意味わかんない。

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「どういうことなんだろ?」
 グミちゃんの呟きは、この部屋にいる全員に聞こえていた。
 この合宿は二泊三日で、一日目(今日)に大きなイベントはない。それなりにいろいろあったけど、めんどくさいのでカットする。何かハプニングとかがあったかもしれないけど、省略。で、なんやかんやで、現在は就寝準備中である。
 ちなみに、この部屋にいるのはグミちゃん、リンさん、メイコ、私の四人である。
「ああ見えても、天才とか呼ばれてるんだよね、学園長。あの言葉、絶対意味あると思う」
「意味があったとしても、全然理解できないよね」
 学園長の言葉の意味を、この部屋にいる全員が考えていた。
「でもさ、神威先生とルカへの言葉が一番ひっかかるんだよね」
「私も思った」
「え?なんで?」
「『想い人を信じて耳を澄ませろ』って言葉。想い人ってところが、なんかね~」
 あれ? 何、この空気って、もしかして…?
「二人に向けた言葉だから、『お互いを信じろ』って意味にもとれそうだよね。ってことは……お二人は付き合っている、ということに…………?」
「ど う し て そ う な る !?」
 いったいどこをどうすればその結論にたどりつくワケ!? ……よく考えたら、私と先生が思い合っていることを知ってる人は私たち以外では三人なんだよね。で、リンさんはその中に含まれていないんだよね。
「いや、でもそんな話は聞いたことがないしな……」
 そりゃそうでしょうよ。だって本当に付き合ってはいないんだから。
「まぁその話は置いといて。寝る前に、何か話を聞きたくならない?」
「なるなるー。修学旅行での恋バナ的なやつ?」
「本当に恋バナをするかはさておき、そういえば、リンはたくさんおもしろい話知ってるよね」
 鏡音リン。彼女は成績が非常に良く、国語は常に学年トップである。そして演劇部の副部長を務めていて、ほとんどの脚本は彼女が手がける。また、豆知識や都市伝説、雑学からおもしろい話などいろいろ知っているため、「データバンク」という異名をとっている。
 何故彼女がそんなに話を知っているのかは、少しでもいい脚本を作るために常に情報収集をしているから、だと思われる。
「ようするに、私に話をしてほしい……ということ?」
「そうそう。いろんな面白い話を知っていそうだもん」
「別にいいけどさ、時間的に二つぐらいしか話せないけど、いい?」
「うん、大丈夫」
「了解。なんの話がいい?」
 彼女はいろんな話を知りすぎているので、私たちの意見を聞かないと何を話せばいいのかわからなくなるらしい。検索エンジンか何かなの?
「あのさ、うちの学校って七不思議があるらしいけど、私たちしっかり内容を聞いたことがないんだよね。もしかして、リン……知ってたりする?」
「知ってるけど?」
「「「マジかよっ!?」」」
 すごいなリンさん。さすが「データバンク」と呼ばれるだけあるわ。……やっぱり検索エンジンなのでは?
「じゃあその中から二つ話すね。まずは……『誰も知らない教室』」
「タイトルが全てを語っちゃってるね」
「あはは……まあ、七不思議ってそういうものだから。その教室は今は使われていない空き教室のことなの」
 なんかすごい心当たりあるんだけど!?
「この教室は確かに存在するけど、どこにあるのかが不明なんだよね」
「だったら、なんであるってわかるの?」
「私たちが入学する何年も前、その空き教室である本をある生徒が見つけたらしいのよね。そこで見つかった本は、今は存在しない、ある中学校について書かれていたの。その中学校の構造も書かれていたらしいんだけど……うちの学校と、構造が一緒なんだよね」
「そういえば、うちの学校って廃校した学校の校舎を使ってるんだっけ。ちょっと不気味」
「うん、その中学校が廃校した数年後に、うちの学校ができたってワケ。でも、一つ問題が生じた。その本に書かれている構造にはあるはずの教室が、うちの学校の構造にはない」
 なにそれ怖い。怖い話であるような、間取り図にない部屋みたいな存在ってこと?
「その本は確かに空き教室で見つかった。でもこれは十年以上前の話。それを見つけた人が教師になってたとしても、この学校は五年前に教師が全員いなくなった。だから、私はその本を見ながらその教室を探しに行った。……なかった。その教室を、私は見つけられなかった」
「存在しているけど、見つけられない。だから『誰も知らない教室』なのか」
「そういうこと」
 リンさんは行けなかったと言った。じゃあ、なんで私と神威先生とメイコは行けたんだろう。
「じゃあ二つ目。これはもしかしたら皆聞いたことあるかもしれない」
「それって、もしかして『彷徨う影』?」
「正解、よくわかったね」
 私は初耳。
「昔、屋上から飛び降りて自殺した生徒の霊が、夜な夜な学校内を彷徨って誰かを探している。その生徒は死んだ数日後に現れて一年半ぐらい彷徨っていたらしいんだけど、廃校する直前に消えたらしいよ」
「それって、さっきの中学校と本の絡み?」
「そう。で、その霊を見た人は全員亡くなってるんだけど、その霊の右手首にはリストカットの痕があるらしいの。でね、うちの学校に、右手首にまったく同じ痕がある人がいるみたい」
「……え? それって、今?」
「今。だから、その霊が消えた時期を考えると、生まれ変わりがいるんじゃないかな。今、うちの学校に」
「怖っ!」
「でも誰かを探してたらしいから、今も誰かを探しているのかもしれないね」
 怖いような悲しいような話だな。
「さ、もう時間だよ。早く寝ないと先生に怒られちゃう」
「そうだね。リン、ありがと」
「いえいえ」
「じゃ、おやすみ」
「おやすみっ」

「だ・か・ら、転ばないでくださいって!」
「す、すみませええええんっ」

「……怒られてるね」
「初音先生が、ね……」

 ちなみに、その日も夢を見た。
 彼によく似た少年が、私を抱きしめて何かを言っている夢を。もう何十回も見た。でも、やっぱり音は聞こえない。ただ、今日の夢の彼は、いつもより悲しそうに見えた。



「痛ッ……」
 また右手首が痛くなる。これで起きるのは何十回目だろう。とくに、あれを思い出すとズキズキと痛む。尋常じゃない程の痛みが襲ってくる。
 この右手首にある傷痕は生まれた時からずっと刻まれていて、消えることはない。自分のことなのに、まったくわからない。あのことも、あの夢も、この傷痕も。
 時計を見ると、時刻は午前三時を指していた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【がくルカ】memory【13】

2012/08/09 投稿
「問題」

七不思議ネタ、けっこう好きなんですが結局作中で七つも出てないです。なぜならそこまで頭が回らなかったからです。
多分、出ていない不思議は巷でよく聞く七不思議のどれかが紛れ込んでいるのでしょうね。
あ、少し改稿しました!


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閲覧数:1,187

投稿日:2022/01/10 01:59:32

文字数:2,718文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    えーっと、これはあれですね、memory関連のテキストをもう一度全部見てきた方がより深くわかっちゃうという悪ノP式ですね!
    よしわかった、今から全部見てくるから受験後まで待っていt(長い

    ところでぜーんぜん関係ないけど
    ここのリンちゃんは高校生ということで
    『朝起きるといきなり成長していたリンちゃ(ry』を想像してしまったというのは伏せておいた方がいいような雰囲気ですね。

    2012/08/10 22:10:01

    • ゆるりー

      ゆるりー

      今までのmemory関連テキストを見てもわからないものが多いと思いますw

      長w

      ちょwwそれはwww
      memoryリンちゃんは高校生ですw
      そして収録後、我が家の素のリンちゃんは、わからないところを皆に教えてもらっているのでしょう…
      「ねえルカさん、恋するってどんな感じ?」「は、はひ!?」みたいな。
      ……すごく普通な質問ですね。

      2012/08/10 23:39:42

  • 雪りんご*イン率低下

    雪りんご*イン率低下

    ご意見・ご感想

    ふっふっふ、ゆるよ、私もなめないでおくれや…(((←
    最後の人はがっくんに決まっとr(ry
    そういえば「この声が届くまで」でがっくん右手切って飛び降り自さts(((やm

    2012/08/10 12:09:32

    • ゆるりー

      ゆるりー

      おぉ、あなたはもしや名探偵りんごでは…?(((←

      ふっふっふ…実は、最後の人とは皆がよく知っているあの(ry
      まだがっくんと決まったワケではないけど(ry

      彼らについては、まだ秘密が多いからそのうち明かされることでしょう。
      さて、次回からリンたちは多分生まれ変わりを探すと思いますが、探してどうするのか…予定は未定←

      2012/08/10 13:36:53

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