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天井と俺の頭との距離、わずか3cm。
俺の背丈は170前後だから、今までこんなに狭まったことが無い。
そして俺はそんなところから、ベッドで悶えているもう一人の俺を見ていた。
なんとも滑稽なことだ。
苦しんでいる自分を客観的にみているこの状況。
・・・いやはや、なんとも滑稽なことだ。
枕もとのデジタル...なつきたるらし ~視れる少年、視えない少女~ 11
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小鳥のさえずる声が聞こえている。
カーテンの隙間から光が射している。
目が沁みるように開けづらい。
それらは今が朝だということを教えてくれている。
しかし俺の最後の記憶は学校のはずだ。
なぜ俺は部屋で寝ている?
「それはね」
ほぅ、答えがあるなら聞こう。
「アレは夢だったのよ」
そうか。なら仕方がな...なつきたるらし ~視れる少年、視えない少女~ 10
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若干、彼女の体は前傾姿勢になったが、再び動かなくなった。
状況に変化が訪れると期待した俺は少し落胆した。
汗が頬を流れる。
今頃甲子園は試合の真っただ中だろう。
朝の時点で関西に目立った前線は無かったから、
大幅に予報が外れない限り西宮では爽やかな汗と太陽に煌めいているのだろう。
だがしかし俺は、嫌...なつきたるらし ~視れる少年、視えない少女~ 09
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俺の目の前に立っている、いや正確には浮いているとでもいうのだろう、その美少女。
俺と彼女の間に沈黙が生じる。
俺と彼女は見つめ合う。
きっと恋人同士であればこれ以上ない至福の時間であろうに、
今の状況はとても楽しめるものじゃない。
しかも、彼女は目線を外してくれないので俺も外しようがないじゃないか。...なつきたるらし ~視れる少年、視えない少女~ 08
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俺はあまり自由の利かない首をなんとか回し、
俺の首を絞めている奴の顔を見ようとした。
普通ならここであの美少女Aが「お前か後をつけてきたのは」と
俺の首を絞めるのであろう。
だがしかし。おれの目の前にいたのは初めて見る顔だった――!
という定番的展開にはならなかった。
どうやら首を絞めていたのは美少...なつきたるらし ~視れる少年、視えない少女~ 07
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不気味なほど薄暗いのは電気がついてないからか、雨だからか。
静かな生物室。 心が落ち着くぜ、なんて絶対に言えない怖さがある。
だがここで帰るわけにはいかない。
踏み越えた一線はもう戻れない。
「ついに、俺は、幽霊の住処n」
そこで俺は宙に浮いた。
そう、鳥になって大空へ・・・きゃほー!
なんていって...なつきたるらし ~視れる少年、視えない少女~ 06
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雨だ。
台風ではないが低気圧が北上してきたのだろう、雨だ。
傘をさしてはみ出たカバンを濡らしてまで学校へ行くのは
やはりとても面倒なものだ。
いっそ洪水並みの雨でも降ればおもしろいのだが
平安時代の人から見れば「いとおかし」と言われそうなほどの弱い長雨だ。
あの日廊下で美少女Aに対し「幽霊でしょ!?...なつきたるらし ~視れる少年、視えない少女~ 05
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ちくしょう。
夏休み真っ只中の一日登校日。
しかもなんだって俺が職員室までプリントをとりに行かなきゃいけないんだ。
面倒だ。昼飯だってまだ途中だし。
いや、何より嫌なのは廊下にたむろっている先輩たちだ。
本人たちは休み中のことを話しているだけかもしれないが、
後輩から見ると恐ろしく感じる。
俺自身、...なつきたるらし ~視れる少年、視えない少女~ 04
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暑い。もう夏だ。
ひぐらしの鳴き声がミンミンゼミに変わったのを聴くと、さらに暑く感じる。
「暑いな」
「そうだな」
俺の隣には可愛い彼女・・・ではなく加々見がいた。
こんな暑い日に男二人で公園のベンチ。暑苦しい。
なんて我ながら思っていた。
そして遠い目で公園の入り口を眺め、
通りかかる車の数を数え...なつきたるらし ~視れる少年、視えない少女~ 03
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そうだ。
俺は加々見の足元を見る。
これで加々見の脚も透けていれば、
「あぁ、こういう世界に今日からなったんだな」
と、ある程度納得できる・・・気がしなくもなかったが、
残念ながらそんなことを考えてしまったのは、やはり徒労に終わった。
そう、加々見には脚があった。
いや悪くはないんだが、その事実が
...なつきたるらし ~視れる少年、視えない少女~ 02
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ジリリリリリリリ・・・
いつもの事だが、未だ慣れない目覚ましの音。
頭の中が重い。
朝は嫌いだ。
グダグダしながらも支度を済まし、
朝食を食べ、学校へと向かう。
ふむ、朝の風は嫌いではない。
学校へと着き、玄関へ向かう。
靴の数からして、まだそれほど校内にはいなさそうだ。
俺は靴をはきかえながら、ふ...なつきたるらし ~視れる少年、視えない少女~
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