【がくルカ】memory【14】

投稿日:2022/01/10 02:04:13 | 文字数:3,340文字 | 閲覧数:1,154 | カテゴリ:小説 | 全2バージョン

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2012/08/27 投稿
「説明」


作中では六月だそうですよ。
合宿編は今回で終わりです。
結局、勉強合宿的な要素が少し出ただけで、実際に書きたかったのは移動中のバス内会話のわちゃわちゃ部分と、寝る前のおしゃべりが盛り上がるところですね。

改稿にあたり内容が少しだけ変わりました。


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TEXT
 

 どうしてあなたが?

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「見つかんないじゃん……」
 帰りのバスに揺られながら、リンさんはブツブツ呟いていた。
「まぁうちの学校にいるといっても、かなりの人数だからね。そう簡単には見つからないでしょ」
 メイコは、静かに本を読んでいた。グミちゃんに至っては、ずっと何かを考えている様子だ。
 私はというと、合宿二日目、つまり昨日のことを思い出していた。



「今から二時間、自習を行う。なるべくなら勉強してほしいが、まぁ読書もしていい。友達との相談はありだが、あまり大きい声で喋らないように。どうしてもわからない問題がある場合は、なるべくならその教科の先生に訊くこと。俺からの説明は以上だ」
 二日目の夜、合宿所の大広間で勉強会が行われていた。説明は神威先生だ。
「あ、一つ言い忘れていたことがある。個別に話がある生徒もいるが、話を盗み聞きしたり覗いたりする悪い子がいたら……」
 その言葉で、この場にいたほぼ全員が震えあがったことだろう。何がおきるかはわかっている。……額目掛けて飛んでくるチョークアタックだ。
「……冗談だ。ま、そんなヤツはいないと、俺は信じよう」
 以上、説明終了。
 神威先生は有名だ。とくにチョークアタックは有名で、犠牲者は未だにグミちゃん一人。だが、そのせいなのか、神威先生は怖い先生という噂が広がりつつある。いや、実際はすごく優しい先生ですよ? これ本音。でも、絶対今の脅し文句は本気ですよね?
 まぁそれはともかく、私は勉強をしていた。隣に座るリンさんはしばらく考え込んでいた。
「あのさ、右手首に傷がある人がいるって、昨日言ったよね?」
「え? あぁ、うん、そうだね」
「学園長の右手首に傷があったような気がする」
「……え?」
「もしかすると、学園長が生まれ変わりかも――」
「私が何かな? 鏡音さん」
「うえぇっ!?」
 学園長が現れた。気配がなかったから全然わからなかったよ! ちなみに、驚いたのは私だけでした。
「学園長、その右手首の傷、どうしたんですか?」
 リンちゃんは演劇部なだけあって、演技がとてもうまい。平然を装うフリをするのはうまい。本当はさっきビックリしていたのが私にはわかる。
「あぁ、これか。昨日森に行ったとき、どこかで切っちゃったみたいだ」
「そうなんですか。……お大事に」
「あぁ」
 学園長はここを離れ、自分を呼んだメイコのところへ行った。
「あれは嘘ね」
「え? どうしてわかるの?」
「なんとなくだけど、あれは嘘だと思うよ」
 そう言うとリンさんはノートを開いて、脚本作りに集中した。演劇部の顧問の先生からの宿題だそうで、これに関しては先生も許可している。読書が許されるくらいだからね、要は静かにしていれば比較的大丈夫なのだ。さすがにゲームとか漫画とかはダメだろうけど。
 ちなみにメイコは化学が苦手だそうで、今学園長に教えてもらっている。学園長も授業を担当することがある。その教科は化学だ。

「巡音。ちょっといいか?」
 と、そうこうしているうちに私は神威先生に呼ばれた。
 私は手を止めて、神威先生について行き、廊下に出た。
「……私、何か悪いことしましたかね?」
「いや、ルカの進路の相談ということで呼び出している」
「誰かに聞かれたりしませんかね?」
「大丈夫だろ、さっきあれだけやったから」
 ……覗いた人、いるんですか? 違うのかはわからないけど、恐ろしいのであえて聞かない。
 それと、神威先生は皆の前では「巡音」、二人きりもしくは事情を知る者のみの前では「ルカ」と呼んでる。呼び分けは大事だからね。
「やっぱり、神威先生は白衣じゃないと」
「俺のデフォルトは白衣なのか」
「ええ、いつも白衣なので。この合宿ではずっと着ていなかったので、新鮮でした」
「そうか」
 そう。とても信じがたいことなのだが、合宿が始まってから彼は白衣を着ていなかったのである。すごく新鮮でした。
「そういえば、どうしていつも白衣なんですか?」
「大事なものだからだ。俺の父さんの形見なんだよ」
「へー。……え?」
「父さんは大学時代、よくこの白衣で研究してたらしい。俺が小さい頃、この白衣をくれたんだ。まぁ、俺が十六の時に、いなくなったけどな」
「あの、無神経に聞いてしまってすみません……」
「いや、いいよ。それに家族全員いなくなったわけじゃない。グミもいるしな」
 そんな理由があったんだ……。
「まぁ、俺がこれを着ている理由は、化学が得意だからっていうのもあるけどな」
「化学もできたんですか!?」
「あぁ。本当にたまにだけど、授業することもあるぞ。あと俺、に一応化学部の副顧問だし」
「え!?」
「めったに来れないから、あんまり知られてないけどな。幽霊部員ならぬ、幽霊顧問だよ」
 衝撃の新事実が炸裂中。そういえば前に神威先生が倒れたとき、彼は第二理科室に向かっていたからなんでだろうと思ったら、そういうことだったのね。
「で、本題に移るけど。なんか、今朝からリンがずっといろんな人をじろじろ見てるけど、何かあったの?」
「いえ、多分脚本作りのためじゃないですか?」
「そ、そうか。あいつの目線、すげー怖いんだけど」
「怖いんですか?」
「あぁ、目が『逃げるんじゃねえよ』って言ってたからな。圧がすごい、とにかくすごい」
 なにそれ怖い。あとリンさん、めっちゃ生まれ変わりを探してるよ。
「そういえば、さっきもグミちゃん寝てたんですけど……起こしたほうがいいですか?」
「あー……教師としてはそうだけど、兄としてはそのままにしてやりたいな」
「グミちゃんっていつも寝てるような気がするんですけど、何か理由があるんですか?」
 もちろん本当にいつも寝てるわけじゃないんだけど、グミちゃんが寝ているところはしょちゅう見かける。
「うん。グミが中三の頃、事故に遭ってずっと入院していたのは知ってるな?」
「はい」
「四月に退院してから、あいつは中三と高一の二年分を、必死で勉強した。入院前後も全く勉強していなかったわけじゃないけど、皆に追いつくために……予習も復習の区別がつかないくらい、それこそ寝る間もなかったはずだ。俺は休日に教えに行ったりした。たった五ヶ月で中三の範囲全部覚え直したのには驚いたけどな。で、なんだかんだで復学後の試験はほぼ全教科満点。あいつも、やっぱり天才なんだよ」
 すごいなグミちゃん。
「ただ、あいつは入院中は怪我が酷く、痛くて寝れなかったらしい。それに、勉強中も『皆に追いつくために』って言って、ほとんど寝てなかった。その二年間、グミの睡眠時間は一日に二時間ぐらいだった。まだこの学校に来て二ヶ月だ、二年間の疲れがまだかなり溜まってるんだろう。不眠症から過眠症になった、と俺は解釈してるけどな。本当に大変そうだよ」
「だから、いつも寝てるんですか」
「教師としては怒らなきゃいけないんだが、俺もあいつより辛い経験をしている。あいつの負担や苦労を考えると起こしたくないんだがな……」
 ふと、彼の言葉が引っかかった。
 『あいつより辛い経験』それはどういうことなのか?



 三日目、つまり今日だが、とくに面白いことは何もなかったため省略する。そもそも、何故昨日のことを思い出していたのだろう?
 だが、思い出していて気づいたことがある。リンさんが話してくれた七不思議の一つ、『彷徨う影』についてだ。
 霊の生まれ変わりは右手首にリストカットのような傷。それは学校内にいること。
 学園長の右手首に大きな傷。彼女は「森で切った」と話した、でもリンさんは「それは嘘」と考えている。
 そして昨日、ほんの一瞬だけど、確実に見えた。あの手で触れてくれたのに。あの温かい手で、助けてくれたのに。一年は一緒にいたのに、どうして気づかなかったんだろう。……神威先生の右手首にも、大きな傷があった。
 
 生まれ変わりだと考えられる人物。それは、学園長と神威先生の、二人。
 ならば、いったい誰を探しているのだろう。雨の中を走り続けるバスの車内で、私は少しだけ震えた。

のほほんと生きる物書きです。
ギャグから真面目なものまでいろんなジャンルの小説を書いています。
…のはずが、最近はがくルカを書くことが多いです。


IN率低いです。
マイページ以外では「かなりあ荘」というコラボに出現します。

全体的にgdgdなものが多いです。
小説は、自己解釈もオリジナルもやってます。
だいたいはその場のノリで書いてます。

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作品へのコメント1

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    ご意見・感想

    チョークアタック(犠牲者約一名のみ)で有名になる神威先生、あんたも不思議の渦に組み込まれるのか。
    不思議と謎の代名詞、「神出鬼没」で有名(ん?)学園長、あんたは「不思議」という字が人の形をとったんだろ?(おい
    そしてリンちゃん怖い。…え、何見てるの?ちょ、手がわきわきしてるんだけど何をするつもrアッー((((

    「あいつは俺より」ならなんとなくわかるが「俺はあいつより」とは…?
    みゅ~…。謎だ。

    そして予告の方が気になっちゃったという!
    失踪っていつもの事じゃないの!?(おいおい

    2012/08/28 00:06:25 From  Turndog~ターンドッグ~

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    メッセージのお返し

    確かに犠牲者は約一名のみですが、何回もその人にチョークを投げているので、「あの先生は怖い」と有名になりました。

    学園長の神出鬼没なところは、神威も少し似ています。
    学園長が「不思議」な理由については、学園祭編で明らかになる予定です多分。

    リンちゃん、なんでこっち見てるの…
    「つべこべ言わずに、右手首を見せなさい!!」
    え?なんか手つきが怖いからやめt(アッー

    「俺はグミよりも辛い経験があるから、あいつの辛さや不安、負担や苦労も全部、わかってしまう」ということです。
    「俺はあいつより辛い経験をしている」については、「Remember sky(仮)」というテキストを投稿する予定なのでそちらに。
    memory関連なのに何故別のタイトルなのかというと、本編にどのタイミングで書けばいいのかわからないからです…。

    予告のほうがwww
    学園長はいなくなっても必ずその日中に帰るので、学園祭編では本当に失踪します。

    2012/08/28 02:05:54 ゆるりー

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