「かぁーーーーーーーーーーーーーーーっこいいーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
「リリィ、落ち着いてココ教室だから」
後ろの席に座っているミキに諌められ、腰を下ろす。
でも私の目は未だに爛々としてるらしく、ミキは不審者を見るような目つきをしていた。
「はぁ・・・いくらなんでも今回は騒ぎすぎじゃない?」
「だぁーってさ、この雑誌のKIYOは超カッコイイって!!!」


私は今すこーし話題になってるロックバンド『アイスマウンテン』に夢中なのだ。
ミキに連れられたバンドハウスで出てきたのがアイスマウンテンであり、私はこのときから好きになっていた。
アイスマウンテンはどのメンバーも美形揃いだが、中でも一番人気はボーカルのKIYOであり、私もKIYOの大ファンなのだ。
ミキ曰く「リリィにKIYOの話題を振ると一晩は拘束される」らしいが・・・カッコイイもんは仕方ないもん。


「はーい、授業始めますよー」
少し高めの男の声が聞こえ、席を立っていたクラスメイト達はぞろぞろと自分の席についていく。
入ってきたのは氷山先生。まだ20前半くらいの容姿で(年齢はわからない)、私たちの学年の数学を受け持っている。
正直いって・・・私はこの男が嫌いだ。男の癖に妙な高音だし、優男みたいだし、何より・・・KIYOに似てやがる。
まあ、氷山先生は歌が苦手らしいし、KIYOに似てるってのも他人の空似だろう。
この授業は6限目だし、今日は待ちに待ったアイスマウンテン初シングルの発売日だったから、数学の内容など全く頭に入らないまま授業が終わった。



「・・・お兄、なんか授業のスピード早くなかった?」
学校帰りに立ち寄ったCDショップでミキがそうぼやく。氷山先生とミキは従兄妹らしい。
「えーそうなの?私全く聞いてなかったよ」
「ちょっと!?今日のとこテストに出るって言ってたよ!?宿題もあるし」
「嘘!?・・・ミキー写させてー」
「・・・良いけど・・・どうせ明日の朝でしょ?」
「まあね!」
私は少し威勢良く・・・というか開き直りながら言った。
今日は特にアイスマウンテンのことで頭がいっぱいで、氷山の授業なんて覚えれるはずがない。
ミキは呆れ顔をしたあと、再びCDを選び始めた。



「ふふふーふふっふふー」
私は鼻歌を歌いながら夜道を歩いていた。
今日はシングルを買った後、アイスマウンテンの発売記念ライブに行ってきてすっかり遅くなってしまった。
幸い今日は両親が旅行に行ってて、門限なんて厳しいことは言われなくて済む。
私はそのまま上機嫌で歩いていた。


「よお姉ちゃん、ちょっと道を教えてくれないかぁ?」
繁華街の真ん中で、ひょろっとした男性に声を掛けられた。
いかにもな悪っぽそうだけど・・・道を教えるだけならいっか。
「分かりました、どこに案内すれば?」
「そうだなぁ・・・」
ということになり、私は見知らぬ男性に近くのコンビ二を案内することになった。


「姉ちゃんはさ、よぉくここらには来るのかい?」
「ええ、ライブハウスに良く通って・・・ひゃっ!?」
突然、誰かに腕を引っ張られる感覚がする。そのまま暗い路地に入ってしまった。
「おお姉ちゃん、道を案内してくれてありがとなぁ」
「え、い、いや、まだコンビニではないですよ・・・?」
私はそう受け答えをしながら周りを見渡した。
周りには電灯がなく、月明かりも届かないような場所。そんな所に連れ込まれた私の目の前にはガラの悪そうな男が3人。後ろには道案内をした男性がいた。
こんな所に連れ込まれたらどうなるか・・・お金を取られるか乱暴されるかのどっちか、もしくは両方だってありえる。

「嬢ちゃん、発育良いねぇ」
「その服は制服かな?ダメじゃないかぁ制服でこんなとこきちゃあ」
「そんな子はなあ、変なおじさんに何されるか分からないんだぞぉ?」
「まあ、それって俺らなんだけどなぁ」
「違いねぇ」
さっきから四人の男が舐めまわすような視線を向けてくる。
荒い鼻息や、下品な笑い声と共に。
対して私は、武道を極めているワケではないのでこの男たちを倒すことは出来ない。
しかも怖くて逃げることも、声を出すことだって出来ない。
そして、男のうちの1人が私の胸元に向かって腕を伸ばそうとしたその時――――


「そこまでだ」


――――どこからか聞こえる低い声と「ゥヴッ」という男の呻き声。
私の背後に立っていた男が、誰かの攻撃でばたりと倒れた。
後ろに振り向くと、逆光のせいでよく見えないがメガネを掛けた男が立っていた。
・・・どことなくKIYOに似てるのは気のせいだろうか。
「な、なんだお前ぇ・・・」
「その女の子に手を触れるな」
メガネの男は問いを無視して、私とゴロツキの間に割り込むようにして突っ立った。
「お、お前は・・・!!」
「兄貴コイツやべえって!銀縁の氷山だぞ!」
ひょうざん・・・?この人の通り名というものだろうか。
「この女の子は俺にとって大切な・・・なんだ。今日は見逃すが、もし次があれば・・・即刻消す」
『ひ、ひいいいいいいいいいいいいいいい!?!?!?』
ゴロツキはメガネの男性の一言で怯え、そのまま走り去った。


「・・・大丈夫でしたか?」
「あ、あの・・・ありがとう、ございました」
私は頭を下げる。助けてもらったお礼もあるし、顔を直視したらなんかいけない気がした。
「大丈夫そうですね・・・なら良かった。《妹の友達》に何かあったらいけませんしね」
少し低めのテノールが紡ぐその声は、やはりKIYOと・・・あのウザッたい数学教師に似ている気がした。
「では、俺はこれで。次会うのはいつでしょうね・・・まあこの姿では二度と会いたくありませんが。夜道に気をつけて」
そう言って、私を助けてくれた男性は颯爽と歩いていった。




「・・・ミキー写させ・・・ふわぁ」
「どうしたのさ、寝不足?」
「うんまあね・・・」
あの後、帰ってからも昨日の男性を思い出し、一睡も出来なかった。
「リリィ、数学1限目だけど?」
「えー、それはそれは・・・ってやば!?」
今の一言で完全に覚醒した。
「頑張って写すんだぞー」
「・・・今《写す》なんて単語が聞こえてきたのは気のせいですかね・・・?」
突然目の前で聞こえてきたのは少し低めの・・・昨日聞いた声。
その声にビックリして顔を上げると、氷山の顔があった。
「お兄!」
「宿題を写すなんていけませんね、リリィさん。ミキさんも同罪ですよ?」
「「ごめんなさーーーい!!」」
氷山は怒らせると怖い。だから素直に謝っておくのが得策というものだった。
「あ、それとリリィさん・・・」
注意ついでに、と氷山が顔を近づけて言った。


「ロックバンドにはまり過ぎるのも悪くないですが、夜道には気をつけるんですよ?また昨日みたいになる前に」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

氷山に咲くは百合の花【キヨリリ】

キヨさんの苗字ってひょうざんって打てば一発やん!とやっと気付いたすぅです。
そして念願のきよりりぃ単発いえい!!
タイトルですが、なんかポエムっぽくて一発見ただけだとわかんないかなーって思ってましたがwww
ではでは。

ちょっと追記。
いつも書けないこと書けずに終わっちゃうからw
アイドルにハマってるリリさんだけどそのアイドルが...っていうのと、嫌いな教師が危ない所を助けてくれるっていうのがやりたくてやりたくてwww
一つにまとめちった☆
あとキヨリリタグを使ってる人が少ないからもっと増えて欲しいなっていう布教を兼ねた単発でした。

ではさいならー。

閲覧数:272

投稿日:2014/02/03 21:13:38

文字数:2,834文字

カテゴリ:小説

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  • みけねこ。

    みけねこ。

    ご意見・ご感想

    リリィちゃんめっちゃ可愛かった!
    リリィちゃんの曲は聞いたことあるけど、キヨテルの曲は聞いたことがないです。
    オススメの曲ってありますか?

    2014/02/11 18:55:34

    • すぅ

      すぅ

      ありがとうございます!!!
      リリィちゃんはカッコ可愛い女の子ですしね!!!

      キヨテルですか...私もあんまり曲は聞かない()のであれですが、「真夏の銃声」と言う曲はかっこよくて好きです!!!
      今回の鼻歌も、その歌のサビ部分っぽくしてみました。

      では、コメントありがとうございました(((o(*゜▽゜*)o)))

      2014/02/11 19:20:54

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