タグ「鏡音レン」のついた投稿作品一覧(40)
-
「メーちゃん、あのさ」
再び、カイトがメイコに呼び掛ける声が扉ごしに聞こえてきて、思わずレンは動きを止めた。
「まだ何かあるの?」
ため息混じりに言うメイコに、カイトが、うん。と何かを覚悟した声で応える。
「おれ、メーちゃんが好きだよ」
青い声が、そっとさりげない音で、言葉を紡いだ。揺らぐことなくま...おまじない・6
-
「なんか、レンずるーい」
夜もふけた就寝前のベッドの上。カイトに何を『貸した』のか訊きに部屋にきたリンに、事の顛末をレンが話すと、リンがそう非難の声をあげた。
「何がずるい、だよ」
片割れの言葉に口を尖らせてレンが抱えていたクッションを投げつけると、なんかいいとこどり、って感じがする。とリンがクッシ...おまじない・5
-
なくさないようにちゃんと鞄に入れておこう、と、どこか嬉しそうにしながらカイトが持っていく鞄に預かった2つの品をいそいそと仕舞う。その背中を見つめながら、レンはインタネ家もか!と、心の中で叫んだ。
まだ他にもカイトから『借りて』ない人がいると油断していたのに、隣家の兄妹は『貸して』きた。これで...おまじない・4
-
―明日、カイトは人工知能の実体化を研究する研究室へ行く。必ず帰ってくると言うが、必ず帰ってこれるという確証はないのだ。
だから、きっとこれはおまじないのようなもの。
皆で示しあわせた訳ではないのだろう。それぞれに考えての事なのだろう。皆がそれぞれに、カイトは絶対に帰ってくると信じている。だけ...おまじない・3
-
しばらくの奮闘の後。
服の山(正しくはマフラーの山)をなんとか片付けることができ、ふぃ~、とカイトとレンが息をついていると、兄さん、と戸口からルカが声をかけてきた。
「ひと休みしませんか?アイス買ってきたんです」
ほら、とルカが無邪気な笑顔で手に持っていたアイスの袋を掲げた。カイトの大好物である...おまじない・2
-
ばあちゃんマスターのシリーズものとなっています。
今までの話を知らないと、わからないかも?な内容となっていますので、それでも良いよ!知ってるよ!という方はどうぞ~↓
引っ越し前、あるいは大がかりな部屋の模様替えの真っ最中か。衣類やら本やら紙の束やら。色んなものが収納から引っ張り出されて積み上げられ...Master おまじない・1
-
口論をしてた2人に、公園の脇道を通りかかった青年が声をかけてきた。
「あれ、ミムラさんの弟じゃないか?何してるの、一人で」
そう声をかけてきた青年はタロと同じくらいの年齢の青年で、ガリ勉もまた知っている人らしく、こんにちは、と頭を下げた。
「誰?」
携帯の中からレンがそう問い掛けると、兄ちゃんの...いつかの冬の日・3
-
でも折角家出をしたのだから心配かけてやりたい。けれど以前にルカが迷子になった時の騒ぎを思い出すと少し後ろめたい。でもやっぱりリンには負けられないからすぐには帰りたくない。そんな事を思いつつ、どうしようかな、と少し途方にくれながらレンはため息をついた。
このまま家出をするのだとしたら誰かのところに...いつかの冬の日・2
-
画面の向こう側に行く事が出来たら、どんな事をしたい?
いつだったかそんな話題で盛り上がった事がある。
「歌うのは基本だよね?」
「歌う以外で?そしたら私はお買いものかなあ。」
「それ良い!お洒落な街に出かけてマスターに洋服を見立ててもらうの」
「それを言ったら私だって。あ、そうだ。洋服見立てても...Master いつかの冬の日・1
-
Airport ―KAITO―
♪
忙しい彼女の長期休暇が始まった朝。おれは彼女の部屋を訪れて、今から南の島に行くよ。と言った。
きっと、始まったばかりの休暇の朝を満喫していたんだろうね。まだ寝間着姿の彼女は、玄関先でおれの言葉に驚いたように目を丸くしていた。だけど寝ぼけていたのか...Long Vacation~ひとり占め!summer☆girl~
-
この作品は、以前書いた、カフェの話の番外編的な話です。
一連のカフェを舞台にした話を読んでいないと、ちょっと分かりにくいかもしれません。
それでも良いよ。または、読んだことあるよ。という方は前のバージョンからどうぞ。
Cafe・トリックオアトリート
-
恥ずかしさで本当ならば黙って立ち去りたかったが、生真面目なぼくにはそんな無作法な事は出来ない。失礼します。と頭を下げてスーパーの中に入ろうとしたら、背後から、猿じゃないぞ。と声が掛った。
「あげはは、あげは、だ。猿、じゃない。」
その言葉に振り返ると、サルの首から下げられた携帯電話から、鏡音レンが...夏休みのある一日・8
-
「ごめんなさい。」
痛みに打ちのめされながらも、傷つけたのだからせめてこれだけは言わなくてはいけない。そう思ってぼくが謝罪を口にすると、サルが驚いたように顔を上げた。
「まさか謝られるとは思ってなかった。」
つい先ほどまで泣きだしそうだったはずのサルが、心底驚いた様子で目を見開き、そう言ってきた。そ...夏休みのある一日・7
-
痛い。胸のあたりが痛い、とぼくは思った。これは求めた結果のはずなのに、サルを泣かせたくてやったことのはずなのに。何でぼくまでが痛いのだろうか。おかしい。これはおかしい。傷ついているのはぼくじゃないのに。傷つけたのはぼくなのに。まるで殴りつけるように酷い言葉を放ったのはぼくなのに。なんで。
「おいガ...夏休みのある一日・6
-
ああなんだ、サルもちゃんと笑えるんじゃないか。という気持ちと、こんな風に笑うことができるのならば、ぼくがやってきたことは全部無駄だったじゃないか。という気持ちが交互にやってきた。
笑わせるつもりは最初からなかったけれど、だから、せめて泣かせようと思ったのに。それすらも出来なかったぼくは、本当に馬...夏休みのある一日・5
-
「おまえ、そんなの持ってたのか。」
ボーカロイドはどちらかと言うと大人用のソフトで、子供のおもちゃと言うには少し難易度が高い。更に言うと、そんな容量の大きなソフトを持ち歩ける携帯だなんて、小学生の持ち物にしては贅沢すぎる。
「レンも携帯も、知り合いの人の。」
ぼくの疑問を察したのか、サルはそう言って...夏休みのある一日・4
-
そういう態度を取られるともう構うことはできない。悔しい。何だか悔しい、が、この悔しさは相手から会話を切られてしまったからだろう。悔し紛れに、ぼくは、音痴。と言ってやった。
「歌、聞いたの?」
ぼくの言葉に反応して、サルは微かに頬を赤らめた。どうやらサルでも人並みに恥じらいがあるらしい。その反応に気...夏休みのある一日・3
-
それは小さな歌声だった。雑踏にまぎれてしまうほどの小さな歌声。自動ドアが開くたびにはみ出してくるスーパーの店内ミュージックにかき消されてしまうほどの、小さな小さな歌声。
近所のスーパーの入り口のベンチに、サルがいた。
そのサルはぼくと同じ年で同じクラスの子だ。小柄で華奢なくせに運動神経が良くて...夏休みのある一日・2
-
それは、小さな歌声だった。
夏休みがあと一週間で終わってしまう。この絶望。どうすればいいのだろうか。優秀な小学生のぼくだから、宿題が終わっていないわけではない。学校の宿題なんて七月中に終わらせるのが常識だ。
けれども、だ。
夏休みの間、自堕落に過ごすことに慣れてしまったこの身体が、9月一日から...Master 夏休みのある一日・1
-
それは暗い眼差しだった。血の匂いがした。微かに狂気をはらんでいた。泣き出しそうな気配がした。大声で嗤いたいような痛みがあった。飢えた者のためにパンを施しているわけではなかった。哀れみも慈しみもなかった。見下した様子でもなく偽善も傲慢さもなかった。
それでも、少年の眼差しは静かに凪いでいた。こんな...―悪事を働く獣・3―~悪ノ召使~
-
その日も、いつものように少年はやってきてパンを流民たちに配っていった。皆、少年を囲んでパンを受け取っていった。いつもの光景がその路上では繰り広げられていた。
それはいつもの、当たり前となった光景。
子供もいつものように、その輪に入ろうと思っていた。パンを受け取るために少年の傍に寄ろうと思ってい...―悪事を働く獣・2―~悪の召使~
-
※この話は、ピアプロで活躍されている、レイジさんが書かれている悪ノ娘・白ノ娘の二次創作小説である「ハルジオン」を舞台に派生させた小説です。
知ってるよ、あるいは、それでもいいよ。という方、前のバージョンからどうぞ。
―悪事を働く獣・1―~悪の召使~
-
※この話は、wanitaさんが書かれたココロ・キセキの二次小説を舞台に書かせてもらった、二次創作となっています。
wanitaさんの作品と、以前私が同じように書かせてもらったココロ二次創作を読まないと、解りにくい内容となっています。
時系列に並べると、
wanitaさん ココロ・キセキ ―ある孤独な...―ある博士たちからの手紙―
-
―L・ある孤独なロボットの話―
そっと、眠るリンの頬に僕は触れた。触れるだけで沸き上がる恥ずかしいような慈しむような感情は、僕のモデルであるカガミネ・レンというヒトから由来するものかもしれない。けれど、感じているのは僕だ。そう思った。
眠るリンの体はずっと起動をしているせいで熱いくらいだ。少しは...―L・ある孤独なロボットの話―~ココロ~
-
お昼は予想通りの繁盛を見せて、森はスタッフの女の子と一緒にひたすら食事を作るべく、フライパンを振りサラダを盛り付けて包丁でカットする。ホールも鳥海だけでなくアルバイトのミクがやってきて、いそがしくも楽しく働いた。
お昼の喧騒が一段楽した頃、近所の和菓子屋さんの双子がやっ てきた。今度こそ食事を食...ロータス・イーター 2
-
外に出ると、オレンジ色の夕焼けが西の空を染め上げていた。反対側の東の空は既に暗く藍色の夜空へ塗り替えられている。路面に面した店はオレンジ色の灯りを点けて、夜に向けてざわざわと活気を見せている。人々がにぎやかに交差する通りを二人は並んで家に向かって歩いていた。
「それにしても良かったな。店長が良い人...鏡音和菓子店・4~下剋上(完)~
-
リンのタルトタタンが来る頃には、先に来ていた女子大生たちも席を立ち、店の中は双子の貸しきり状態だった。
「このケーキ、美味しい。」
カラメル色の林檎をもぐもぐと咀嚼しながらリンは顔を輝かせた。どれ。とレンもケーキに手を伸ばして一口食べた。
確かに、りんごの甘酸っぱさとカラメルの苦味が丁度良い塩梅...鏡音和菓子店・3~下剋上(完)~
-
つーか早くリン来い。
ばにゃにゃ。と言ってしまってから、生暖かい眼差しを向けられているような気がして、一人でいるのがいたたまれない。しかし、件のチョコバナナファッジは美味かった。あいつには罪はない。罪があるのは、なかなか来ないリンだ。
アイスカフェオレのストローをがじがじ噛みながらレンが入...鏡音和菓子店・2~下剋上(完)~
-
大通りの外れ、喧騒から離れたこの通りには落ち着いたカフェや趣味の良い雑貨屋、洋服屋などがところどころに点在している。ここもそのひとつで、一階が古着屋の建物の二階に、こぢんまりとしたカフェがあった。
このカフェ、席数は少ないが昼時になるとたいがい満席になる。又、利用するお客様も若い子ばかりでなく、...Cafe・鏡音和菓子店・1~下剋上(完)~
-
サイハテ・レンver.の二次創作小説です。
人の死が題材です。
なので苦手な方はご遠慮ください。
大丈夫な方は下からどうぞ。
コイハテ2 ~サイハテ・レンver.~
1
- 2