう思えるのかもしれないが、この空気が、匂いが、歩いたときの感触が、聞こえてくるものが、見え...無頼 その4
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「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……あの」...無頼 その3
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3
カイトの指示で、メイコとレンが事務所を閉店させる。カーテンを閉め、扉に『close』の札を下げた。ミクはそれをずっと見ていたが、閉じ込められたなどの恐怖はなかった。それぐらいのことなら、もう予想はできていた。
「じゃあ、改めて訊こうか。ミクちゃん。依頼は?」
「……助けて、ください」
「なに...無頼 その2
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「ここに行くといい」
その少女のーー初音ミクのーー記憶はそこから始まる。
そこはどこかの薄汚れた路地裏で、太陽にさえ見捨てられたような、一日中日の当たらない場所だった。不法投棄されたゴミが散乱し、けれどそれを注意する人も、気にする人もいない。ネズミとコケが繁栄し、不潔極まりない場所で、ミ...無頼 その1
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3
「にしても、よく似てる」
「なにがです?」
「キミと、前にあった鏡音レンに。同一人物ってことはないよね?」
「さっきは全く違うって言ってませんでしたっけ?」
「いや、その推理を聞いてたら、なんとなくね。その鏡音レンも、切れ物だったからさ」
「そうなんですか。でも、俺は会ったことないと思いますよ。...その鏡音レンは、選択する その3(終)
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2
その青年の通っている大学は、主に電気関係を教えているらしかった。といっても。大学の勉強を俺が聞いてもわかるはずがない。電気関係というと、ロボットを作っているのかと思ったが、その基礎を学んでいるとのことだった。
「大学と高校や中学の違いはたくさんあるけど、一つは授業かな。高校とかは『これを受けろ...その鏡音レンは、選択する その2
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「実はね、キミのような鏡音レンに会うのは、二度目なんだ」
青年は、そう言った。腕を組んで、それが誇りなのか、偶然に驚いているのか判断つかない笑いを浮かべていた。「答えになったかな?」
俺は頷く。「はい。それで、俺に驚かなかったんですね」
「驚いたは驚いたね。なんせ数年前のことだ。あれは僕が勝...その鏡音レンは、選択する その1
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「素晴らしい!」
男性は手を叩いて俺を賞賛してくれた。本当はミクにも拍手を聞かせるべきだが、まだネットの穴がないので聞かせられない。
「その通りだ。いやー、まるで名探偵だ。すごいよ。本当に気に入った」
「いいんですか?」
「なにがだい?」
「俺は、もうあなたが殺人を犯したことを知っています。...その鏡音レンは、奮闘する その7(終)
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「あなた、俺になにを期待していたんですか? ここ数日、俺の行動は、なんに意味があったんですか?」
「行動? そんなの訊いてどうすんだい?」
「単なる興味ですよ」
ジウワサ アタナと、コイツと。俺になにをさせようとしていたのか。なぜ架空の妹を探させたのか。
「それくらい教えてくれてもいいでしょ...その鏡音レンは、奮闘する その6
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10
俺がパソコンに戻ったのは、ミクの助言を聞いた、次の日だった。その日は土曜日で、一般的には休みの曜日だった。
「今、帰りました」
俺が声を出すと、「ん?」と画面外から声が聞こえた。どうやら今日は休みらしい。新聞を読んでいたのか、片手に持っていたそれを脇に置く。「やっと戻ってきたか」
「すいませ...その鏡音レンは、奮闘する その5
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次の日、俺はなんとなくアタナのパソコンに行きたくなくなった。なんだか人が変わってしまったようだった。事情が変わったと言っていたが、それにしてはなんだか切羽詰まっているように見える。そんなに妹の詞や曲が見たいのだろうか。だが、だったら直接訊けばいいのだ、わざわざ俺に頼む必要はない。
妹に知られ...その鏡音レンは、奮闘する その4
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ミクから別れて、その日一日は妹さん探しに精を出した。普段はあまり行かないサイトに足を伸ばし、ジウワサ キミカを探した。初めて行く場所にはボーカロイドもいくつかいて、そこで世間話になど花を咲かせながら妹探しの協力を依頼した。容姿や特徴を訊かれて困った場面もあったが、アタナとそっくりだということでア...その鏡音レンは、奮闘する その3
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アタナのパソコンから出ると、初音ミクが居た。俺が出てくるのを待っていたようで、ニタリと笑って挨拶をしてくる。その態度からどうやら、ボカロを殺そうとしたミクさんと予想する。
「どうだい、調子は」
「まあまあだね」
「恋は順調かい?」
恋か。恋ねえ。
「よくわかんない。恋って思ったより難しいみた...その鏡音レンは、奮闘する その2
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ジウワサ アタナのパソコンに入る前、俺は初音ミクと会った。
「やほ」と軽快に挨拶をしてくる彼女に俺もまた「やほ」と返す。多少ぎこちなくなってしまっただろうが、その辺は無理くり相手に合わせたため起きてしまったことだ。仕方ない。そのとき俺はアタナのパソコンに繋がる穴に片足を突っ込んだ状態だったのだが...その鏡音レンは、奮闘する その1