空神(うつがみ)です。 しがない物書きを自称しています。 活動は小説中心。時々歌詞もどきを書いています。 [好きなボカロ曲] 時忘人 七つの鐘 Paranoid Doll siGrE 番凩 これらが特にお気に入り。
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毎日天気予報と にらめっこしてた
キミと過ごす最後の日だから 雨だけは嫌なんだ
順風満帆だったと 言い切れないけど
大切な思い出となって 心に刻んだよ
自分で決めたんだ これから進む道を
後悔はしたくない 振り返りたくはない でも
忘れない キミのことを ステキな時間を
キミのいない世界に 飛び込ん...旅立ち日和
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皐月の晴天 日の中を
一羽の燕が飛んでいる
「そんな季節か」と笑う
人を眼下に見下ろして
蒼天飛燕 天高く
遠く遠く 空を舞え
蒼天飛燕 その翼
誇らしげに 広げてる
田植えが終わった 水田の
その上を 悠々飛んでいる...蒼天飛燕
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角を生やした女は、魁人を見ると静かに微笑んだ。
「いらっしゃいませ。どうかしたのですか?」
魁人は唇を噛んだ。
『どうしたの、魁人。また逃げ出してきたのね?』
耳を奥で懐かしい声がする。目の前にいる女鬼と同じ声が。
――否、あれはあの人ではない。花の名を尋ねた時に答えられなかった。“あやかし...【自己解釈】小説 siGrE【年長組】参(完結)
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昼頃から降り出した雨は、日が暮れてから漸く上がった。
ぱしゃん、ぱしゃん、と水が跳ねる音がする。
青年――魁人(かいと)の手には、布を何重にも巻いたある程度長さのある“何か”が握られている。
彼はどこか悲しげな表情を浮かべ、歩を進める。
「女鬼を退治してもらいたい」
魁人にその話が持ち込ま...【自己解釈】小説 siGrE【年長組】弐
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「そこの花を摘んではくれませんか?」
そう言われたので、木から赤い花を摘み取り渡すと、その人は何かを呟きながら花をぐしゃぐしゃに崩してしまった。
「どうして、そのような無体な事をなさるのです?」
袖を引き訴えると、彼は驚いたように目を見開いて、手元の花だった物を両手で優しく包んだ。
「考え事をし...【自己解釈】小説 siGrE【年長組】壱
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ゆらり揺れた水面(みなも)に
映る愛し君の笑顔
別れて久しいその姿に
大輪の花を送りましょう
黄泉に届け、夏花火
たとえ此岸(こちら)にいなくても
夜空に咲け、鎮魂花(ちんこんか)
彼岸(あちら)から見えますか
隣にあった温もりは
突然遠く離れていく...鎮魂花
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わたしの瞳に映る あなたは誰?
時は流れて 黒帳(くろとばり)
空に広げて 宵闇に
川のせせらぎ 聞きながら
あなたの姿 見つめてた
孤独な時間(とき)が長過ぎて
わたしは将来(ゆめ)が見られない
わたしの瞳に映る あなたは誰?
静かに笑んだ 横顔が焼きついた
夜空に懸かった 弓張月の光...弓張月
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ほら、見てごらん
街は明るく とても綺麗
ねえ、行ってみよう
きっとボクらを 待ってるから
黒いマントに大きな帽子
大事な舞台衣装を身に付けて
カボチャと一緒に踊りましょ?
夜の世界は煌々と
お祭り騒ぎで歌いましょ?
今日は特別 前夜祭...いのせんと・はろうぃん
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カリカリ、カリカリ。
静かな教室に文字を綴るペンの音だけが響く。
外は日差しがジリジリと照り付け、セミも賑やかに鳴いている。しかし、それを遮るように窓は閉め切られ、クーラーから吹く風が必要以上に身体を冷やした。その中で、自分を含めた学生たちは机に向かっている。
果たしてこの状況を見て誰が今夏...ある受験生の夏
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街に男がやって来る
漆黒の服を着て 男が来る
笛吹き男がやって来る
綺麗な銀色の 笛を持って
男は鼠に苦しむ街人に高らかに告げる
「私が鼠を追い出しましょう」と
男に街人はその時ひとつの約束をする
「成功すれば我々の宝をあなたに」と
歌え歌え 鼠たち
男の笛に合わせて歌え...Hameln
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ある日、不思議な人を見かけた。
その人は街の中で、たった独りで座っていた。今では珍しくなったレンガ造りの建物に凭れ掛かるように、俯いてその場から動くことなく、ただ座っていた。
どうして、そんな人に目が行ったのかは分からない。ただ、この街では誰も着ていないだろう独特な服をその身に纏い、“剣”を右...時忘人‐The past soldier‐
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――視界が単調だ、と彼女は呟いた。
気が付いた時、既に西の空に太陽が傾いていた。
日光に照らし出されたのは、足元に転がる“ヒト”だったもの。それは終わったばかりの戦で命を落とした兵士たち。彼らが流す“赤”と“赤い”夕日によって、目の前に広がる世界は“赤”一色に染め上がっていた。
勝ったのだろ...戦神‐紅‐
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――鼻が利かない、と彼は息衝いた。
戦が終わった時、既に夕刻となっていた。
赤くなった日が照らすのは、沢山の“赤”を吸った地面と折り重なるように倒れた兵たち。敵も味方も関係なく、二度と動くことのない“ヒト”だったもの。
それらが放ち出した腐臭と硝煙、そしてずっと立ち込めていた鉄の臭いで嗅覚は...戦神‐蒼‐
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黄昏時に照らされた 赤に染まりし大地を
映すのは誰の眼であろうか
戦場に集いし魂を 数多の灯火を
散らすのは誰の刃であろうか
幼き日に交わした あの約束を
たとえ あなたが忘れていようとも
私の思いは 決して違えはしない
紅の衣を翻し 諸刃を握り締め
それが赦されぬことだとしても
過ぎ去りし時間の記...イクサガミ