【がくルカ】memory【4】
投稿日:2022/01/10 01:31:40 | 文字数:2,689文字 | 閲覧数:2,009 | カテゴリ:小説
2011/12/24 投稿
「休日」
改稿にあたり、内容を少し変更しました。
十年くらい小説を書いていますが、結局クリスマスの話はほとんど書いていない気がします。イベントものはハロウィン中心です。なぜでしょう。
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少しでも長く。
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それは、十二月二十四日のこと。世間では、この日はクリスマス・イブだ。本当は、私はこの日は一人で過ごす予定だった。そのはずだったんだけど。
それは昼、一人で動画サイトを見ている時だった。近くに置いてあったケータイが鳴った。
「え? こんな日に誰だろう」
ケータイを開く。
[新着メール・一件]
私にメールをしてくる人は珍しい。誰なんだろう?
[From:メイコ]
あれ? メイコからだ。なんだろう。
[今空いてる?]
とりあえず「空いてるよ」と送ると、返事はすぐに返ってきた。
[よし、今から遊ばない?]
というわけで、駅前でメイコと会った。
「ごめんねー、無理言っちゃって」
「いや、私も暇だったからいいよ」
どうせ一人で勉強か動画を見るつもりだったし、ちょうどよかった。
「まずどこ行くの?」
「本屋!」
「何を買うの? 参考書? 問題集?」
「ルカは真面目だねー。漫画だよ、漫画!」
「そういえばメイコ、漫画が好きだもんね」
本屋に行った後、駄菓子屋に行き、そしてゲームセンターへ。
「わぁー、ここがゲームセンターかあ」
「へ? ルカ、ゲーセン来たことないの?」
「うん、あまり。機会がなくてね」
「そうなんだー」
メイコはいろんな機械について説明してくれた。いろいろあるんだなあ。
その中でも、メイコはクレーンゲームのやり方を教えてくれた。でも私はとくに気になるものはなかった。代わりに、メイコがやっていた。
メイコはボタンでアームを操作しているとき、私に言った。
「ほんとはさ、邪魔したら悪いかなって思ったんだよね」
「え? なんのこと?」
私はよくわからず、聞き返した。メイコは平然と告げる。
「てっきり、ルカは神威先生と過ごしてるのかなって」
「はい!?」
ちょっと待って。意味がわからない。
「な、なんでそうなるの」
「だって、ルカと先生って付き合ってるんでしょ」
「つ、付き合ってはいないけど、どうして」
それでも、なんでその考えになるのかが不思議だ。
「なんでって。日本では、クリスマスは恋人と過ごすっていう人が多いし」
「あ、そういうこと、か」
そういうことか。
「で、なんで一人なの? というか本当に付き合ってはいないの!?」
「それは、あの人は仕事があるでしょ……? それに、本当の本当に付き合ってないよ」
「いやいや、メールでやり取りとかはしてないの?」
「一応メアドは交換したけど、メールを送ってはいないかな」
「そっか。あんたは、遠慮してるのね」
「う……そういうことになる、かな」
というか、なんでメイコはそんなに私とあの人のことを気にするんだろう。どうせなら、自分の恋愛の心配をすればいいのに。
「……って、メイコすごいな」
「え? そんなことないよ?」
気づけば、メイコは腕いっぱいにお菓子をかかえていた。全部、クレーンゲームで取れたのかな?
「メイコ、それ、全部、その……」
「うん、このクレーンゲームで取れたけど。簡単だよ?」
「難しいよ……」
そういえば、先日大量に持ってこられたお菓子の山も、クレーンゲームで取ったと言っていたっけ。
*
メイコと別れ、家に戻った。結局、メイコは「いっぱい取れたから」という理由でお菓子を半分くれた。
無事に元気になったのに結局お菓子を押し付けられている。何これ、部屋にお菓子がいっぱいなんだけど。
テレビをつけても、あまりおもしろそうな番組はやっていなかった。年末特有の特番ばかりで、特に楽しみにしていたレギュラー番組がやっていないつまらない時期だ。
うとうとと舟をこいでは持ち直す時間を繰り返し、ふああ、とあくびをした瞬間ふいに鳴ったインターホン。時刻は気づけば夜九時。
誰だろうとドアを開けた私は驚いた。
「……なんで」
そこに立っていたのは、紛れもなく彼。普段は学校で白衣を着ている、あの人だった。
「お待たせ」
「お待たせも何も、呼んでないんですけど……」
「冷たい言い方だね。でも巡音は俺に会いたかっただろ?」
彼はそう言って、少し微笑んだ。全部、見透かされてた。
「それで、どうしたんですか?」
「今日はイブだろ? イルミネーション、見に行こうと思って」
「え、ということは」
「そう。せっかくだから、一緒に見にいかないか?」
駅より少し離れた場所。立ち並ぶ木々に、綺麗なイルミネーション。
「綺麗……」
「だな」
空は曇っていないので、星は見えるかもしれない。でも今は街とイルミネーションの光で見えない。
途中、メイコがいないかなと思って見渡したけどいなさそうだった。そういえば、メイコはイルミネーションとか興味ないと言ってた。きっと今は、家でお菓子でも大量に食べてるんだろう。
近くの公園に立ち寄る。街灯もあまりない場所。でも、そのぶん星が綺麗だ。
「そういえば、どうして私と一緒にイルミネーション見ようとしたんですか?」
ふと口にした疑問。
「本当は、早く巡音に会いたかったんだ」
「イブだからですか?」
「ああ。クリスマスぐらい一緒に過ごしたいと思ってたんだが……仕事があったから」
やっぱり仕事が忙しかったようだ。
「それでやっと終わったと思ったら夜八時半。で、巡音にメール送ったんだ」
「メール?」
そういえば、八時半にメールが来てたっけ。なんだろう、全く内容を見た覚えがない。
「『今から会える?』って送ったのに返事が無かったから、気になって」
「ごめんなさい、たぶん寝てたと思います……」
うとうとしていたから、ケータイの音にも気がつかなかったんだろう。幸せな夢を見たような気もするけど。
「で、始音が『何? 巡音さん?』ってしつこくからかってきた」
「始音先生らしい」
「あまりにも始音の視線がうるさかったから早めに切り上げてきた」
「それで私の家に来たと?」
いくらなんでも急すぎる。
「なあ」
「なんですか?」
私は星を眺めながら返事をする。
「明日は休みだから、一緒にどこかに行かないか?」
「いいですよ。クリスマスは空いてるので」
「そうか、サンキュ」
深夜、私は寝る前に彼の最後の言葉を思い出した。
『明日は、少しでも長く巡音と居たいから』
そっと、まだ新しいカチューシャに触れる。明日、このカチューシャをしていこう。きっと、彼もまだ新しいマフラーをしてくるだろうから。
「少しでも長く……」
そう呟いて、布団にもぐりこんだ。
作品へのコメント1
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ご意見・感想
なんて愛おしいリア充なんだ。
からかうカイトもかわi((
がくルカは神。
ゆるりーのがくルカは正義。
今日も今日とて
ゆるりーの文才は光り輝く。
…とゆーわけで
ブクマもらってゆきます\(^o^)/2011/12/27 11:41:18 From ジェニファー酒井さん
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コメントのお返し
メッセージありがとうございます。
この話の二人はリア充だがい((
カイトもたぶん誰かとイチャついてr((
ちょww私のがくルカは正義じゃないですwww
私は文才ないですからwww光り輝きませんwwww
ブクマありがとうございます!
ちゃんとこの話の第二話も書きます。2011/12/27 18:03:54
ゆるりー
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【がくルカ】memory【2】
ほら、やっぱりそうなんでしょ?
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しばらく沈黙が続いていた。私は頭が痛かったり腕が痛かったりで喋るのは辛いし。神威先生はというと、なぜか表情が曇っていた。それは、この前からだろうか。それと共に、私は……。
その沈黙を破り、私は一つの疑問を口にした。
「どうして……」
【がくルカ】memory【2】
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【がくぽ誕生祭】サヨナラの前に一つだけ【がくルカ】
叶わないけれど、せめて最後だけは。
<<サヨナラの前に一つだけ>>
僕の未来が、色づいていればいい。
僕も気づけば高校生だ。
学生は基本勉強と戦っているが、僕はもう一つの戦いがある。
【がくぽ誕生祭】サヨナラの前に一つだけ【がくルカ】
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【がくルカ】memory【3】
これは『罪』なのだろうか?
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巡音はまだ体調が良くないので、今日は休むようだ。なんとなく、咲音が寂しそうだった。
休み時間、俺が一-Aの教室から出た時、誰かに腕を掴まれた。恐る恐る振り返ると、そこには咲音。
「な、なんだ?」
【がくルカ】memory【3】
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【がくルカ】memory【14】
どうしてあなたが?
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「見つかんないじゃん……」
帰りのバスに揺られながら、リンさんはブツブツ呟いていた。
「まぁうちの学校にいるといっても、かなりの人数だからね。そう簡単には見つからないでしょ」
【がくルカ】memory【14】
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【がくルカ】memory【18】
非日常は、案外すぐ傍に
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「すまない、迷惑をかけた」
学園長が失踪してから十日経ったある日。失踪した本人である学園長は、突然帰ってきた。現在は学園長室にいる。
「何も言わずに、十日間もどこに行ってたんですか!」
【がくルカ】memory【18】
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【がくルカ】memory【8】
あなたに聞けばいい?
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「信じらんない!」
今は昼休み。お弁当を食べていたらメイコが思い出したように突然キレた。いきなりどうしたんだろう。
「なんかよくわかんないけど、とりあえず落ち着きなよ」
【がくルカ】memory【8】
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【がくルカ】memory【16】
全ては、唐突に
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「はい、できた」
宣言通り三日で台本を完成させたリンさんは、笑顔で台本を手渡した。ちなみに、ここは放課後の講堂です。
「リン……お前、これを三日で……しかも一人で……?」
【がくルカ】memory【16】
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【がくルカ】memory【24】
曖昧な記憶の中で
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「巡音さん……?」
今、目の前の彼は何を言っているのだろう。だって、確かにあの時まで…彼は、私を「ルカ」と呼んでいたのに。「巡音さん」なんて、一度だって呼んだことはなかった。
「何故……君が、ここに」
【がくルカ】memory【24】
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【がくルカ】memory【17】
たった少しのことだけで
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「じゃあ、次はここね」
初音先生の言葉で、今日も劇の練習は進んでいく。なんでもないような光景に見えるが、本当はそうでもなくて。放課後の講堂での練習は、私にとって少し特別になっていた。
今日は九月十三日。学園長が失踪してから、一週間が経とうとしていた。
【がくルカ】memory【17】
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【がくルカ】memory【27】
残された時間で
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「ふわぁ~、眠い……」
大きく伸びをしながら、欠伸をする神威先生。彼が無事退院して学校に帰って来てから、二週間ぐらい経つ。
それまで退屈に思っていた国語の授業も、ようやく楽しく思えてきた。それに代理で教えていた先生の授業、全然面白くなかったし。元々国語が苦手だった私は、神威先生が教えてくれたから頑張れたのだ。苦手だけど大好きだったはずの教科が、見知らぬ国の言葉のように見えていたのもつい先日までである。
【がくルカ】memory【27】
のほほんと生きる物書きです。
ギャグから真面目なものまでいろんなジャンルの小説を書いています。
…のはずが、最近はがくルカを書くことが多いです。
IN率低いです。
マイページ以外では「かなりあ荘」というコラボに出現します。
全体的にgdgdなものが多いです。
小説は、自己解釈もオリジナルもやってます。
だいたいはその場のノリで書いてます。