セガワ

確かに失い何かを索めるために
世界の幻視幻聴を知る
風や林檎の恋する声を
君と僕のてのひらに重ねて
明滅と反転の色を繰り返しながら
寂しい空を回り続けている
燃える羅針儀の上で滑り落ちる
命の軌跡が錯綜している
天河石色の半月を追い越して
藍銅鉱色のアップライトピアノを聴く...

幼い幸せの終わりはここなのだと
今頃になってぼくは理解した
いやはてで光る花と咲くあなたの笑顔
この先へと行かなきゃね
ぼくだけで
あなたの話した言葉を
端からなぞり
あなたの思ったことを
呑み込もうとした
あなたが話した生き方を...

蓮[ハチス]の揺蕩う暮つ方
不一の結びの裏は
足りぬ思い種[グサ]
故[コトタエ]に
雨は降り止まず
路薙[ミチナ]ぎに
形在るものを探す
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葬儀が終わり蓮の灯籠が揺れる夕方
貴方が遺した手紙だけでは...

蓮の揺蕩う暮つ方
不一の結びの裏は
足りぬ思い種
故に雨は降り止まず
路薙ぎに
形在るものを探す
風のない閑寂の下で
道惑いの私は
ゆくらかに燃えて
影が伸びる...

これから私がのたまうことは
ただの妬みだ
ただの嫉みだ
あなたには謂れのない逆恨みだ
空風に吹かれれば彼方へ消えるような
ペテンで拵えた呪詛だ
雑音とふくよかな言葉の下で
細々呟く気狂いの言葉だ
何も聞かなくていいし
何も覚えて帰らなくていい...

くろいとり
このたびは拙作「くろいとり」をご視聴いただきありがとうございます。
「くろいとり」の世界観や歌詞には、作品内では語られない民俗的な風習や人物の前提などが盛り込まれており、多少不親切で分かりにくいものとなっております。
本テキストは拙作を気に入って頂けた方々に向け、より理解を深めて頂けるよ...

どうして
こんなに広く冷たい空に
どうしてどうして
泣き腫らしても遅いさ
とっくに動けもしないから
どうしてどうして
こんなにも
よちよち這ってはあとにつづいた
あの子は帰れたのかな
おめかし囲んだ大人たち...