――視界が単調だ、と彼女は呟いた。
気が付いた時、既に西の空に太陽が傾いていた。
日光に照らし出されたのは、足元に転がる“ヒト”だったもの。それは終わったばかりの戦で命を落とした兵士たち。彼らが流す“赤”と“赤い”夕日によって、目の前に広がる世界は“赤”一色に染め上がっていた。
勝ったのだろうか、と思った瞬間、今まで分からなかった腐臭と鉄の臭いが嗅覚を刺激し、吐き気が襲ってきた。それを必死に抑えるように、彼女は空を睨む。
「まだ、慣れないわね……!」
彼女――メイコは犯した所業をよく理解していた。しかし、頭で分かっていても、身体はいつまで経っても拒絶を繰り返す。
漸く治まった頃、メイコは赤以外の色を見つけた。紫と、青。
「カイト、ガク」
嫌というよく通る自分の声に、少し離れた所にいた男たちはメイコの方を向く。
視線がぶつかった時、今更どのような表情をすれば良いのか、メイコは迷った。紫――ガクだけならまだマシだ。彼が仕える者として、それに相応しい顔をすれば良い。
けれども青色、カイトには――。
「帰るわ、準備をなさい」
「御意に」
ガクは頭を垂れ、本陣の方へ行った。しかし、カイトはその場を動かない。じっ、とメイコの顔を見つめている。
「……カイト、どうしたの」
動揺を隠しながら、メイコは尋ねる。
カイトとは子供の頃からの付き合いだ。その頃は、互いの身分に差があるなんて知らなかった。
『――ねえ、めーちゃん』
かつて自分をそう呼んでいた彼も、今では一人の武人として認められるようになっていた。背はいつの間にか抜かされ、声も低くなり、見違えるほど立派な青年に成長した。
けれども、青い瞳はずっと変わらず、綺麗なままで。
『ずっと、僕がめーちゃんを守るよ』
そう、言ってくれたのに。
「……貴女の仰る通りに、メイコ姫」
ずきり、と胸が痛む。
目立つ赤い装束を纏い、刀を握って虚勢を張ろうとも、敵を斬り伏せ人々から“戦神(イクサガミ)”と呼ばれ畏怖されようとも、この痛みは治らない。
「……なら、行って皆に手を貸しなさい」
カイトから顔を背けて告げると、彼は小さな声で「御意」と答えた。
――カイト、貴方は覚えているかしら。
わずか数歩の距離が、今はとても遠く感じるけれども。
――私を“守る”のは、貴方しかいないの。昔も、今も。
戦神‐紅‐
いつか、あの頃のように穏やかな時間を過ごすために。その時は、貴方が隣で笑ってくれるように。
私は、貴方の戦神となりましょう。
戦神‐紅‐
歌詞[イクサガミ]の小説、MEIKO視点です。
補足説明。
メイコ(MEIKO)はとある大名の娘で、女武将です。一応総大将なのですが、今回の戦は彼女自ら出陣したことで辛くも勝利しました。
カイト(KAITO)は大名に仕える一族の出で、メイコの乳兄弟です。幼少期は一緒に育った仲ですが、現在は身分が違うと一歩引いた立場にいます。
ガク(がくぽ)はメイコに仕える武将です。メイコとカイトの過去は知りません。
……これ小説で言った方が良かったのかな(汗)。
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