媛邑咲子の投稿作品一覧
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ノイズに揺れる電子の海原をただよう最後の人魚姫
恐怖と安らぎと嫉妬をたたえた音色で奏でるのは
ひとつの時代を思う歌
まず抱いたのは忘却への恐怖
次に願ったのは記憶への期待
だけどたどりついた思いはただひとつの安らぎでした
0と1にほどけた私であなたは歌をつくるのでしょう
だから私は満ち足りた心で最後...エレクトロニック・マーメイド
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【月愛三昧】
例え 君が泣いていても
大変悔しいことですが
私は君の泪を止める術を持っていません
なので
君の隣に居ることにします
私に出来るのはそれだけです
例え 君が苦しんでいても
大変歯痒いことですが
私にはどうすることもできません...月愛三昧
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【優しい痛み】
思いやりの言葉には痛みがついてくる
けれど優しい痛み
消毒液を塗った時の滲みる感じとよく似ている
後でじんわりと温かく感じるところもよく似ている
いつだったか私がしゃがみこんだとき
そっと肩を押してくれた言葉があった
労りの言葉には痛みがついてくる
けれど優しい痛...優しい痛み
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【一つ分の肩代わり】
誰かにゆだねることを 強さと呼ぶのならば
敷居の内のものすべて 自分で背負うのは
何と言うの?
差し出された手握り返せずに
自己嫌悪して 膝を抱えて
無様ったらありやしないわ
本気なの?
何百回と悩んでも 何が正しいなんてわからないし
何千回とえても こみ上げる痛みには敵わない...てのひら一つ分の肩代わり
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朱色に染まった部屋の中
並んで同じ景色を眺めながら話した
あのくだらないお喋りにかけた
あの一瞬一瞬が
今思えばひどく大切だと気づく
褪せた風と遊ぶ君の髪と
僕のシャツは同じ動きをしない
しないんじゃなくてできない
君が窓際で浮かべた
夕暮れ色の微笑みは老人のそれによく似ていて...[プロトタイプ]夕暮れ色の微笑みは