私の罪、それは二人を裏切ったこと。
二人は私だけを愛してくれた。どちらかを選べと言った。
私は、選べなかった。どちらも同じくらいに好きだから。
その選択は、二人を裏切ることとなった。


私が犯した罪のせいで、二人はおかしくなってしまったのかもしれない。
私に向けた愛は歪み、精神を狂わせた。
暴走、加速。それの繰り返し。
押さえきれない感情は、やがて衝突を始める。
二人は、どうしても私を手に入れたかったらしい。
結論は、今はまだ出さないでおくことにする。




全ては、あの出会いから始まった。
突如私の前に現れたのは、二人の人影。

『あなた達…いつからそこにいたの?』
『ずっとここにいましたよ』
『どうして?』
『貴方にお仕えするためです』

その頃の私はまだ幼くて、外の世界をよく知らなかった。
そして、あまり他人とかかわろうとしなかった。
だから、周りの人間は二人の男を、私の元へ置いた。

『私に仕える?ご冗談を。私に仕えようとする者は、この屋敷にはいない』
『その通りです。だから、遠く離れた地から参ったのです』
『貴方は、知らなさ過ぎる。そして、常に危険にさらされているのです』
『僕達は、貴方に世界を教える教育係。そして、貴方を守る二つの盾です』
『世界なんてとっくに知ってる。それに、私に盾はいらない』
『お嬢様…』
『彼らのために、私はこの檻で生きているだけ。私は、保険だから。いらない子だから』

生まれた時から、私は必要とされなかった。
彼らのためだけに私は存在する。彼らは自分たちが生きるためだけに、私を檻に閉じ込めた。

『私は、お父様達が死なないためだけに生きてるの。誰も信じない。お父様達がよこした人間は信用できない』
『…お嬢様。貴方が僕達を信用しなくても、僕達二人だけは貴方を一生お守りします』
『お傍にいます。永遠に』
『…そう。じゃあよろしくね。名前は?』
『僕はカイトです。こっちはガク』
『あなたたちの態度は別に評価しない。私はただ生きているだけ…いいわね』
『『はい』』

今まで、道具として扱われてきたも同然だった。
私を必要とする人などいなかった。
でもこの日、私は初めて、大切なものを得た。

『じゃあ、まずはお仕事を与えましょうか。お腹がすいたので、おやつが食べたい気分よ、カイト』
『かしこまりました』
『その後にお勉強をしたいから、ガクは道具を準備してくれる?』
『かしこまりました』
『うん。とりあえずはそんなところかしら…私は自室で待っていますから』

思えば、この日から、私は変わったのかもしれない。
人間らしく生きはじめたのもこの日かもしれない。
私に世界を教えてくれた二人に感謝ね。



これは、世界のどこかで起きたこと。
世界は当たり前のように動いている。
その何気ない日常の中で懸命に生きた、三人の記録。
物語のページは開かれる。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

LOVELESS×××【Prologue】

はい、他の連載どうなってんだよって感じですね。
レンは女の子設定です。
そしてPrologueって書いてあるのに続くかどうかは未定です。

本家様 http://www.nicovideo.jp/watch/sm13363453

閲覧数:929

投稿日:2012/06/17 00:34:59

文字数:1,206文字

カテゴリ:小説

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