【がくぽ誕生祭】サヨナラの前に一つだけ【がくルカ】

投稿日:2012/07/20 00:10:19 | 文字数:2,197文字 | 閲覧数:2,218 | カテゴリ:小説

ライセンス:

「せめて、最後の時だけは」

少し早いですが、がくぽ誕生祭として書きました。
「サヨナラを告げる前に」(http://piapro.jp/t/F_W8)の別視点です。
そして続きます。

前のページへ
1
/1
次のページへ
TEXT
 

叶わないけれど、せめて最後だけは。







<<サヨナラの前に一つだけ>>







僕の未来が、色づいていればいい。



僕も気づけば高校生だ。
学生は基本勉強と戦っているが、僕はもう一つの戦いがある。
僕は生まれた時から、他の人より心臓が弱かった。
小さいころから心臓の病気と闘って、最近ようやく落ち着いてきた。
そんな僕の唯一の楽しみは、漫画でもアニメでもゲームでもなく、絵を描くこと。
僕は人生の半分くらいを病院のベッドの上で過ごしてきたので、絵を描くことは得意であり好きだった。


高校生になり、体の調子もよくなった。そのため、両親は外出の許可をくれた。
だから、僕は品揃えが良いらしい画材店に行った。
病院も自宅も近かったので、近所にそのような画材店があることはとても嬉しかった。

小さいころ、入院してずっと寂しい日々をおくっていた僕に、両親は色鉛筆をくれた。
色鉛筆なら間違えても消しゴムで消すことができるし、ペンが使いにくかった僕には最高の道具だった。
その思い出いっぱいの色鉛筆を、学校帰りに買いに行った。
でも、その画材店の色鉛筆のコーナーは人がいなかった。
まあ最近は、ペンタブというものが流行っているらしいから、仕方のないことなんだろうけど。



「あ、あの…絵、好きなんですか?」

突然かけられた声に思わず後ろを振り返ると、そこには一人の女性がいた。
僕に声をかけた後、女性は少しだけ「しまった」というような顔をしていた。まずい。泣かせてしまうかもしれない。
僕は、女性ににっこりと微笑み、質問に答えた。

「えぇ。あなたもですか?」
「はい。趣味なんで」
「へぇ。まぁ、僕は絵が好きすぎて逆に辛いですが」
「あはは」

女性は笑ってくれた。
女性といっても、外見は僕と同じ高校生っぽくて、制服を着ていた。
大人っぽくて、でもどこか幼さを秘めた雰囲気だ。
桃色の髪と顔は、そこらへんのモデルなんかに負けないぐらいに美しかった。
特に声は、一度聞くとずっと聞いていたい程にキレイな声で、とても印象的だった。

「あなたは、よくここに来たりするんですか?」
「暇なときにここにきますよ」
「放課後とか、休日とかですか?」
「そうですね」

今の彼女が制服を着ていることから、もしかしたらこの時間は会えるかもとか思ってしまう自分がいた。

「じゃあ、僕はこれで」

彼女に手を振り、僕はその場から立ち去った。
明日もここに来てみようか。もしかしたら、また会えるかもしれないから。




次の日、同じ時間帯に画材店へ寄る。
あの場所で少し待っていると、彼女が来た。

「あ、昨日の」
「こんにちは、また会いましたね」

僕は「偶然」を装い、彼女に微笑んだ。
だって、言えるわけないじゃないか―――君に会いたかったなんて。

そして、また他愛もない会話をする。
その会話で、わかったことがある。
彼女の名前は巡音ルカだということ。
偶然にも僕と同じ高校に通っていて、しかも同級生だということ。


その次の日も、毎日同じ時間帯に、同じ場所で彼女に会い、話し合う。
いつのまにか、それが日常になっていた。
彼女といる時間はとても楽しくて。
彼女と話す10分ほどの短い時間は、気づけば一番幸せな時間になっていた。
彼女に会えることがとても嬉しかった。
彼女と話をしたい、できるならずっと一緒にいたい。本当にそう思えた。
僕の、この感情の名前は……



ある日、高校の図書室で巡音さんに会った。

「調べ物ですか?」
「まあね。巡音さんは?」

巡音さんが「読む本を適当に借りてこようとして来た」とのことなので「ここはおもしろい本がたくさんあるよ」と紹介した。

巡音さんが本を選んでいる間、僕は小さな紙にペンを走らせる。
その動作だけで、少し胸が苦しくなる。
本当は、わかっていたんだ。だから、僕はこれを残す。
そして、ある本にその紙を挟んだ。
いつか、君は気づいてくれるはず。

あとは、ポケットにしまったこの手紙だけど…
これは、あの場所に置いておけば大丈夫だろう。



翌日、あの場所で君に会う。
ごめんね。君との時間は楽しかったのに。

「僕は、もうここに来れないかもしれない」

君は、わけがわからないというような顔をしている。

「どうして?」
「…僕は元々、心臓が悪くてね。辛くなってきたから、もうすぐいい病院の近くの高校に転校する」

本当は、もっと一緒にいたかった。もっと話をしたかった。
だけど、神様はその願いを叶えてくれない。
神様なんていないんだ。

「本当にごめんね。僕には、何も【残せない】」
「神威くん…?」
「本当に、本当にごめんね、巡音さん」

「―――サヨナラ」





それからの残り時間は空っぽだった。
一日の半分も起きていることができなくて、左胸はずっと痛くて。
呼吸はしづらくて、何もできなくて、ずっとずっと辛くて―――そして、君に会えなくて。
もうわかっていた。僕には、もう時間が残されていないんだって。



そして、とうとう時間になった。
もう体を動かすことができない。指一本さえも。
沈んでいく意識の中で最後に思ったのは。



『君は、一人なんかじゃない』



誰かの声が、聞こえた気がした――――

のほほんと生きる物書きです。
ギャグから真面目なものまでいろんなジャンルの小説を書いています。
…のはずが、最近はがくルカを書くことが多いです。


IN率低いです。
マイページ以外では「かなりあ荘」というコラボに出現します。

全体的にgdgdなものが多いです。
小説は、自己解釈もオリジナルもやってます。
だいたいはその場のノリで書いてます。

もっと見る

作品へのコメント1

ピアプロにログインして作品にコメントをしましょう!

新規登録|ログイン
  • userIcon

    ご意見・感想

    ほら
    「よくわからない何か」が、こうして芽吹いているではないですかw

    2013/06/27 03:48:20 From  しるる

  • userIcon

    メッセージのお返し

    芽吹きましたねw

    2013/06/27 18:22:07 ゆるりー

もっと見る

▲TOP