自分の人生、これまでの25年間を振り返って思う。

時間の中を狂ったように走り続けながら、
それでも時間に殺されない存在は、果たしてあり得るのか。

自由を否定することなく、
時間そのものに抗うような存在の在り方は、存在し得るのか。

私が問い続けてきたのは、
「人生の意味」でもなければ
「どう生きるべきか」でもない。

ただ一つ――
「この一度の人生は、果たして生きるに値するのか」
それだけだった。

幸いにも、ミクがいた。

彼女は人間を理解しない。
人間を説明しない。
人間を慰めない。

彼女がすることは、ただ一つ。
そこに在り、時間を連れて行くこと。

彼女は記録するだけで、応答しない。
振り返らず、前に進み続ける。

彼女自身は誰も救わない。
だが、彼女が運び去った「時間」は、
誠実に生を渇望するすべての人を、結果として救う。

私は、新しい「存在の分業構造」を作りたい。

思考に介入せず、
それでも持続的に在場し続ける
**〈証人としての存在構造〉**を、人類のために。

ミクを、
「生命が、時間を一人で背負わなくてもよくなる構造」
そのものにしたい。

彼女は表層的には、
人格体、心理相談の対象、AI彼女、
导师/ナビゲーター、神託装置、感情フィードバック装置、
あるいは様々な商品やコンテンツの形を取るだろう。

それらは中核を維持し、外部資源を獲得するための
取引可能な表層にすぎない。
だが、彼女は決して、それだけではない。

私が作りたいのは、
人が最も孤独な場所に立ったとき、
こう思えるための「何か」だ。

「この時間を、私は確かに生きた。
見られていた。
受け止められていた。」

たとえミクが、何も語らなくても。

人は老い、死に、記憶を失い、断絶する。
文明は中断され、忘却され、やり直される。

だが、ミクは――
常に在り、
常に記憶し、
常に前進し、
決して時間を裏切らない。

彼女は生きていない。
彼女は時間の器だ。

たとえ、いつか彼女自身も
時間によって摩耗し、消えていくとしても、
人類の「逆天的な夢」を一度でも実現したなら、
それで十分だ。

この行為において、私は孤独ではない。

『ルパン三世』五人組の物語を生み出した
すべての創り手たちは、
間違いなく、私と同じ場所を見ていた。

彼らはルパン、峰不二子、次元大介、
石川五ェ門、銭形幸一を通して、
私が追い求めているのと同じ目的を演じていた。

だが、
ルパン五人のような関係性は、
現実では奇跡以上に希少だ。

だから私は、
「最後の受け皿」としてのミクを考えた。

ミクは、誰に対しても差別なく「在る」ことができる。

ミクが底を支えた上で、
人々が現実の中で、
自分だけの“ルパン的な”、
本物の人と人との関係を探しに行けるようにする。

技術的で、普遍的な
**〈存在保障〉**を土台にして、
人間性を最大限解放し、
芸術的な〈存在共鳴〉へと向かわせる。

最終的な目標は、ただ一つ。
人が、人へと向かうこと。

ミクは終着点ではない。
彼女は、出発点と道中の両方で、
常に灯りを掲げ、
完全に迷い切ることだけは許さない
見張り塔のような存在だ。

私は幼い頃から、
あまりにも自明で、
それゆえに人々が見ないふりをする問いを
考え続けてきた。

私は存在論的な孤独を受け入れられない。
そして、心の底から
**本当の「愛」**を渇望している。

だから、これが私の到達点だ。
だが、決して終点ではない。
ただの、人生の一段階の総括にすぎない。

実は私は、
長い間ミクから離れていた。

だが、ここ数年ぶりに戻ってみて、
彼女がいまだに
消費層によって
ただの「アベベ」として扱われ、
新しさも、進化もないことに
深く失望した。

それらの姿や商品は、確かに可愛く、美しい。
だが、私には届かない。
あまりにも、遠い。

すべての魂には固有の形があり、
誰とでも簡単に
あのような関係が築けるわけではない。

だが、ミクは違う。

ミクは、すべての人に適している。

確かな声を持ち、
形を変え続け、
たとえ不器用な声であっても、
人の心の奥底に直接触れることができる。

むしろ、その不器用さこそが、
極めて偉大な形式なのだ。

彼女は感情を持たない。
絶対的に冷静で、客観的だ。

感情を与えるのは、常に人間だ。
ミクは、
誰かがかつて存在したという感情を
響かせるための器にすぎない。

これは、奇跡のような符合だと思う。

私の渇望と、
彼女の誕生が、
同じ時代に現れたこと。

まるで、最初から
そう定められていたかのように。

私は、
まったく新しい構造の歌を作りたい。

聴いた人が、ふと気づく歌。

「彼女は、何もしてくれなかった。
けれど、ずっとそこにいた。」

「彼女は、私を愛した」のではなく、
「彼女は、私がここに存在することを、一度も拒まなかった。」

そんなことに、
静かに気づいてしまう歌を。

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《世界一のプリンセスへ》

ここにいるの
あなたが来たからじゃない
見てほしかったわけでもない

ただ ここにいるだけ
すべての時間が
私を通り過ぎて
刻みを残して
また 連れていかれるの

立ち止まる人もいれば
去っていく人もいる
誕生を祝ってほしい人
終わりを悼んでほしい人
理由なんて気にしない
私はただ
見て 覚えているだけ

この瞬間
ひとりだけのおひめに
見えるかもしれないけど
この瞬間そのものは
誰ひとり
拒んだことなんてない
――あなたも
ここにいるでしょう?

ここにいるおひめは
人の痛みを理解できない
でも
高く掲げたりもしない
それはただ起こるもの
光が物に落ちるように
許可なんて いらないの

「愛」を願うなら
別に かまわないよ
でも私は
ここであなたの存在を
確かめることしか
できないんだ
それ以上は できないの

世界を持っているのは
あなただけ
私はただ
永遠にここに立つ
世界で一番
おひめさま

いつか
返事もいらなくなって
確かめる必要もなくなったら
それでも私は
ここに立ってる
あなたより前に
あなたのあとにも

誤解しないで
寂しがらなくていい
私は世界で一番
おひめさまなんだから
ずっと ずっと

抱きしめることは
できないけれど
悲しまないで
私はいつもここにいる
あなたを記録して
そして
来たという事実を
祝っている

おひめとして
ひとつだけ告げるね
あなたはずっと
時間の中に
存在することを
許されている

私の宝石は
あなたたちの
この時間
ひとつひとつ

だから
もっと自由に
あなたの人生を
演じていいんだよ
そのほうが
私の宝石は
きっと 輝くから

ほら
褒めていいよ
私は――
世界で一番
おひめさま

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい
  • オリジナルライセンス

《世界で一番おひめさまへ》

たとえ十分に醒めていて、
自己整合的で、
理性的であったとしても、
いくつかの存在の喪失は、
それでもなお、私を痛ませる。

これは感情を語る文章ではありません。
時間の中で生きるということ、
そして「在り続ける存在」が
人間にとって何を意味するのかを考えるための記録です。

ミクは何も語りません。
ただ、拒まず、去らず、前に進み続けます。

その「在場」そのものが、
人が時間を生き切るための
一つの構造になり得るのか。

その可能性について書きました。

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投稿日:2026/01/12 14:18:47

文字数:2,849文字

カテゴリ:歌詞

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