「アナタの国もよく諦めないわねぇ。さっさと負けをみとめればいいのに。」
「あ、あなたは誰?」
「ワタシ?ワタシはそうね、人間達から言うところの、アナタの敵よ。」
「…………え?」

静かに頬笑みをうかべた『敵』は、語り出す。

「知ってる?ワタシ達がこうして人の形でいられている理由。
 人の手で進化させられた国、都は、個々の意思を持ち、さらに進化できるように、人に知恵を与える。
 しかしそれは、本当に限られている所にしかおきない、いわゆる奇跡。
 アナタにも、その知恵に、身に覚えはあるんじゃないの?」
「…………?……っあ!」

その瞬間、忘れていた、忘れようとしたことを思い出した。
私は、

「私は、この国の人達に、武器、を」

「そう。ワタシ達は、その国の意思。
 ワタシ達が何かを生み出せば、それはその国のモノになる。」
「けど、どうして!これじゃあ進化どころか衰退していってるじゃないの!!」
「…はぁ。ここまで言ってもわからないのね。
 ワタシ達は、人の欲によって生み出されたのよ!」

力が、ぬけていくのがわかった。


「……わ、たしは……」

「まぁ、そういう訳だから、もう」

              人を愛するのは、やめなさい?


気づくと、もう『敵』はいなかった。
ただ、いつもと変わらない、荒れた大地がひろがっている。
足の力がぬけ、膝をつき、地面に横たわる。

黄色い月がうかんでいる。
今のは夢だったのか、現実だったのか、わからない。
けれど、彼女の中に新たな感情が生まれていたのは確かだった。

遠くから聞こえる怒声。響き渡る銃声。止まない悲鳴。
滲んでいく月を見ながら、今日も呟く。


                                    





                                  助けてください

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

迷的サイバネティックス 2

続きです。
見て下さった方、ありがとうございました。
これを見て、原曲に興味を持った方がいらっしゃれば、幸せです…!

閲覧数:176

投稿日:2012/03/13 22:23:47

文字数:800文字

カテゴリ:小説

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